6話 ドキドキっ!はじめての岩山レイドバトル
【Raid Battle!】
【堅牢山の大怪鳥】
【レイドバトルを開始します】
「これがジェー以外のレイドボスか……
レイドバトル前のアナウンスからして少し違うのな」
「いや~、そうみたいですね。
新緑都市アネイブルのレイドボスはレイドバトル2匹の混ざりものっぽいですからね」
レイドバトルアナウンスと同時に俺たちの前に羽ばたきながら降りてきたのは、赤いトサカに漆黒の体というニワトリとカラスを足して2で割ったようなレイドボスだ。
足して2で割ったような見た目といっても、ジェーのようにキメラではなく自然な感じのデザインだし、レイドバトル前のアナウンスもボス一匹分しか流れてない。
「さて、お手並み拝見といこうか」
俺は包丁を構え、中腰の姿勢を取りレイドボスの攻撃に備える。
初見のレイドボスだし様子見だ。
「こ、こっちに来ましたよ!!」
「ボマードちゃん、回避だ」
言うも虚しく、レイドボスの飛翔蹴りをモロに受けてしまったボマードちゃんはそのまま岩肌に叩きつけられ死に戻りをした。
「【名称公開】で俊敏さにもデバフかかってたし、避けられないのも仕方ないか」
ボマードちゃんの犠牲を無駄にしないためにも何か情報を持ち帰らないとな!
「ん?
早々に疲れたのか?
なんかスピード遅くなってない?」
ボマードちゃんを倒した後、ガクンと体勢を崩している。
その後こちらに飛びかかってくるが、先程のスピード感がない。
一撃に力を込めてスタミナを使いきってしまうレイドボスなのかもしれない。
「これはチャンスだ!
レイドボスの攻撃に追いつける!」
レイドボスが飛翔蹴りや尻尾の振り回し、羽でのストンプなど次々に連撃をしてくるが体が追いつくし、包丁の腹でガードしてもジェーの攻撃を受けたときのように吹き飛ばされることはなくダメージこそ受けているが、なんとか戦えている。
「まあ、一切攻撃はできてないんだけど……」
ダメじゃんと思うが、今回は偵察ってことで突破は諦めよう。
攻撃パターンは何となく読めたが、どう考えても今回突破するのは無理だ。
それにジェーが使ってくるようなカットイン技はまだ引き出せていない。
「あとは落ちてる羽でも拾って死に戻りでもするか」
その後はポケットいっぱいになるまで漆黒の羽を拾ったあと、死に戻りをした。
「よう、【草原(仮)】を少しぶらぶらしてくるだけにしてはやけに時間がかかったな!」
死に戻りをした俺の前にはむさっ苦しい顔をしたガチムチのおっさんがいた。
2回分他の人のところで死に戻りをしただけなのに懐かしさを感じてしまう。
やっぱり死に戻りはこいつのところが安心するよな。
「まあ、【検証班長】とかボマードちゃんとかに会ったりしてきたからな。
その分面白い仕込みとかできたし、たまには【槌鍛治士】以外と交流を持つのも悪くないな」
「おいおい、妬けることを言ってくれるな!
ワシは最近装備作成とお前との会話しか楽しみが無いというのに!」
それはそれでちょっと怖いぞ……
「怖くないぞ!」
さいですか。
「時間はかかったが、こうして戻ってきたのはちょうどいい!
出来たぞ、【包丁戦士】用の遠距離武器が!」
そう言いながら【槌鍛治士】は俺に紫色の太めな紐を渡してきた。
これが武器?
紐にしか見えない……
「あの……これが武器……?
紐にしか見えないんだが??」
「安心しろ!
紐だ!」
「いやっ、紐だ!じゃないだろ!!!!」
俺の悲痛な叫びが【草原(仮)】中に響き渡ったのは言うまでもない。
紐を使ったプレイは好きだったりそうじゃなかったりしたとか。
【Bottom Down-Online Now loading……】