57話 毒物色
新年2話目の投稿です!
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日は【釣竿剣士】が気づいた棘亀の特徴を活かせる作戦……のための準備をしようと思う。
棘亀の特徴はくいしんぼう(【釣竿剣士】がそう言い張っている)らしいので、食べ物関係で攻めていきたいと思う。
何かしら食いついているくれるなら、食べ物に何か混ぜてダメージとか状態異常とか起こせるといいよな。
ということで毎度お馴染み新緑都市アネイブルのほのぼの市場(ほのぼのしているからというわけではなく、単純にそういう名前)に食材を集めにきたぞ!
【菜刀天子】には新緑都市アネイブルの特徴って少なくない?って言ったが、プレイヤーが勝手に作った市場の勝手が思った以上にいいので重宝している。
その辺に生えている雑草から、珍しい鉱石、プレイヤーメイドの装備など雑多なものが手当たり次第売られているから、なんとなく見るだけでも楽しめるし、行く価値がある。
おい、野菜屋のおっちゃん。
食べたら状態異常になったり、ダメージ受けたりする野菜とか売ってない?
「これはこれは……珍しい注文ですな。
いつものように食事用の材料集めではないのですな?」
このおっちゃんが「いつも」と言っているように、俺が新緑都市アネイブルのほのぼの市場で料理をするための野菜を集める時は、このおっちゃんの店で買い物をしている、いわゆる常連というやつだ。
何度プレイヤーキルしたか分からないくらいの仲である。
今回はレイドボス対策として、戦闘に使えそうな罠を作りたくてな。
他のゲームでも毒入り肉とか、食べると混乱する種とかあるだろ。
あんな感じのやつを作るつもりだ。
「そうですな……それならあの辺りはどうですかな?」
そう言っておっちゃんが指差したのは物々しい雰囲気を漂わせている売り場の一角だ。
プロモーションエンドにやけに目立つPOPで「危険食材格安販売!」と表示がされている。
よりによってエンド販売で危険物を売るか、普通?
と現実思考だと思ってしまうが、これはVRMMO。
そういったものが案外プレイヤーに人気なのかもしれない。
えー、何々?
この焦げたようなキノコは何だろうか?
一見トリュフにも見えなくはないが……とりあえず売り場の表示を確認。
ケムリダケ……
噛むと繊維から煙が出てきて咳が止まらなくなる。
喉も渇きます!
完全に焦げているキノコだな、これは!
用途がよく分からんがとりあえず購入しておこう。
このスイカみたいなやつも危険食材なのか?
俺の視線の先にはごく普通のスイカにしか見えないものが置いてある。
スイカは果実的野菜という分類で、果物とも野菜とも扱われる食材だ。
ただ、危険食材として扱われているこれが、それに当て嵌まるかは別だが。
拡散スイカ……
果実は食材として適しているが、種がとても危険!
種が傷付いて、種の中が空気に触れると爆発します!
うわっ、これは爆弾なのでは!?
このスイカそのものを使っても爆弾として使えそうだから、プレイヤーに人気がありそうだ。
ただ、アイテムボックスという機能がないからこの重さを常に持ち歩くのは難点かな……?
むかしの武士は討ち取った相手の首を腰にぶら下げながら戦っていたらしいけど、それに近い構図になってしまう。
使うにしても軽量化をしていかないとな。
これも購入していこう!
失敗することも考えて複数購入だ!
テカッテカに光っているナスみたいなものも売っているな。
紫色のこの茄子を見ているとなんとなくあの無表情チャイナ娘を思い出してしまう、最近よく見ているからかな。
紫だから毒でも入っているのか?
紫毒茄子……
とあるプレイヤーが秘密にしているエリアで採れる特別な食材……らしい。
どこにあるのか教えてくれなかったけど、特別に売っちゃいます!
食べると毒になります、試食したら3秒後に死に戻りしました!
なんでこんな凶悪なもの売ってるんだこの店は。
というかPOPでさらっと秘密エリアについて書いているけどいいのかな。
どこにあるとか、どんな場所なのか書いてないからプライバシーの問題はないだろうけど。
俺も秘密エリアとか見つけたいな、王宮以外で。
これはちょっと値が張るけど、珍しい食材ならしょうがないな。
今後いつ手に入るかわからないからあるだけ全部買っておこう!
「羽振りがいいですな!」
まあ、俺はプレイヤーキラーだからな。
キルしてドロップしたお金がわんさか貯まってるから金に糸目をつけない使い方をしても、全く懐が痛まない。
その辺の【モブ】は俺の財布みたいなものだ。
「……それでこそ【包丁戦士】さんですな。
お金さえ払ってもらえれば私としても問題は無いのですな!
毎度あり!」
だからこそこの野菜屋を俺は贔屓にしているのだ。
ちなみに、プレイヤーキラーを目の敵にしている店では俺はブラックリストに入っているらしく、店に入ることすら許されていない。
プレイヤーキラーの辛いところよな。
それはともかくさっき挙げたものや、その他の食材を諸々買ったので退散するとしよう。
王宮に帰ったら礼拝室で料理開始だ!
あえて毒物料理を作るとは底辺種族は意味不明ですね……
【Bottom Down-Online Now loading……】
15話くらいから一気に誤字報告してくださった方がいて驚きました!
見てみると、思っていたよりも誤字が多かったので非常に助かりました!
ありがとうございます!