589話 同窓会
【第5の試練】
【聖獣顕現】
【プレイヤーは数で私を倒そうとしてきていますよね】
【そこで、ここからは私も味方を増やすとしましょう】
【現れなさい私の配下の聖獣たち【上位権限】ー【Summon follower】】
【菜刀天子】が新たな試練を宣言すると、【菜刀天子】の前にいくつかの人影が現れた。
……何人か見覚えがあるぞ!?
「……」
まず目についたのは無表情チャイナ服娘の【ミューン】だ。
俺以外のプレイヤーも多くいるからか口を開くことはなかった。
「お主ら、わっちもおるのじゃ!
全く……冒険者ギルドに全然来ないと思ったらこんなところで油を売っておったのじゃな……」
次に目についたのは青色の角、身体に所々貼りついている鱗、そして蒼天のような翼を生やし黒い着物を着たロリババア……【オメガンド】だ。
「こんなにプレイヤーが集まるなんて美しくないわね。
わたくしの美しさを見習って欲しいわ」
その次に気になったのは真っ赤なロングな髪を伸ばし、炎を象った肌の露出がいたるところにあるアダルティな服装をした女性……多分この流れからして【クシーリア】だろう。
真っ赤な翼生えてるし。
「お前たち、クランハウスの購入、増築をもっとしに来いよ!
儂はいつでも店で待っておるからな!」
最後に、身体が鉄で出来てるんじゃないかと思うほどのムキムキで二メートルを超えるほどの体躯のおっさんが拳と拳を合わせてポーズをキメながらクランハウスの宣伝をしてきた。
その背中にはドーム状の何かを背負っているようだ。
「こいつ、クランハウスを売っていたNPCじゃん!」
「うそっ、まさか敵だったの!?」
「知らなかった……」
最後のおっさんはクランハウスを購入したことのあるプレイヤーなら一度は遭遇しているのだが、誰1人としてただの気のいいおっさんとしか見なしていなかった。
俺も【検証班長】からレイドボス討伐後の会議で聞いたときから今に到るまで一度も考えたこと無かったが、こいつは……【ウプシロン】だな!?
知名度だと一番は冒険者ギルドを運営している【オメガンド】だろう、しかしその次に知名度が高いのはこのおっさん【ウプシロン】で間違いない。
他の二人はプレイヤーたちと接触する機会がほとんど無かったはずだからな。
俺と一心同体の【ミューン】はともかく、【クシーリア】の人間形態なんてここで初めて見たくらいだ。
【この聖獣たちがこれからプレイヤーたちの相手をします】
【もちろん、レイドボスとして戦った時よりはかなりスケールダウンされた状態です】
【精々、MVPプレイヤーより少し強いレベルでしょう】
【それでも数を頼りにして挑んできた底辺種族たちへの意趣返しにはちょうどいいはずです】
【この聖獣たちを乗り越えられるか見せてもらいましょう】
「勝てるのか……聖獣だろあいつら……」
「まさか相手が増えるなんて」
「聞いてないわこんなの!」
モブプレイヤーたちは急展開についてこれておらず、ただわめいている。
この状況はよろしくないな。
仕方がない。
手札はこの後の展開に残せるだけ残したかったが、ここで一つ切るとしよう。
俺はここが転換期の一つだと判断して胸元から一つのお札を取り出し放り投げた。
すると、そこから六芒星が輝き一つの人影が現れた。
それと同時に脳内に無機質なアナウンスが鳴り響く!
【Raid Battle!】
【下克上の陰陽妖狐】
【???】
【狐獣人(妖怪)】【陰陽師】【妖怪総大将】
【物事の陰陽を見届けるために】
【冒険者を教育する】
【聖獣であるが故に】
【深淵と敵対する】
【しかし君臨する者を裁定する定めにあるが故に】
【下克上を志す】
【妖しき者共を纏め上げ】
【己のミチを拓き征く】
【条件未達成のため開示拒否】
【レイドバトル同時発生につき難易度が上昇します】
【レイドバトルを開始します】
「妾の出番でおじゃるな!
って、ええええ!?
何で他の聖獣たちもいるでおじゃるかぁっ!?」
俺が呼び出したのは山間部エリアのレイドボス【下克上の陰陽妖狐】の【タウラノ】だ。
狐耳のロリ陰陽師で、呪術に長けたバフデバフメインの聖獣レイドボスだ。
残念なことに、聖獣なのに【菜刀天子】から呼び出されなかったこいつは俺が呼び出してやることになった。
小者狐とルル様に呼ばれるのに納得出来るほど小心者で、【タウラノ】の格上に値する東西南北のレイドボスたちの姿を見てビビってるようだ。
でも安心しろ、あいつらは今レイドボスとして来てない。
プレイヤーよりも少し強い程度らしい。
つまりだ、【タウラノ】の方が今は格上ってことだぞ?
「ほ、本当でおじゃるか!?
ふふふ、妾の方が上……いい響きでおじゃるな!」
【……タウラノを味方につけていましたか】
【まさか聖獣から敵対者が現れるのは想定していなかったですね】
【ですが、タウラノの性質上前線で戦うのはプレイヤーになるはずです】
【つまりこれである意味、聖獣たちと対等の戦いがようやく出来るように状態が整ったと言ってもいいかもしれませんね】
【驚きこそしましたが、ちょうどいいレベルです】
【では、かかってきなさい!】
【Bottom Down-Online Now loading……】