55話 はじめてのクエスト!
本日2話目の投稿です!
くそっ、あれは初見殺し過ぎるだろ!
竜人ロリババアに消し炭にされた俺は再び冒険者ギルドに死に戻りした。
まだまだ色々と聞いてみたいことがあったからな。
さっきのバトル前に俺達が有利になるように取り計らってくれると言っていたが、具体的にどんな感じなのだろうか?
「それはじゃな、復興が進むにつれて貯まる復興ポイントでわっちの情報がどんどん底辺種族どもに公開されていくという仕組みにしておいたのじゃ。
お主も先ほど見えたであろう?
種族、ジョブ、称号色々あるが小出しにしてお主ら底辺種族どもを働かせておるのじゃ。
個人で貰えるポイントには、戦闘そのものに使用するポイントに応じた特典がつくことになっておる。
わっちの情報の他にも、ここでの戦闘に限ってじゃが戦闘中バフがかかり続けるというものまであるのじゃ」
かなり俺たちを贔屓してくれるんだな?
そこまでして冒険者ギルドを運営していくのは何故なんだ、言い方はあれだがこの竜人ロリババアは身売りをしているようなものだからな。
その動機が気になる。
「それは最初に言っておるであろう。
同胞の竜人たちを再びこの地に集めるためであるぞ。
集まる場所を作ろうにも、わっちらは力は強いが細かい作業には向いとらんからのう。
わっちだけでは到底竜人村を復興することは出来んであろうから、お主ら底辺種族の弱くとも器用なものたちに頼らねばならんのじゃ。
どうだ、理解したかえ?」
なるほどな、レイドボスと言っても行動理念があったりするもんなんだな。
既に倒した白虎やこれから倒す予定の棘亀、ニワトリカラスはこんな特殊なことをしていなかったが、実際はどうだったんだろうか?
「ほう、お主はミューンを倒したと言うのじゃな?
ふむ……、お主憑かれておるな。
あやつもお主と遊べて楽しんでおるようで何よりじゃ。
遊ぶことが一番好きなやつじゃからのう、ここ最近は会っとらんかったからどうかは知らんが」
憑かれている!?
疲れているの間違いと言ってくれ……たしかにフレンド欄に残り続けてるけどさ……
あいつは俺と楽しく遊んでたぞ。(大半は一方的な虐殺だったが)
……こいつの言い分からするとジェーは戦闘狂だったらしいから、ロリババアのように種族のために複雑な制度を駆使したりせず、新緑都市アネイブルでひたすら戦い続けたんだろうな。
……はやく成仏してくれ。
そういえば、雑用ってどんなのがあるんだ?
内容次第ではあるが、せっかくだし記念に1つくらい受けてから帰るか。
「そうじゃな……
冒険者ギルドに登録したてのFランク冒険者じゃとこのへんかのう?」
竜人ロリババアは棚に仕舞ってあった書類をいくつか引っ張り出してきて俺に差し出した。
どれどれ……雑草抜き、丸太運び、水汲み、泥かき。
うーん、本当に雑用しかないなこれ。
ポリンお嬢様はよくこの内容を見て冒険者ギルドって名前をつけようと思ったな、完全に地域のボランティア集団じゃん?
いや、明確には俺たちの場合報酬があるからボランティアではないのだが。
しかし、書類を見せてもらった以上何か受けないと引っ込みがつかない……
ここは……
雑草抜きでもやるか!
「ほい、これで受託じゃな。
その辺の雑草をこの袋いっぱいになるまで抜いてこい。
満タンになった袋をここに持ってきたらクエストクリアじゃ!」
クエスト……うん、雑草抜きもクエストと思うと少しモチベーションが上がる……ような気がする。
とりあえず移動するのも面倒なので冒険者ギルド周辺の雑草を抜いている。
ぐぬぬ、結構固くて抜きにくいなこれ。
周囲には俺と同じくクエストを受けたと思われる【モブ】たちが必死に草を抜いている。
そうだ、根から抜かなくても包丁で上の方だけ切れば良くないか!
ようは袋さえ満タンにすればいいんだろ?
ヨユーヨユー!
ほらっ、ガキン!
包丁で草を刈り取ろうとしたら雑草に弾かれたんだが?
しかもガキンだぞガキン、効果音的に草というより鉱石だろこれ!
「ほほほ、この土地はわっちの魔力を流しておるからのう。
雑草でもそれくらい固くはなるわい」
顔を上に向けて見ると竜人ロリババアが覗き込んでいた。
俺を見てニヤニヤと笑っている、こいつ……
どうやら俺の考えはお見通しだったらしい、悔しい……
だが、俺にはこれがある。
最小限スキル発動【フィレオ】っ!
いつも包丁を振り抜くくらい大きく斬擊を作り出しているが、今回は刃先が当たる部分だけに絞って細かく【フィレオ】を発動する。
するとどうだろうか、あの鉱石のように固かった雑草がスパッと切れた。
「ほう、珍しいスキルを持っておるようじゃのう。
感心感心、この調子で頑張っておくれ」
竜人幼女も少し驚いていたが、それ以上に俺の周りにいた【モブ】たちの方からざわめきが聞こえる。
「おいあいつ、この雑草を切っちまったぞ!?」
「でもあいつFランク冒険者だろ?俺もだけど。」
「くくく、面白いことになったなぁ?」
「ほう雑草をスッパリですか、大したものですね」
「案外あいつみたいなやつが世界を救うのかもな!」
「【雑草抜刀凶刃】の誕生だぁ!ヒャッホー」
「これからの冒険者ギルドは楽しいことになってきそうですね」
俺の周りにいた連中が口々にそれっぽいことを言っている。
気分は異世界転生してチート級の活躍をした主人公だ、多分周りの連中がそれをわかった上でわざとやっているんだろうけど。
冒険者ロールプレイのお約束みたいなものなんだろうか。
まあ端から見ると、俺は雑草を切っただけだし、周りの【モブ】も雑草を抜きながら喋っているというなんとも締まらない光景なんだが気にしたら負けだろう。
そうしてデメリットが極力少なくなるように【フィレオ】を連発して、袋いっぱいの雑草を集めた俺は冒険者ギルドの中へ戻った。
戻る際に周りの【モブ】たちに拍手されながらだったので正直恥ずかしかったが。
「見事な活躍だったようじゃのう。
ほれ、お主に10ポイントやろう。
メニュー画面を開けばいつでもポイントを確認できるようにしておいたから感謝すると良いぞ?
お主ら底辺種族どもはギルドカードを発行してそれで確認したいと言っておったが、すぐ死んでしまうお主らだとよく無くすじゃろ?」
そんなことはないぞ!
ちょっとだけ抗議したが、聞き入れる耳はなかったようだ。
こうしてはじめて冒険者ギルドでポイントをゲットした俺は、死に戻りで新緑都市アネイブルに戻ったのだった。
言ったそばから死ぬの良くないですよ?
これだから底辺種族は……
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