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597話 ブレイクタイム

 「急に怪獣バトルが始まっちゃいましたよ!?

 いや~、あそこに混ざる勇気は無いですね……」


 「にゃにゃにゃっ!?

 目を逸らしてはダメなのらよ~

 あれはスキルの活用法の参考に出来るのらよ!

 ……あれをプレイヤーが再現できるのかは別の話になるのらけど」


 「ちょっwww

 あのタコと【菜刀天子】の攻撃がぶつかった余波だけでオレのクランメンバー死に戻りしてるんだがwww

 これはワロエナイ……」


 ボマードちゃん、【ペグ忍者】、【風船飛行士】がルル様と【菜刀天子】の攻防に驚き、それぞれ三者三様の反応をしている。


 ボマードちゃんは半分傍観者的な立ち位置で呆然としている。

 一方で【ペグ忍者】はクラン【検証班】のスキル担当として、現在レイドボスたちが使っているスキルの挙動について見逃さないようにしている。


 そして、【風船飛行士】は自らのクランメンバーを統括する立場からこの状況を見ているからか、顔が青ざめている。

 笑っているように聞こえるがあれは半分苦笑いのようなものだろう。

 神話級の化け物の戦いに巻き込まれた一般人がそれに立ち向かわなければならないという、とてもじゃないが正気ではなく狂気に足を突っ込んだ精神状態ではないとやっていけないからな。


 まあ、俺は正常だが!正常だが!!!

 

 「いや~、それは絶対嘘ですよ!?

 じゃなかったら私が【包丁戦士】さんを好きになってないですし!」


 それ関係なくないか?


 「お主ら、真面目に勝つ気があるでおじゃるか?

 妾はわりと勝つ気でいるのでおじゃるが……

 とりあえず今のうちに布石でも打つでおじゃるよ!

 まずはお主らの回復でもしておくでおじゃるか……

 ほれっ、【休息万命急急如律令】!」


 【タウラノ】はしれっと呪符を飛ばして俺たちの身体に貼りつかせて体力の回復をしてくれた。

 こういうムーヴに関しては支援職プレイヤーの鑑みたいな動きをするな、このレイドボス……

 そういう傾向のAIでも積み込まれているんだろうが、案外抜け目無いな。

 実は【タウラノ】はこんな感じでプレイヤーの助っ人に入ることを前提にしたレイドボスとして設計されているんじゃないだろうかと思えてくる。


 下克上という【菜刀天子】や聖獣を倒すという思想で、支援系の技を多く持っている。

 そして、プレイヤーにも友好的という特殊な立ち位置だからな。

 この局面でなんとなく勘づいてしまったぞ。


 

 「このさりげない気の回し方は実に生産プレイヤーチックですね!

 私も補助系統の技を使えたら良かったんですけど、あいにく私はオブジェクト破壊と釣りがメインですからね……

 出来るとすればこれくらいですか。

 釣竿一刀流【精霊穴球】!

 来てください、潤いの沼魚っ!」


 【釣竿剣士】が珍しい釣竿一刀流を披露してきた。

 仕組みがどうなってるのかさっぱりわからない召喚系の釣竿一刀流で、沼地で釣り上げて契約している魚を呼び出した。


 あれは闘技場イベントの俺との戦いでも呼び出した沼魚だ。

 潤いの沼魚は口から水を吐き出して周囲のプレイヤーに垂れ流している。


 「おおっ!

 体力と炭化と火傷の状態異常が回復してるぞ!?」


 「【渦炎炭鳥】で地味に状態異常になって動きにくかったから助かる」


 「流石【釣竿剣士】ちゃんだ!」


 「いよっ、クランリーダー!」


 回復を受けた調子のいいモブプレイヤーたちが口々に【釣竿剣士】を褒めている。

 あれだけ露骨に褒められているのを見ると同じ女として若干ジェラシーを感じてしまうな……

 まあ、俺はプレイヤーキラーだからな、他のプレイヤーに憎まれることはあっても感謝されることはないプレイスタイルってのは分かってる。

 分かってはいるが、実際目の当たりにするとなんとも言えない気分になるというのも事実だ。


 「当然ですよ、生産プレイヤーなら!」


 くっ、誇らしげにその巨乳のぶら下がった胸を張りやがって……

 俺にも分けてくれよ……


 「えっ、はい」


 そう言うと【釣竿剣士】は潤いの沼魚を俺の方に向かわせて、水をかけてきた。

 違う、そうじゃないんだ……

 いや、回復はありがたいんだが……



 俺は自分の断崖絶壁を見下ろしながら色々と敗北感に包まれてしまった。

 これが持つ者と持たざる者の格差ってやつだな、全身から放たれる【余裕】という雰囲気からして違うな……


 「【包丁戦士】さん何言ってるんですか!

 いや~、【包丁戦士】さんはそのままが一番可愛くて格好いいんですから!

 私が惚れたのはこの【包丁戦士】さんですし!」


 ここぞとばかりにボマードちゃんが割り込んできて俺にアプローチをかけてきた。

 弱り目に祟り目とはこのことだな?

 





 【Bottom Down-Online Now loading……】

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