527話 妖怪総大将
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日はあの後色々と検証して分かったことがあって実りがあった。
……ちなみにどんなことが分かったのかは秘密だな。
まあ、使うことはあるだろうし楽しみにしておいてくれ。
今日は山間部エリアにやってきた。
ここは深淵の力を持ったプレイヤーしか入れないといういわゆる裏ステージだ。
表ステージ相当の山間部エリアもあるようだが、俺は深淵の気配が強すぎるのか表ステージに入ることすら出来ておらず、強制的に裏ステージ送りになる。
俺がみすぼらしくも強烈な力を放つ石柱の門もどきを潜ると、その先には寝殿造の建築物が聳え立っていた。
昔の日本の貴族が住むような建造物に、俺は躊躇なく無断侵入しズカズカと我が物顔で闊歩していった。
そして母屋に到達すると、無機質な声でレイドクエスト開始のアナウンスが流れ始めた。
【Raid Battle!】
【下克上の陰陽妖狐】
【???】
【狐獣人(妖怪)】【陰陽師】【妖怪総大将】
【物事の陰陽を見届けるために】
【冒険者を教育する】
【聖獣であるが故に】
【深淵と敵対する】
【しかし君臨する者を裁定する定めにあるが故に】
【下克上を志す】
【妖しき者共を纏め上げ】
【己のミチを拓き征く】
【条件未達成のため開示拒否】
【レイドバトルを開始します】
おっ、また前よりもレイドアナウンスが解除されているな。
もうほぼ丸裸って言っても過言じゃないだろう。
「丸裸とはなんでおじゃるか!
もう少し気取った言い方をしても良いでおじゃろう……
妾はこれでも百鬼夜行を率いる妖怪総大将でおじゃるよ?」
俺の前に現れたのは妖怪狐ロリ陰陽師のレイドボス【タウラノ】だ。
新たに開示された情報によると【妖怪総大将】とかいうジョブに就いているようだが、それがどんなのもなのかよくわからないので凄まれても反応しにくいぞ。
「ふふふ、とうとうプレイヤーの中から妾の【百鬼夜行】に加わった者が出たのでおじゃる!
それで妾のジョブの【妖怪総大将】の情報が開示できたのでおじゃるよ……
ようやく妾のジョブが息をし始めて心から嬉しいのでおじゃるよ、これで聖獣窓際族からの脱却も近いでおじゃるな!」
……これはもしや、今までジョブにこそ就いていたが全く効果を発揮できていなかったというやつなのか?
【タウラノ】の発言からすると、プレイヤーが【百鬼夜行】に加わることで初めて効果が現れるものと判断できるが……
「大将というものは背負うものがあってこそ偉大なのでおじゃる!
つまり、【百鬼夜行】に加わったプレイヤーが多ければ多いほど妾の力が増すのでおじゃるよ!
ステータスは【百鬼夜行】に入っているプレイヤーの合計の数字の5分の1が妾に加算されるのでおじゃる!
はじめは小さい数字でおじゃるが、ゆくゆくは加算されたステータスだけでとんでもない恩恵を受けられるのでおじゃる。
これが【妖怪総大将】のジョブの一番分かりやすい能力でおじゃる」
ほう、それは面白いジョブだな。
今はプレイヤーに解放されているジョブは【テイマー】だけで、しかも【テイマー】は生き物を召喚できるようにはなるが、プレイヤー自身のステータスは低下してしまうという一長一短なものだからな。
【妖怪総大将】のように純粋にステータスが上がるものがあると俺としては嬉しいんだが、どうもそう上手くはいかないようで……
「残念じゃが、【妖怪総大将】は上位のジョブでおじゃるから簡単にはなれないでおじゃる。
最低でも妾を倒すか、妾から【妖怪総大将】のジョブを剥奪しないと無理でおじゃるな。
称号による一時的な権限の行使は可能でおじゃるが……」
まあ、レイドボスが就いている種族やジョブに、人権が与えられていないプレイヤーが簡単になれる……という上手い話はなく、かなり条件は厳しいようだな。
レイドボス討伐は言わずもがな圧倒的時間と労力を必要とするし、ジョブの剥奪なんて今までやったことないからな。
手に入れた称号による一時的なジョブ権限の行使が一番現実的だ。
俺の【アリーナチャンピオン】、【トランポリン守兵】の【クラフトマイスター】、【釣竿剣士】の【クラフトマイスター】と【クランリーダー】だ。
基本的にイベントの報酬として配られる称号に特別に付与されていることが多いが、【釣竿剣士】の【クランリーダー】が付与された称号は【ウプシロン】討伐の時に手に入れたらしいし、入手方法は色々とあるのだろう。
「もしかすると妾の【妖怪総大将】の権限も誰かが使えるようになるかもしれないでおじゃるな。
もちろん、簡単に譲る気はないでおじゃるが」
狐耳ロリ陰陽師はカラカラと笑いながらそう言いきったが、さてどうなることやら……
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