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594話 【聖帝黄龍】

 【Raid Battle!】



 【包丁を冠する君主】

 



 【菜刀天子】


 【次元天子】【上位権限】【聖帝黄龍】




 【沈黙の玉座に就きながらも】


 【次元をさまよい】


 【冒険者を導く】


 【聖獣を担うが故に】


 【深淵と敵対する】


 【幻界と現界の狭間にて】


 【聖獣たちの君主は】


 【聖帝黄龍としての責務を果たす】


 【レイドバトルを開始します】



  

 【菜刀天子】は全身から光の粒子を発生させると、その身をその粒子で包み込んでいき大きく姿を変えてきた。

 体躯は膨張するように膨れ上がっていき、近くにいたモブプレイヤーたちを吹き飛ばしながらさらに大きくなる。


 胴の太さはプレイヤー5人分くらいだが、長さはプレイヤー10人分くらいに伸びている。

 そして、人型ではなく蛇のように胴の長い黄色がかった龍へと姿を変貌させていた。

 【オメガンド】のように西洋風の竜ではなく、中国風の龍だな。


 ただ、俺がMVPプレイヤーになった影響があるのか、翼や尻尾が包丁の刃のように研ぎ澄まされているように見えるな。

 あれで凪払われただけで即死するのは一目瞭然だ。


 通常攻撃に斬撃属性が付与されている龍と考えればいいんだろうか……?

 

 「人型レイドボスだと思ってたのに変身してきたのら!?」


 「これは草www

 スケールがさっきまでと違いすぎるだろwww

 クソワロタwww」


 「凄くっ……大きいですわねっ!?」


 皆が口々に驚きを表現しているが、その中でも一人だけ妙に落ち着いているプレイヤーがいた。

 そのプレイヤーとは、白衣をたなびかせながら眼鏡を抑えている【検証班長】だ。


 「なるほど……やはりこう来ましたか……

 白虎、玄武、朱雀、青竜がレイドボスでしたからね、そうなればその次の局面で出てくるのは黄龍もしくは麒麟と想定していました。

 思っていたよりもスケールが大きかったようだけどね……」


 【流石は包丁次元プレイヤーを纏め上げている底辺種族ですね】


 【ここまでは読んでいましたか】


 ……【検証班長】はこの展開を予想していたようだ。

 だが、読んでいても想定以上のスケールの変貌に引いている節はある。

 

 「【菜刀天子】の髪の毛の色が黄色だったのもボクの予想を後押ししてくれていたし、青竜である【オメガンド】が忠臣的ポジションだと本人が言っていたからね。

 系統としてドラゴンが主軸なのかとも思っていたよ」


 お前、そんなこと考えていたのか。

 流石【検証班】なんて物好きの集まりを作っただけあって、妙なところに気がついて考えを深めていくのが好きなんだな。


 俺は普通に最後まで人型のレイドボスの【菜刀天子】と決着をつけるものだと思っていた。




 あ、ちなみに他の奴らが全く触れていないが、【菜刀天子】のレイドアナウンスがようやくフルオープンされたな。

 600話近くになってからようやくだぞ……

 35話で【菜刀天子】が初登場していたから、ここまで500話以上経ってしまっているのに驚きだ。

 もはや感慨深いまである。


 ずっと隠されていたジョブだか種族だか知らないが【聖帝黄龍】は聖獣の取りまとめ役のようなものなんだろう。

 多分だが、ジョブ種族複合タイプだ。

 【次元天子】も同様に複合タイプだから、かなり【上位権限】レイドボスらしく要素を色々と盛っているんだろうな。


 【【次元天子】であり【聖帝黄龍】である私に対してその物言いは軽率ですよ】


 【今の私はプレイヤーを導く【次元天子】の側面より、聖獣の君主としての【聖帝黄龍】の側面が大きく反映されています】


 【これまでのスキルを乗り越える試練は、私がゲーム運営プロデューサーの【山伏権現】に秘匿させられていた【聖帝黄龍】を完全に解放するための儀式のようなものでした】


 あー、だから俺たちが試練を突破してもやけに余裕綽々だったのか。

 ダメージを与えていないのもそうなんだろうが、本当の目的は試練を突破させることそのものだったってことだからそりゃ余裕な態度でいられるわな……


 まんまとのせられていたってわけだ!

 クソッ。



 【ここまでは【次元天子】としての範疇にあるものですが、配下である聖獣を呼び出し聖獣結界を張り、四聖結界へと昇華させたのは【聖帝黄龍】としてです】


 【ここからの私の苛烈な攻撃をどれだけ防げるか見せてもらいましょう】


 【【上位権限】解放、【天命昇華】】


 【私の配下ミューンよ、力を引き出しなさい!】

  

 【菜刀天子】が【上位権限】を発動すると、【菜刀天子】の腕に紫色の粒子が集まっていき腕を包み込むと、その形をより刃に近づけていくように変化させてきた。

 右腕が変形し現れたのは紫色の装飾が施されたもの。

 左腕に現れたのは純白の装飾が施されたものである。


 【この腕は【前片後斬刀ー紫兎】【前片後斬刀ー白虎】と一体化しました】


 【この【伝播】の力を宿した二振りの刃から試させてもらいますよ】



 「なんなのらあれはっ!?」


 「これは【包丁戦士】さんの報告にあった、【菜刀天子】が次元戦争で一度だけ使用したことがある【天命昇華】です!

 聖獣の本来の役割である武器としての側面を引き出すものだとか……

 ですので、あの刃と化した腕はミューンの力そのものを秘めていると仮定してもいいかもしれませんね」


 「そんなのありですか!?

 いや~、それって凶悪過ぎですよね!?」


 「妾のバフがあってもあれには歯が立たないでおじゃるよ!?」


 おい、それでいいのか【タウラノ】ォ!

 お前の下克上の志ってそんなものなのか……?






 【Bottom Down-Online Now loading……】


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― 新着の感想 ―
[一言] 実績で黄竜が居たから出てくるとは思っていたけれど次元天子の第二形態だったのか。いや、黄竜が中央じゃなくて白虎の所に居るの違和感あるな?
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