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54話 ギルドマスターの竜人幼女(挿絵あり)

 ちょっと情報戦というか心理戦というかなんと言っていいのかわからないものを繰り広げた俺【包丁戦士】と、ポリン(仮名)こと【トランポリン守兵】お嬢様だったが、何はともあれ目的地の渓谷エリアに到達することができた。


 「ここが目的地の渓谷エリアですわ!

 とくとご覧あれ!」


 そう言われて全景を見渡す。

 新緑都市アネイブルは見た目こそ木ばかりだったが、名前に都市がついているだけあってそれなりの規模があった。

 それに対してここは、村というのが当てはまる。

 山間部に立てられているエリアなので規模としては妥当ではあるが……


 村の中央には少し大きめな川が流れており、その川から水を汲んでいるプレイヤーたちの姿が見れる。

 川を跨ぐように橋がいくつか架けられているので、反対岸に渡るのも問題なくできそうだ。


 建物は丸太小屋のようなもので出来ており、新緑都市アネイブルと同じく木々を利用してはいるが、あっちは樹桐を建物として使用している。この渓谷エリアの建物も趣があっていいな。

 

 そして目立つのは1つだけ石造りになっている建物があることだ。

 建物の入り口が何かの口を表現しているかのように、門の両側に牙のような柱が打ち立てられている。

 建てたやつすごい趣味してるな、おい。


 「あれは竜人NPCが住んでいる建物ですわ!

 最近アナウンスで流れた実績照会にも竜人という項目がありましたのはご存知で?

 あのアナウンスが流れたすぐ後にあの建物の主である竜人NPCが出現しましたの。

 レイドボスの討伐がトリガーになって出てきたのか分かりませんが、新要素にはワクワクしますわよね?」


 あー、そのタイミングなら【検証班長】の耳に竜人の存在が届いてなくてもしょうがないなぁ。

 あの時はレイドボス討伐に全力を傾けていたし、手足となる検証班員も各地から集結していたし尚更だな。


 それにしてもNPCか!

 ようやくVRMMOっぽくなってきたな!

 今まで遭遇したことなかったし(サポートAIを除く)、どんな奴なんだろうか。


 「行ってみればわかることですわ!

 早く行きましょう!」


 急かすポリンお嬢様に背中を押されて悪趣味な石造りの家の中に入っていった。


 強引だなぁ。

 






 建物の中に入るとカウンター席のようなところで頭に角が生えていたり、体の色々なところが鱗に覆われているやつがいた。

 小柄な体型で着物のようなものを着ている幼女だ。

 あいつが噂の竜人NPCなんだろう、とりあえず声をかけてみるか。


 「……ふん、底辺種族どもがまた来よったか。

 それで?

 今度はどんな雑用をこなしてくれるのだ?」


 はい?

 なんか偉そうなNPCだな。

 色々言いたいことはあるが俺たちはやっぱり底辺種族なのね、【菜刀天子】が言っているだけだと信じたかったがそういうわけでもないらしい。


 あー、俺ここはじめてなんだけど雑用をこなすって何だ?


 俺の発言を耳にして肩を竦めさせて両手を挙げ、呆れたようなポーズをして問いに答えようとしてくれた。


 「あー、わっちは永い時を生きておってな底辺種族の顔などいちいち覚えておれんのじゃ。

 それで雑用の説明であったな、ここでは村の復興をお主ら底辺種族どもに委託しておってな。

 今でこそ、わっちがこの村に戻ってきたものの、まだ各地に散っている同胞の竜人たちは多いのじゃ。

 その同胞たちが戻ってくるための場所を作る下準備を、お主ら底辺種族どもに任せておるのだ、お主らは貧弱な種族じゃが手先は器用らしいからの」


 なるほど、この渓谷エリアの村は元々あったわけじゃなくてプレイヤーたちが切り開いたのか。

 プレイヤーたちコキ使わされ過ぎてない?

 報酬とかちゃんと出てる?大丈夫?

 竜人幼女の魅力に骨抜きになった変態しかいないんじゃないか、そう思ってしまう。


 というかこの竜人幼女、ロリババアじゃないか!?

 そうそう、こういうファンタジー要素いいよな!

 切り甲斐がありそうだ!


 「何やら不穏なことを考えておるようじゃの?

 この雑用を委託しておるわっちの家を底辺種族どもが勝手に【冒険者ギルド】と呼んでおるが、わっちには呼び名に拘りがないから好きに呼ぶがよい」


 「冒険者ギルド……やっぱりファンタジーRPGの王道をいくいい響きですわよね!

 雑用を受ける場所とは言っても依頼を受けられる場所と捉えれば、皆モチベーションが上がりますもの!」


 さてはお前が元凶だな、ポリンお嬢様。

 まあ、冒険者ギルドっていう定番の名称はやっぱりいいと俺も思う。

 

 「雑用を受けた実績で冒険者としてのランクが上がるようにしておいたのじゃ。

 お主ら底辺種族どもからの要望が多くての?

 このランクが上がるにつれて受けられる雑用の重要度が変わる仕組みになっておる、底辺種族どもにしては良い仕組みを考えおるわい」


 冒険者ランク!

 ……これは「あいつ、Sランク冒険者だせ!?」「何、あいつがあの!?」

 みたいな定番のあれを聞ける日がこの先やってくるのかもしれない、今はこの冒険者ギルドが施設として動き始めてからそんなに日が経ってないということで、ほとんど最底辺ランクの冒険者しかいないようだが。


 ちなみに、依頼の報酬とかどうなってんの?


 「……お主はがめついとよく言われたりしないのかの?

 報酬は雑用の重要度に応じてポイントを付与することになっているのじゃ。

 ……このポイントを使えばお主らが有利に戦えるように計らってやろう」


 有利に?

 なにと戦うのだろうか?


 「そんなもの決まっておるじゃろ?」











 「わっちじゃ!」


 目の前の竜人ロリババアが突如メキメキと音をたて姿を変えていく。

 そして俺の前に現れたのは藍色の竜だった。


 【Raid Battle!】



 【這竜渓谷の大盟主】 




 【???】


 【渓谷這竜】【竜人】【ギルドマスター】





 【種の存続のために】


 【冒険者を導く】


 【聖獣であるが故に】


 【深淵と敵対する】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】 




 【レイドバトルを開始します】


 ふぁ!?

 俺とポリンお嬢様は消し炭になった。














 冒険者ギルドとは……中々面白いことになってますね。

 これは底辺種族にしては良い行いです。


 【Bottom Down-Online Now loading……】


竜人ロリババアギルドマスターちゃんのイメージイラストです!

挿絵(By みてみん)

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