570話 思い出補正
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日は【フランベルジェナイト】に会いに行こうと思う。
前の次元戦争で色々と大変だったからな……
今どうなっているのか気になるし、放置しておくわけにもいかないからな。
というわけでやってきました渓谷エリア!
このエリア特有の冒険者ギルド……別名【オメガンド】の自宅にあるドリンクスペースで【フランベルジェナイト】と落ち合うことに成功した。
「やあフェイちゃん、今日はどのクエストを受けようか?」
【……えー、これは私じゃなくて【包丁戦士】の私の方に声かけてますね……
あの次元戦争が終わってから【フランベルジェナイト】さん少し変わっちゃったのでこういうことが増えてます】
あ、俺に直に話しかけてきたきたのかこいつ。
基本的に深淵種族擬きである【フェイ】を経由して会話していたのだが、あの聖剣次元での戦いのときは何も経由せず喋る機会が多かった。
それと、【ガルザヴォーク】の記憶を継承したっていうのが関係してそうだ。
いや、今日は特にクエストを受けるつもりはないぞ?
あの次元戦争後のお前の調子とかを確認しに来ただけだ。
強大な力を使ったあとだから反動とか変調とか無かったか?
「体調自体は問題ないどころか前よりも調子がいいくらいだよ!
でも、フェイちゃんと会える機会が減ってきてるのは残念かな」
【【フランベルジェナイト】さん、最近私に気づいていないことが増えてきたんですよね……】
だから代わりに俺に反応したんだな。
それにしても、体調が良くなって【フェイ】に反応しなくなったってことは、この【フェイ】の深淵の力を【フランベルジェナイト】は身体に取り込んでいるのかもしれない。
だから深淵の力が補充出来ていないタイミングで気配が薄くなった時の【フェイ】に気づけないんだろう。
俺が気づけているのは俺と【フェイ】が一心同体だからだろうか。
それとも【フェイ】が俺の配下になっているからなのかは不明だ。
そういえば、【深淵纏縛】で【ガルザヴォーク】の力を纏った時ってどんな感じだったんだろうか。
「あれは懐かしい感覚だったね。
炎を操るのは久々だったし、この身体でそれをやるのには骨が折れたけど長年使ってきた力だからかいきなりでもなんとかなったね!
このチュートリアル武器のフランベルジェとの相性もいいみたいだった」
ぶっつけ本番でも動揺せずそのまま使いこなしていたから感心していたが、そういう感覚だったのか。
炎自体を操ったことがあるならすぐに順応出来てもおかしいことじゃない。
だがプレイヤーに配られているスキルに【渦炎炭鳥】があるが、あれは同じ炎でも【燃焼】の力で、それに対して【ガルザヴォーク】が操っていたのは【侵略】と【阻害】の力を併せ持った炎で性質が全くことなる。
それをすんなり操れたのは【フランベルジェナイト】が【ガルザヴォーク】の記憶を継承したからとしか言いようがない。
スキルチェインでも二つの異なる力を同時に使えるプレイヤーは全くいないから、その異質さが分かるだろう。
炎の方は分かったが、あの衣装変更についてはどうだった?
鎧みたいになってたけど。
「あれは鎧に見えてたんだね。
鎧っぽい見た目だったかもしれないけど、身体は何も着てない時みたいに自由に動かせたからいつも以上のパフォーマンスを出せてたかな?
防御力も全ての攻撃に対して耐性を持っていたから、かなりダメージは減らせたんだけど、それでも【上位権限】持ち相手だと心許なかったみたいだ」
お前はカッコいい装備になっていいよな。
俺なんて、バニーガールにゴスロリ、そしてピチピチの軍服だぞ!
完全にコスプレイヤーと間違われてもおかしくないラインナップで、間違っても戦闘で着ていいやつはピチピチの軍服くらいだぞ。
その軍服も着てて恥ずかしいが……
「そんなことないよ!
フェイちゃんは何を着ていても似合う、素敵な女性だよ」
トゥンク!
なんだこのイケメン!
取り繕う様子無く、さらっとそんなキザなセリフを吐いて来やがった!?
【フェイ】が堕ちるのも無理がないな……
ちなみに、全部の衣装で一番好きなのはどれなんだ?
せっかくなので興味本位で聞いてみた。
「うーん、そうだね……
それでもやっぱりいつもの黒色のワンピースと黒色の帽子が好きかな?
出会ったときから一番見てる姿だからね」
あー、それは俺が姫プしてた時の衣装で、【フェイ】が生まれてからはフェイがそれを継承してるやつだ。
やはりあれが【フランベルジェナイト】の理想だったか……
思い出補正というものですね。
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