525話 合同検証始動
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日は【検証班長】が試してみたいことがあると言うので会いに行くぞ!
というわけでやってきました新緑都市アネイブルにある樹木をくり貫いた建物……クラン【検証班】のたまり場であるメッテルニヒだ。
「フェイちゃんも呼ばれたんだね。
一体なんの用事なんだろうか……」
【た、多分他のメンバーの顔ぶれから分かるような気がします……
検証自体は好きなので、【フランベルジェナイト】さんと一緒なら頑張れます!】
まず現れたのは俺の顔を見るなり急に虚空へと視線を変えて話し始めた【フランベルジェナイト】と、そのイマジナリーフレンドの【フェイ】だ。
こいつらが【検証班長】に呼ばれるケースって滅多に無いから、正直意外に思っている。
ちなみに、【検証班長】がこいつらを呼ばないのはただ単に思考が電波系で、話に混ぜるとややこしくなると思っているからだ。
実際ややこしくなるから事実だが、全く悪気のない【フランベルジェナイト】が最近不憫に思えてきたぞ……
「拙僧も呼ばれたのである!
お呼ばれするのは初めてで緊張しているのである!」
次に現れたのは【尺八僧侶】だ。
あまり影は濃くないが、これでも俺のクラン【コラテラルダメージ】に所属するメンバーだ。
……とは言っても、身内メンバーの元ハリネズミたちと普段はつるんでいるから俺と深い関わりがあるわけではない。
こいつが呼ばれたってことは……まぁあれ関係だろう。
そして、最後に現れたのは……
「ふひひっ、あてぃしは何をすればいいんですかぁぁ……?
検証なんてしたことないですぅぅ……」
クラン【コラテラルダメージ】のニューフェイスである【骨笛ネクロマンサー】だ。
慣れない環境にビクビクしている様子は、見ていて危なっかしさすら感じてしまう。
そんなことを思っていると、メッテルニヒの中から【検証班長】が現れた。
「よく来てくださいました。
【包丁戦士】さん関係のメンバーだけで揃えてみましたが、どんな共通点で呼ばれたのか分かるかな?」
ここにいるのは全員クラン【コラテラルダメージ】のメンバーだが、その中でもある共通点があると【検証班長】は言っている。
俺には見当がついているが、他の連中はどうだろうか。
あえて何も言わず見守っていると【フランベルジェナイト】が【検証班長】に対して回答した。
「ここにいるメンバーの共通点……それはズバリ、スキル【堕音深笛】の取得者だ!
俺とフェイちゃん、【尺八僧侶】は前々から使えていたのと、新しく【コラテラルダメージ】に入ってきた【骨笛ネクロマンサー】もその使い手だったと聞いているから合っていると思う」
「お見事です。
流石は【フランベルジェナイト】さん、ボクの意図をきちんと理解してくれているようでなによりです。
そう、今回は【堕音深笛】の検証に協力してもらいたいと思います」
【堕音深笛】の検証っていうのは【尺八僧侶】がいるって分かったときには気づいていた。
【検証班長】がわざわざ【尺八僧侶】を呼ぶ理由がそれしか思いつかなかったからな。
でも今さら【堕音深笛】の検証って何をするんだ?
前に【オメガンド】相手に色々試したじゃないか。
俺は疑問に思い【検証班長】に問いかけると、待ってましたと言わんばかりの表情で語りはじめた。
「実は、【堕音深笛】にもスキルチェインを発生させられるのではないかとボクは睨んでいるんです。
理由としては、レイドボス討伐以外でプレイヤーがスキルを手に入れた事例で、そのスキルはほとんどの確率でスキルチェインが出来ているからですね。
皆さんに身近な例としてはボマードちゃんの【名称公開】、【包丁戦士】さんの【フィレオ】のようなものです」
なるほど、【堕音深笛】のスキルチェインか。
その考えは全く無かったな。
俺が【堕音深笛】を使うタイミング自体がほとんどないので、そんなに考えて使っていなかったのもある。
「とりあえず皆さんには手持ちのスキルと組み合わせて色々試していただきたいと思っています。
もちろんボクの勘違いの可能性もあるので、徒労に終わってしまったら申し訳ないです」
「ふひひっ、やれるだけはやってみますぅぅ……」
「拙僧も修行の一環として精進させていただくのである!」
「フェイちゃん、俺たちも協力してあげようか」
【は、はい……
わ、私たちの強化に繋がるかもしれませんしやってみましょう!】
そんなわけで、【コラテラルダメージ】と【検証班】の合同検証会が開催されることとなったのだ。
何故だか嫌な予感がしますね……
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