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598話 アイドル登壇

 【一々鬱陶しい蜘蛛糸ですね……】


 【私のスキルばかり利用しないでくださいよ】


 俺たちが回復している間にも【菜刀天子】とルル様の戦いは進行していた。

 とは言っても【菜刀天子】が【片刀ー朱雀】を介した【渦炎炭鳥】を使いルル様を狙うのに対して、ルル様は【儡蜘蛛糸】で【菜刀天子】の使い終わった【渦炎炭鳥】の赤色魔法陣を操って【渦炎炭鳥】同士で相殺させたり【菜刀天子】を火柱で直接狙ったりしている。


 積極的に純粋な攻撃を繰り返す【菜刀天子】に対して、搦め手で隙を作り出そうとしているルル様という対極的な戦い方のレイドボス同士の戦いは見ているだけでも大迫力だ。

 前の話でボマードちゃんも言っていたが、大怪獣バトルのような感じだ!

 この場にいなくてスクリーン越しだったなら手に汗握ってじっくり観戦していたことだろう。


 だが、俺たちはこの場にいる。

 ルル様が抑えている間に何か考えないとな。


 

 「とは言ってもどうするんですか?

 いや~、対策なんてそう簡単に思いつかないですよ~」


 まあ、頭お花畑のボマードちゃんでは思いつかないだろうよ。

 

 「相変わらず【包丁戦士】さんは私に辛辣ですよね!?

 いや~、事実ですけど!」


 ほらな?

 ……こいつは放置しておくとして、他に作戦を思いつきそうなのは……


 「待ってください、放置しない方がいいです。

 ボクとしてはそろそろボマードさんの出る頃合いかと思います」


 「私の出番……

 いや~、つまりあれですよね!?」


 まあ、ボマードちゃんの出番と言われたらあれしかないだろう。

 本当はそんなこと無いんだが、ボマードちゃんの専用スキルみたいになっているスキル……


 「そう、【名称公開】です。

 ボマードさんの新スキルとの組み合わせで前よりも面白い使い方が出来るようになりましたからね。

 どん詰まりになりつつあるここで活躍してもらおうということだね」


 そんな使い方生み出してたのか!?

 ちゃっかりボマードちゃんと【検証班長】って知らない間に色々と検証してるよな…… 

 

 「それが【包丁戦士】さんとボマードさんとの約束ですからね。

 【名称公開】の効果についての検証をするにはボマードさんの協力は必要ですし、【検証班】としても助かっていますよ」


 そういえば俺がボマードちゃんと【検証班長】を引き合わせたんだったよな。

 もはや懐かしさを感じるくらいだ。

 

 「それではまず下準備から行きますよ~!

 いや~、大一番で御披露目なんて私出番に恵まれてますよね!

 スキル発動!【名称公開】!

 私の戦闘衣装の名前を公開しちゃいます!

 【修練防具上位解放】【魚尾包装(ぎょびほうそう)】ですよ~!」


 ボマードちゃんがスキルを発動すると、身に纏っていた黒色のタンクトップが光の粒子へと変換されていき、その光がボマードちゃんの全身に纏わりつくように展開されていく。

 ヒダのように広がっていく光の粒子が帯のように形作られていき、あたかもボマードちゃんの身体を包装するかのごとく巻き込んでいった。


 そして出来上がったのは、熱帯魚の尻尾のようにユラユラと揺れる漆黒のドレスだ。

 小柄なボマードちゃんにも似合う、少し短めの調整がされており、ドレスといっても動きを制限することはなさそうだな。

 遠目に見ると分からないが、レース部分が魚の形をしているようで、さらに、それを取り巻く蛇の模様がドレス全体を覆うように象られているのが、かなり凝った衣装だと主張してくる。


 通称フィッシュテールドレスと呼ばれるものだ。

 タンクトップからの変貌なので、急に別人になったように思えるほどボマードちゃんの魅力を引き出している。


 「いつ見ても見事なものだね。

 【名称公開】を経由しないといけないから気軽に取得を狙いにいけないのが残念でたまらないかな」


 「にゃにゃ!?

 【ペグ忍者】もそれやりたいのら~!」


 「【ペグ忍者】は【聖獣毛皮】で似たようなことが出来るからいりませんよ……

 フィジカルに任せて戦っているのに、わざわざ強みを捨て去るのは【検証班】のクランリーダーとして見過ごせませんからね」


 「がーんなのら……」



 こらこらお前ら、コントなんかやってないで早く動いてくれ……


 「そうですよね!

 いや~、私の晴れ姿ですからドドンと行きますよ~!

 スキル発動!【深淵顕現権限】!」


 ボマードちゃんはフィッシュテールドレスの姿のままさらに身体に追加部位を生み出していく。

 【槌鍛冶士】の作成した生け贄の代用品を用いて発生させた黒色の霧に包まれ、ボマードちゃんの体内の深淵細胞が活発化させられている。

 ボマードちゃんが励起した深淵細胞は【Ж細胞】……つまりはジェーライトの細胞だな。

 ドレスを押し上げるようにヌルヌルの尻尾が生えてきて脈動する。

 そして、生えた尻尾についている口がパクパク動きながら喋り始めた。


 「イャ~、このドレスの時なら尻尾から喋れるみたいだナァ?

 この天子王宮で俺様が決戦に加われるのはラッキーだったゼェ!」


 「ジェーライトさんは私に感謝してくださいよね!

 いや~、私が居なかったら一番始めに脱落していただけのレイドボスだったんですから~」


 「そうかもしれないナァ!

 それなら俺様も一層気合い入れていくカァ!

 スキル発動!【魚尾砲撃】!」



 

 【スキルチェイン【名称公開】【修練防具上位解放】【魚尾砲撃】】


 【追加効果が付与されました】


 【デメリットが増加しました】


 【特殊作用が発生しました】






 【Bottom Down-Online Now loading……】

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