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60話 無限ループって怖いよね?

 【Raid Battle!】



 【包丁を冠する君主】




 【菜刀天子】


 【次元天子】【上位権限】【???】




 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【次元をさまよい】


 【冒険者を導く】


 【聖獣を担うが故に】


 【深淵と敵対する】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 今日は沼地でのレイドバトル決戦を見据えて【釣竿剣士】と沼地エリアの散策をすることになっている。

 というわけで王宮を脱出だ!






 【Raid Battle!】




 【底無し沼の棘亀】




 【レイドバトルを開始します】




 【釣竿剣士】からデート(?)に誘われた時はめっちゃ驚いたけど、よくよく聞いてみると俺が沼地エリアについて無知なのが戦況に影響する可能性を考慮してのことらしい。


 俺も新緑都市アネイブルレイドバトル攻略戦の時はいろいろなプレイヤーの暇なときを見つけてひっそり案内してたから気持ちはわかる。

 少しでも不安要素を無くしたいんだろうな。


 「ふふふ、あなたもそうだったんですね?

 やっぱりトッププレイヤー同士通じるものがあるようでなんだか嬉しいですね」


 俺を横目にして少し照れている【釣竿剣士】。

 照れながらにやけているのか、表情が崩れてふにゃっとしている。

 その表情が可愛いのがずるいな、こいつは。


 「沼地エリアにはレイドボスの棘亀がいるメインの湖沼ゾーンとサブで巨大な穴が空いている大穴ゾーンがあります」


 なに、大穴ゾーン?

 そんなヤバそうなゾーンあるのこのエリア。

 湖沼ゾーンにいつも直行してたからか一回も見たことないんだけど。


 「まあ、この沼地エリアに常駐しているプレイヤーくらいしか知らないと思いますし当然ですね。

 草原エリアと沼地エリアの境界線の真逆にあるゾーンなので行く人がほとんど居ないですし」


 たしかにこの沼地をひたすら奥まで駆け抜けていくプレイヤーは余程の物好きしかいないだろう。

 足元がぬかるんでいて歩きにくいし、歩く度に泥が跳ねるしで積極的に散策したいプレイヤーは頭がおかしい(誉め言葉)


 「せっかくですし、大穴ゾーン見に行きますか?」


 いくいく~!

 連れてってちょ!


 「了解ですよ!」










 あの、湖沼ゾーンから徒歩3時間くらい歩いてようやく到達したんですが、あのあのあの!!

 はじめにどれぐらい時間がかかるか聞いておけば良かった……

 まさかひたすら沼地をハイキングし続けるとは思ってなかったわ。

 そりゃこんなところまで来るプレイヤーなんて居ないだろうよ!


 そんなことを愚痴りつつ、目の前に現れた大穴を遠巻きに覗いてみる。

 うへー、全く底が見えん!

 しかも対岸すらも見えないとは思ってなかったわ……

 水平線を見ているかのように先が見えない穴なんて現実にはないだろうし、ある意味で珍しいものが見れたのかもしれない。


 この穴って降りれるの?


 「ふふふ、やはりあなたはそういうことを思いつきますよね?

 ただ、残念なことに穴を降りていこうとすると不思議な力が働いて穴の上に戻されるんですよね。

 穴の上というのは地面の上じゃなくて、本当に穴の真上なので無限ループするのがみそですね。

 死に戻りするしか脱出できないようです……まあ、私は釣竿一刀流を使えば自力で復帰できますが!」


 こいつの釣竿一刀流とかいうリアルチートスキルは本当によくわからない。

 人間の域を超えている技だろこれ……


 「当然ですよ、生産プレイヤーなら!

 それで?一回降りるの試してみます?」


 そうだな……一緒に降りてみよう!


 「私もですか……いいですよ!

 無限ループ自力で抜け出せますし」


 おしっ、そうこなきゃな。

 とうっ!


 地面に力一杯踏み込み大穴へ思いっきりダイブした。

 ジェットコースター並の浮遊感が全身を襲い、風で髪がはためく。

 落下していくにつれて視界が暗くなっていく……と思っていた次の瞬間には視界が明るくなっていた、明るさのギャップで眩しすぎる。


 これが謎の巻き戻り現状ってやつか。

 身体中にある様々な感覚がバグりそうなくらい奇妙な現象だな、これ。


 そして、上空に戻された俺と【釣竿剣士】は再度大穴へ落ちていく。

 うひょ~、この浮遊感がたまらないぜ!


 とりあえず10往復くらいしているとふと気づいたことがある。

 【釣竿剣士】は脱出できるけど、俺も一緒に脱出できるのかこれ?


 「無理ですね……

 釣竿一刀流【飛翔】は両手を使うのであなたを抱えて飛ぶことは出来ませんし、自分の体重を支えるのが限度ですね」


 うわ、これってもしかして詰んだ?

 11往復目に突入しながら下を抑え考える。

 ……とりあえず上空からどれくらいでループするのか調べてから考えるか!


 俺は脱出するのを一旦棚上げした。

 思考放棄とも言う。


 1.2.3……

 990.991.992.993.994.995.996.997.998.999……



 ふう、999秒で上空へ戻されるようだな。

 何故1000秒にしなかったんだろうか?


 落下までの時間を数えるために追加で20往復くらいした。

 時間の揺れとかあるかもしれないと試行回数を増やしてみたが、完全に一定らしい。


 さて、この大穴でやりたいこともこれ以上ないし、脱出手段が死に戻りしかないのでさっさと死に戻りするとしよう。


 ……いや、せっかくだしループする直前にちょっと遊んでみるか!

 落ちすぎてよくわからなくなっている思考回路で思いついたので深夜テンションのようなノリで実行する。


 1.2.3……

 990.991.992.993

 994.995.996.997.998.スキル発動【深淵顕現権限】!、999……1000.1001


 んんん?

 なんかループ突破出来たんですが??

 んんん?

 戯れに【釣竿剣士】を生け贄に捧げてみようとか考えてたんだけど?

 


 困惑しながら上空を眺めると、俺とは違い【釣竿剣士】は再度ループに突入していた。

 あれ?【釣竿剣士】が生け贄に捧げられてないぞ?

 なのに俺にはウナギ尻尾が生えている。

 意味わからなさすぎるが、とりあえずこれを言わせてくれ。





 俺だけループ突破してるのかよぉぉぉ!?




 かよぉぉぉ




 かよぉぉぉ




 かよぉぉぉ




 俺は、落下しながら俺の叫びが虚しく大穴に響くのを聞いていた。













 ふむ……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

久しぶりに感想いただけました!

ありがとうございます!


やっぱり反応があると嬉しいですね。


あと、60話突破記念に無表情チャイナ娘ちゃん描きました!

39話の後書きに追加してあるので見てみてください!

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[一言] かよぉぉぉ可愛いです
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