表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

549/2108

549話 恋思考

 くっ、互角の戦力である【ガルザヴォーク】と手数である俺たち二人がいたのに完封できず【フランベルジェナイト】という犠牲を出してしまったか……


 いや、ここは【上位権限】持ち相手にプレイヤーの犠牲者が1人で済んだことを喜んだ方がいいのだろう。

 【ガルザヴォーク】は戦力的に見ると味方と扱ってもいいが、こいつだけ残ったとしても正式な包丁次元のメンバーではないし、なんなら聖剣次元の存在なので俺たち包丁次元の敗北として扱われる可能性が高い。

 だからこそ俺だけでも生存出来たのは御の字だな。

 

 他の【菜刀天子】や【ペグ忍者】が生きているのか死んでいるのかは不明だが、俺が生きている限りは負けにはならないからな。


 【ぬぅ……急に力が抜けてしまったな……

 我の分体が消えたからか……?】


 【ガルザヴォーク】の別次元の存在である【フランベルジェナイト】が消えたからっていうのもあるだろう。

 だが、似通った存在がいなくなったからといって力が入らなくなるものなのだろうか。


 【【アイシア】との戦いで力を使いすぎたというのか……この我が。

 長い間封印されておったとはいえ、我ながら情けない……】


 あと、【ガルザヴォーク】に【堕音深笛】でバフをかけ続けていた【フェイ】が消えたからというのもあるだろう。

 あいつが【ガルザヴォーク】のエネルギー源となっていた節があったので、急に力が入りにくくなったのはガス欠みたいな現象かもしれない。


 明確な原因は不明だが、どちらにしてもこれからの【ガルザヴォーク】はさっきまでよりも弱体化しているのは間違いない。

 まあ、【上位権限】持ちレイドボスなんだからそれでも戦力的には申し分ないのだが、全次元最強のプレイヤーと呼ばれる聖剣次元のMVPプレイヤーを相手にするならそれでも足りないかもしれない。


 何せ【次元天子】を倒している実績があるからな。

 そして、この【ガルザヴォーク】も一度そのプレイヤー……【ランゼルート】にやられているらしい。

 

 【勘違いするではない、あくまでも封印されただけだ。

 あやつらは我の消滅を諦め問題を先延ばしにしたにすぎぬのだ。

 であるからこそ、封印の使い手を倒した今であればあの憎き【ランゼルート】に遅れは取らぬ!】


 なんだろう、喋り方はルル様にかなり似ているんだがどこか脳筋っぽさを感じるぞ。

 
















 「しつこいのらよ~!!

 スキル発動!【虎月伝心】なのら!」


 私はもう何度目になるか分からない【伝播】の力の集約を行い【ラクヨウ】さんに研ぎ澄ました力を放ちます。

 

 「これ厄介過ぎるだろ!

 派手だからいいけど、対処がメンドークセェぞ!

 スキル発動!【不死炎鳥】!」


 【ラクヨウ】さんはそのまま抵抗せず【虎月伝心】の【伝播】の刃によって切り裂かれていきましたが、光の粒子になる前に炎に包み込まれて身体が再形成されていきます。

 その姿はまさに不死鳥のようです。


 その反面、ちらりと【ラクヨウ】さんのスキルで出している炎の門が揺れて炎が弱まっていきます。

 効果時間が終わろうとしているのでしょうか……?


 「これ、かなりリソース使うから使いたくなかったんだがそうも言ってられない攻撃だったからしかたねぇよな……

 復活スキルはエフェクトが派手だから一回の戦闘で一回くらいは見てぇし」


 やはりスキルによる復活でしたか!

 包丁次元の【花上楼閣】のように死に戻りする前にその場で身体を再構築するスキルのようですが、デメリットが違うようですね。

 【花上楼閣】は死に戻り後や設置したリスポーンポイントが破壊されたときにスキルの使用について制限がかかりますが、スキル【不死炎鳥】は【ラクヨウ】さんの発言からすると何かしらのリソースを消費しているようです。


 「今度はこっちからいかせてもらうぜ!

 スキル発動!【比翼炎禽】!」


 【ラクヨウ】さんは復活した直後に、炎の羽射撃で私が追撃出来ないように妨害してきました。

 まるで花火のように鮮やかな炎が飛び交い、弾けながら飛翔する様子は現実では見ることが出来ない幻想的な風景になっています。

 途切れること無く放たれる炎に私は一瞬魅せられそうになりましたが、いくら綺麗でも相手の攻撃には変わりません。

 

 私はペグを投擲して、そこから通したワイヤーを手繰り寄せて真横に移動していきます。




 私が【釣竿剣士】ちゃんから伝授してもらった身体の使い方で、一番使っているのはワイヤーアクションをしているときの空中起動です!【釣竿剣士】ちゃんの引き締まった身体が空中で捻られる様子は目が飛び出るくらい凝視していたので今でも【釣竿剣士】ちゃんが脳内で飛んでいる様子を思い返せます。まず足に力を込めて筋肉の形が変わるのを意識してそこから力を込めたバネを一気に解放するかのように解放して宙へと飛び出します。そこでさっきも言ったように身体を半分捻りながら身体の向きを変えます。【釣竿剣士】ちゃんは胸が大きいのでここで凝視しておくと凄く見ごたえがありますね!ふへへへ……まあ、今の私のアバターだとそんなものは存在していないのでスムーズに身体を捻ることが出来ます。そこからワイヤーを引っ張りメジャーを一気に回収するような要領でワイヤーアクションをします。私だとワイヤーですけど、【釣竿剣士】ちゃんは釣竿に取りつけてある釣糸や、備え持っている別の釣竿で同じことをやったりしていますね!ただ、私がワイヤーという扱いやすいもの……体重が乗せやすいという点ですけど……を使っているのに対して【釣竿剣士】ちゃんは釣竿という強度も体重のかけやすさも違うもので似たようなことができるんですよ!流石ですよね!ペロペロしちゃいたいくらいですよ!あー、はやく次元戦争を終えて【釣竿剣士】ちゃんをストーキングしたいのら!







 ……なんだか凄い濃い思考が飛んできましたね。

 全く、せっかく劣化天子が呼び出したプレイヤーなのですからまともに戦っていてくださいよ。


 【Bottom Down-Online Now loading……】

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ