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518話 【ペグ忍者】秘話

 【Raid Battle!】




 【包丁を冠する君主】





 【菜刀天子】



 【次元天子】【上位権限】【???】





 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【次元をさまよい】



 【冒険者を導く】



 【聖獣を担うが故に】



 【深淵と敵対する】



 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】




 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 今日は【ペグ忍者】とタイマンで話してみようと思う。

 あいつと二人だけで話したことなんて戦闘中くらいしかなかった気がするからな。

 たまには戦闘抜きでゆっくり話してみたかったんだ。









 というわけでやって来ました草原エリアのボマードちゃんライブ会場。

 

 「にゃにゃにゃ!?

 どうして【ペグ忍者】と【包丁戦士】しゃん二人でボマードしゃんのライブを見てるのら?

 【ペグ忍者】はそれよりも【釣竿剣士】ちゃんの姿を眺めていたかったのら~

 【釣竿剣士】ちゃんのライブとかあったら【ペグ忍者】は昇天しちゃうのら!

 はあっはぁっはぁっ!!」


 俺は歌いながら踊るボマードちゃんの姿を視界に捉えながらも、興奮して息が荒くなっている【ペグ忍者】にドン引きしている。

 こいつ、本当に【釣竿剣士】に対して執着しているよな。

 

 「当然なのら!

 【釣竿剣士】ちゃんの華麗な釣竿捌き、曲芸のようなトリッキーな動き、しなやかな体躯、魅力的なボディー、そして【ペグ忍者】に対して優しくしてくれたことが嬉しかったからなのらよ~」


 目を爛々と輝かせながら早口で捲し立ててきた【ペグ忍者】は、専門分野について語るオタクの姿そのものだ。


 身体関係とか戦闘関係とかは俺もよくわかるから納得できる。

 だが、【ペグ忍者】に【釣竿剣士】が優しくしただって?

 そんな様子俺は一度も見たことないんだが……

 何かの勘違いじゃないのか?


 「今でこそツンツンになった【釣竿剣士】ちゃんなのらけど、はじめから【ペグ忍者】に対してそうだったわけじゃないのら!

 このゲームを始めたばかりで戦闘もろくに出来なくて途方に暮れていた【ペグ忍者】に手を差しのべてくれたのらよ~」


 色々ツッコミたいところはあるが、一番気になったのは【ペグ忍者】が全く戦闘が出来なかったってところだ。

 流石にそれは嘘だろ?

 あれだけ熟練のフットワーク、ワイヤーアクション、投擲の正確性を見せつけられているんだからな。

 

 「それが……あれらはダメダメだった【釣竿剣士】ちゃんが手取り足取り教えてくれたからできるようになっただけなのらよ!

 元々は運動音痴だったのらけど、運動の基礎を【釣竿剣士】ちゃんが固めてくれたのら!」


 まじかよ……

 いや、たしかに【ペグ忍者】のことは【検証班長】から紹介されるまで全く知らなかったし、はじめから強かったわけじゃないのならむしろ辻褄が合う。

 異世界流のトレーニングが【ペグ忍者】のセンスを磨きあげたのだろう。

 もちろん、それで磨かれる前の【ペグ忍者】に才能が秘められていたからこそ伸びたんだとは思うけど。

 

 【ペグ忍者】は天性の身体を持っていたのにも関わらず使い方を知らなかっただけだったのだろう。


 「そして、感謝しているうちに【ペグ忍者】は【釣竿剣士】ちゃんへの感謝の気持ちと敬愛の気持ちを抑えきれなくなったのら!

 若干距離を置かれた【ペグ忍者】はそのまま【検証班長】しゃんに引き取られて、【検証班】のメンバーになったのら!」


 俺はボマードちゃんのラブソング【Booooom! Down】をBGMとして聞き流しながら、【ペグ忍者】の今に至る経緯を聞いていた。

 ラブソングは十中八九俺へのメッセージなので、真剣に聞いていると普通に恥ずかしいからな。


 【ペグ忍者】は【釣竿剣士】に半ば捨てられるような感じで【検証班長】に引き取られたと言っていたが、実際には【ペグ忍者】がある程度育ってきてこれ以上教えることがなくなったと思われる。

 【ペグ忍者】を一番使いこなせる人材……頭脳はピカ一だが戦闘力についてはからっきしの【検証班長】に【ペグ忍者】を託した【釣竿剣士】の名采配には感謝しかないな。

 俺と【ペグ忍者】がはじめて会った【ジェーライト=ミューン】討伐総力戦の時点で【ペグ忍者】はかなり出来上がっていたから、俺の推測は当たらずとも遠からずだろう。


 まあ、もちろん【釣竿剣士】が【ペグ忍者】の扱いを面倒くさがったのもあると思う。

 だってこいつの【釣竿剣士】への変態っぷりは異常だからな。

 普通に見てて怖いわ……


 「ぐへへへ……誉められても何も出ないのら~!

 【釣竿剣士】ちゃんに届け、【ペグ忍者】の愛!」


 届かない想いを叫ばれても反応に困るところだな。

 【釣竿剣士】が扱いに困るのもよーくわかる。

 【釣竿剣士】と【ペグ忍者】がもし同じクランにいたら包丁次元でトップクランになっていたのは想像に固くない。

 

 


 ……お前のゲームでの来歴はなんとなく分かった。

 それで若干マナー違反なのは知ってるが、興味があるから聞かせてほしい。

 【ペグ忍者】はそのかなり幼いペドボディのアバターを使ってるが、実際は成人してるだろ?

 年齢は二十代後半から三十代前半といったところか。

 

 なんでそんな予想が出来るのかって?

 それは俺がプレイヤーキラーだからな。

 プレイヤーキラーとしての活動で人の動きに敏感になっているから、細かい所作でなんとなく実年齢が滲み出てくることに気づいてた。

 明らかにそのアバター通りの動きじゃない。


 まあ、ゲームなんだから普段と違う体型にしてるやつなんてごまんといるから別に気にする必要はないんだが、ほら、喋り方とかな?

 なのら~……



 「ほ、【包丁戦士】しゃんは鋭いのらね……」


 【ペグ忍者】は冷や汗をたらりと流しながら、顔をひきつらせていた。

 痛いところをつかれた顔だ、図星なんだろう。


 「【ペグ忍者】はこう見えてもキャリアウーマンなのら~

 リアルではオフィスでパソコンとにらめっこしたりしてるのらよ!

 ……流石にリアルでこの喋り方はしてないのらけど」


 まあ、ロールプレイの一環だな。

 今までは聞きにくかったけど、何度か戦いを経験することによって育んだ絆(?)があるからようやく聞けたな。


 「ロールプレイといえば、ボマードしゃんはこうやってネットアイドルやってるのらけど、結構楽しんでるのらね~」


 ボマードちゃんのライブはそろそろ終わりを迎えるというところまで来ていた。

 今歌っているのは【名前を教えてア★ゲ★ル】というボマードちゃんのはじめてアイドルとしてデビューしたときの曲だ。

 【名称公開】からネーミングした曲名だが、これもラブソングチックなところがある。


 ボマードちゃんはあの様子を見ると楽しんでくれているようで良かった。

 チュートリアルステージでは【名称公開】の仕様で身体が重くなったりしてて号泣してたから、まさかここまで続くとは。

 ……ちょっと嬉しかったりする。









 嬉しかったり、嬉しくなかったりする……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[良い点] ペグ忍者の変態的な行動が最初は感謝からだったとは! こうやって話さなかったら絶対に分からないですね てっきり最初から変態なのかと思ってました [一言] ボマードちゃん、包丁戦士の前で歌って…
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