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535話 別行動

 【ディメンションバトル】



 【【1位 聖剣次元】VS【2位 包丁次元】


 【終了条件 陣営の全滅】



 【異次元の風が吹き荒れている】



 【聖剣が全ての導きとなる】


 【包丁が血を求める】


 


 【Duel Start!】






 さて、次元戦争が開始したわけだが……


 「聖剣なのら!?

 チュートリアル武器で聖剣ってチートじゃないのら!?

 【ペグ忍者】はペグなのにこの差は一体なんなのら……」


 【ペグ忍者】がワーワー騒いでいるが、全くその通りだと俺も思った。

 聖剣が初期の武器っておかしいだろ!?

 なんか、こう、聖剣ってイメージだと冒険の途中とかで手に入れる感じだと思うんだが……

 流石にゲームバランスを疑ってしまうが、このボトムダウンオンラインにまともなゲームバランスを求めるの時間の無駄だ。

 もっと建設的な話をしようか。



 「それで、フェイちゃんはどうしたい?

 俺はフェイちゃんだけ隠れさせて【ペグ忍者】と俺で戦うのがいいと思うけど」


 【そ、そんなこと出来ないですよ!

 わ、私も戦います!】


 【フランベルジェナイト】が【フェイ】(俺)に戦わず隠れることを提案してきたが、そんなことしているほど余裕はないだろう。

 それを見越してか、【フェイ】は一緒に戦うことを提案してくれた。

 

 「そうか……やっぱりフェイちゃんは戦うんだね?

 それなら、戦場でも君を守れるように俺が死力を尽くすだけさ!」


 この【フェイ】の身体を大事にしつつも、意見を尊重する謙虚さ。

 これがイケメンムーヴというやつだな。

 そして、俺は無事戦闘に参加することを認められたというわけだ。


 


 「それなら【ペグ忍者】は別行動するのら!

 虎獣人のスピードなら勝てなくても最悪逃げに徹すれば情報を持ち帰ることができるのらよ~

 つまり偵察、斥候の役割なのら……たまには忍者っぽいところも見せるのらよ!」


 【ペグ忍者】は自身の種族転生によって向上したスピード力で偵察してくれるようだ。

 別行動っていうのは若干不安があるが、こいつもピンチの時は逃げに徹すると言っているので、そこは信頼してやるとするか。

 一応2つ名に忍者ってついているし、そこも考慮した。


 「……私も別行動させてもらいます」


 うわっ、居たのか【菜刀天子】!?

 全く喋らなかったから気づかなかったぞ……


 「それじゃ、フェイちゃんは俺と一緒に行こうか」


 【は、はい!】

 


 そうして方針が決まった4人はそれぞれ動き出したのだった……














 「この森……【封印の森ダンサムント】は見覚えがあるんだよね。

 急にこんなことを言うとおかしいと思われるかもしれないけど、初めて見た場所には思えないんだよ」


 【そ、そうなんですか……

 不思議なこともあるんですね?】


 【フランベルジェナイト】と【フェイ】は俺を差し置いて二人で話ながら歩いていっている。

 【フランベルジェナイト】は俺を視界に入れているのか、入れていないのかよく分からないが、【フェイ】が俺の言葉を中継してくれているので無視されることはないけどやりにくさはどうしてもある。


 それで、【フランベルジェナイト】はこの【特異次元 封印の森ダンサムント】に見覚えがあるのか……

 普通に考えれば包丁次元のどこかにここと似た場所があるっていうのが自然の流れなんだが、あいにくそんな場所があるなんて聞いたことがない。


 一番似ているとしても新緑都市アネイブルだが、アネイブルは開発が進んでいるからここみたいに荘厳な感じはない。

 それなら、リアルで【フランベルジェナイト】の住んでいる場所の近くとか、思い出の場所とかなんだろう。

 少なくとも俺に見覚えはないからな。


 「故郷……いや、因縁の場所……?

 聖剣……封印……うっ、やっぱり何かが引っ掛かってるけど出てこないっ」


 なんか電波系の極みに達してきたな、このイケメン……

 俺は森の樹木を調べながらそんなことを思っていた。


 ここは全体的には神聖な力の流れを感じるが、奥に見える巨大な大樹からはどこか暗い気配を感じる。

 まだ大樹までの距離は遠いから正確に把握は出来ないが……


 もしかすると、この絶妙なバランスの正の力と負の力の拮抗が【フランベルジェナイト】になんらかの影響を与えている可能性は高いだろう。

 

 どちらにしても、とりあえずこのまま進んで確かめるしかない。

 それまでに敵とぶつかったらそれも困難だろうが、進む方向の目印にはあの大樹はちょうどいいだろう。


 「あそこに行けばこの不思議な感覚の謎が分かるのか……

 よしっ、フェイちゃん行ってみようか!」


 【は、はい!

 お、お供しますよ】


 【フランベルジェナイト】と【フェイ】はそう声を掛け合うと小走りしながらペースアップしていった。

 おいおい、俺をおいていくなよ!?


 





 「さて、虎獣人の超加速移動でぐるっと回ってみたのらけど……

 パッと見は敵側が見当たらないのらね……

 まるでこっちの動きを読まれているみたいな不自然さなのらよ?」


 私、キャリアウーマンの【ペグ忍者】です。

 アバターは幼女だけど、リアルではバリバリ働いてます。


 そんな私ですが、この森林を超スピードで駆け回ったのですが……何の成果もあげられませんでした!

 意図的に避けられているのでしょうか。

 それとも……





 と、不穏な予想を立てているとそれが的中してしまったようです。

 私が走っている後ろから何かが飛んできました。


 ひし形の金属製飛び道具……これは手裏剣ですね。


 「にゃにゃっ!?

 曲者なのらねっ!?

 もしかして、待ち伏せされていたのら!?」


 「はー、俺はいつもこんな役回りばっかりだ。

 待ち伏せ、潜入、隠密……やってられるかよ!

 ランゼルートみたいに俺も派手に活躍したいっていうのによー!」


 あの……これ、なんだか出会い頭に八つ当たりされてますよね。

 相手のプレイヤーは赤色の髪に白いメッシュの入ったオールバックの男性です。

 ……雰囲気から察すると、高校生くらいでしょうか。

 羽のように何本かの布が重なった赤色のマントを羽織った……Ninjaですね。


 決して【忍者】ではなく、【Ninja】です。

 私のアバターの忍者の格好も邪道感はありますが、あちらの服装はアメコミに出てきそうなヒーローの衣装に近いNinja服ですね。

 ……ものすごく派手です。


 本人の目立ちたいという願望が現れているのがよく分かります。

 それでも隠密任務を任せられるのは皮肉なのでしょうか……







 隠れる気はあるのでしょうか……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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