521話 死体愛好家(ネクロフィリア)
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日は貴重な【コラテラルダメージ】加入者である【骨笛ネクロマンサー】をクランメンバーに紹介するための集会だ。
というわけでやってきました岩山エリアにある【コラテラルダメージ】のクランハウス。
この隠れ家のように佇むクランハウスはクランメンバーしか場所を知らないので安心して時間を過ごせる貴重な場所だから、こういった集まりには最適だ。
まあ、普段はハリネズミメンバーのたまり場と化しているからそんなに有効活用してないんだけどな。
「ガハハ!!!
【コラテラルダメージ】の集会なんて珍しいな!!!」
この暑苦しいガチムチおっさんは【槌鍛冶士】だ。
草原エリアの鍛冶場から出てくるのは俺が呼び出したりする時くらいしかないやつだ。
「全員で顔を合わせるのは久しぶりですからね。
いや~、賑やかなのも悪くないですね~」
こいつはボマードちゃん、頭お花畑の爆弾魔だ。
ロリ巨乳でタンクトップを着ている痴女みたいなやつでもある。
「フェイちゃんからの呼び出しならいつでも駆けつけるよ!
俺はフェイちゃんを守るためなら何度だって死に戻りしてみせる!」
このセリフだけなら王道物語の主人公とも言えるイケメンは【フランベルジェナイト】だ。
戦闘技術は【コラテラルダメージ】でも俺と同格……いやそれ以上かもしれないし、それ以外のセンスも持ち合わせているパーフェクトイケメンだ。
ただ、虚空に向かって話しかけているように見えるのが難点の電波系イケメンでもある。
「そして俺っちが【バットシーフ】ッス!
盗みのことなら誰にも負けないッスよ!」
【バットシーフ】後輩は先日会って話したから知っていると思うが、他のプレイヤーのアイテムを無断で盗みまくる、下手すると俺よりもバットマナープレイヤーだ。
さっきの【フランベルジェナイト】と合わせてこの三人は皆第3陣プレイヤーだし、死体を弄ぶお前とは相性がいいだろう。
「ふひひっ、そしてあてぃしは【骨笛ネクロマンサー】ですぅぅ……
特技はability【粉骨再身】とスキル【想起現像】を組み合わせてジョブ【テイマー】の権限で死んだプレイヤーの身体を蘇らせて操ることですぅぅ……
ふひひっ、死体っていいですよねぇぇ……」
こいつ、【コラテラルダメージ】に入りたいという変わり者だとは思っていたが、死体愛好家か!
性癖面では知り合いのなかで一番ぶっ飛んでるぞ、こいつ!?
流石に死体に欲情してるやつは人生で一回も見たことないから、新鮮というかどう反応していいのか分からないというのが正直な感想だ。
「また【包丁戦士】さんは変わった人を引き込みましたね!
いや~、もう慣れてきちゃいましたよ~
唯一まともなのは私なのは今まで通りみたいですね!」
いや、ボマードちゃんもまともかと言われると悩みどころだがな。
突拍子もないことを突然言い始めるやつはお前くらいだし。
「いや~、【包丁戦士】さんはいつも通り辛辣ですよね……
そういうところが好きなんですけど!」
はいはい、わかったわかった。
ボマードちゃんを軽くあしらっていく。
「ガハハ!!!
ワシの鍛冶技術は【骨笛ネクロマンサー】の役に立てるか!!??
何をしてやれるのかわからないんだが!!!」
「ふひひっ、そうですねぇぇ……
私は死体を操る関係で後衛なんですけど、身を守る何かがあると助かりますぅぅ……
死体を操っても先日の【包丁戦士】さんとの戦闘みたいに、すぐ私がやられたら意味がないですからねぇぇ……」
「フェイちゃんを守る仲間が増えることは喜ばしいことだね。
俺してもこれから仲良くさせてもらおう!」
「このクランは近接攻撃がメインのプレイヤーばっかりッスからね……
後衛はデバッファーのボマードちゃんくらいッス。
そのボマードちゃんも前に出ることが多いッスから純粋な後衛プレイヤーは俺っちの負担が減るから嬉しいッスね。
……これで先輩からしごかれる回数が減るかもッス(ボソッ)」
おいこら、聞こえてるからな!
【バットシーフ】後輩はあとでみっちり教育してやることになった。
よ ろ こ び た ま え !
「それにしても【骨笛ネクロマンサー】さんは身体の線がとっても細いですよね~
いや~、そういうのモデル体型っていうんですか?
スレンダーですよね!
動きやすそうで羨ましいです」
は?俺はキレた!
ボマードちゃんの胸をもぎ取るような勢いで揉みまくりはじめた。
なんだ?こんな大層なものをつけてるからって調子に乗るんじゃないぞ!
持たざるものの気持ちも考えて発言しろよ!
俺は自らの絶壁を嘆きながら号泣した。
動きやすさを優先したとはいえ、スタイルはもうどうしようもないからな……
「ふひひっ、思っていたよりも賑やかなクランですねぇぇ……
皆さんを死体にしたらもっと賑やかになりそうですぅぅ……」
えっ、こいつ普通にサイコパスじゃん……
死体愛好家はマイナーな性癖ですね……
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