528話 Let's Go陰陽師
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日も山間部エリアで【タウラノ】と戯れにいくぞ!
というわけでやってきました山間部エリア。
俺は【タウラノ】の屋敷に無断侵入して、母屋まで直進!
何度か来ているだけあって、迷いなく進むことが出来るようになった。
そして、【タウラノ】が座っていると思われる場所……の真裏から戸を開けて包丁で先制攻撃を仕掛けた!
【Raid Battle!】
【下克上の陰陽妖狐】
【???】
【狐獣人(妖怪)】【陰陽師】【妖怪総大将】
【物事の陰陽を見届けるために】
【冒険者を教育する】
【聖獣であるが故に】
【深淵と敵対する】
【しかし君臨する者を裁定する定めにあるが故に】
【下克上を志す】
【妖しき者共を纏め上げ】
【己のミチを拓き征く】
【条件未達成のため開示拒否】
【レイドバトルを開始します】
「なっ、なんでおじゃるかっ!?」
【タウラノ】は小者狐とルル様に呼ばれているだけあって、俺の襲撃にこれでもかというほどビビっていたがそれでも腐ってもレイドボス。
おしりから生えている尻尾を駆使して包丁の動きを逸らし、俺の不意打ちをいなしてきた。
なんだ、近接戦闘はダメダメと言っておきながら案外動けるじゃん!
俺は感心したが、それが不服だったようで【タウラノ】は頬を膨らませてぷくーっという音が合いそうなほど不機嫌に膨れていた。
「それはプレイヤー基準でおじゃろう?
妾は聖獣レイドボスでおじゃるよ!
……他の聖獣たちと比べれば吹けば飛ぶ塵のようなものでおじゃる」
……俺はミューンのことを思い出してみる。
……たしかにそうだな。
「同意させても悲しいでおじゃるな……
それでなんで急に不意打ちなんてしてきたのじゃ!?
死ぬほど驚いたのじゃが!!!
今でも核がバクバクしておるのじゃが!!!」
核がバクバクって面白い表現だな。
レイドボスは心臓じゃなくて核が生命の根源だから意味は同じなんだろうが違和感が凄いぞ。
ちなみに、俺がお前を襲撃したのはそれが面白そうだと思っただけだ!
なにせお前とは直接戦ったことがなかったからな。
お前と話すたびに戦ったらどうなるか気になってたまらなかったからちょうどいいだろう!
「そんな傍迷惑な考えで襲ってきたとは意味不明でおじゃるよ!
じゃが、このまま無抵抗でやられるようでは聖獣の席の末端にいる妾の名折れでおじゃる!
ここはガツンと妾の力を見せつけてやるでおじゃる!」
なんとも小者っぽい言い回しだこと。
さあ、精々楽しませてもらおうか!
スキル発動!【深淵顕現権限Ж】!
俺は縄で縛って、布を口に入れて黙らせながら引っ張ってきたボマードちゃんを生け贄に捧げて深淵細胞を励起させていく。
黒い霧が俺の身体を包み込んでいき、内部から体質を変化させた後に尾てい骨付近からヌルヌルの尻尾が突き出るように生えてきた。
粘液を滴しながら滑らかに動く尻尾には禍々しさを感じさせる頭が付いていた。
これはЖ(ジェー)細胞……深淵種族であるジェーライトの力の一部を俺のなかに寄生させているものだ。
【Warning!】
【聖獣【下克上の陰陽妖狐】が深淵種族の気配を察知しました】
【聖獣であるが故に】
【深淵と敵対する】
【【包丁戦士】にヘイトが極大集中します】
あっ深淵種族に寛容な方の聖獣である【タウラノ】でも他の聖獣たち同様に聖獣防衛反応するのか……
ちょっと意外だったな。
「いくら妾が寛容でも聖獣であるという宿業からは逃げられないのでおじゃる」
そういうものなのか……
俺も長々しい宿業を持っているが、あんまり実感はないな。
「それは、お主の元々の性質に似通ったものが宿業になっているからでおじゃろうな。
……宿業はもう1つあるでおじゃるよ!」
【Warning!】
【妖しき者共を纏め上げ】
【己のミチを拓き征く】
【条件未達成のため開示拒否】
【【妖怪総大将】権限により百鬼夜行の数だけ輪廻転生を繰り返す!】
……発動したけど、なんか変わったか?
身構えていた俺だったが、俺の身体にも【タウラノ】の身体にも変化が起きたようには思えない。
力の変化が感じられなかったからな。
「まあ、今は関係ない権限でおじゃる。
詮索は徒労に終わるでおじゃるよ!」
それなら気にしないでおこう。
さあ、まずはジェーライトの力を見せてやろう!
スキル発動!【魚尾砲撃】!
俺は尻尾として生えているジェーライトの頭部にエネルギーを充填して、それを噴出させるかのように極太レーザーを放った。
「ふむ、プレイヤーにしては中々のものでおじゃるな。
じゃが妾の術で散らしてやるでおじゃる!
深淵には深淵をぶつけるのじゃー!
【式神召喚ー【邪深封印】】」
【タウラノ】は指で挟んでいた呪符を宙に投げ、そこから出てきた巨大な漆黒の蛇のようなモンスターに阻まれてしまった。
こいつはっ!?
「ヨォ、俺様の半身!
イャ~、また戦えるなんて嬉しいゾォ!」
禍々しい黒い霧を纏う蛇の正体は、俺の尻尾に生えているものと同じ……
そう、ジェーライトだった!
カッカッカッ、これは面白い構図じゃのぉ……
同種の我が配下同士の戦いとは!
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