表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

509/2204

509話 踊子フランベルジェ

 「【包丁戦士】ちゃん、こんなところで会えるなんて嬉しいわ。

 私も一度あなたと戦ってみたかったのよね。

 それにその風船って私の彼氏のやつじゃないかしら?

 ……ここで会ったのも、私との縁みたいなものかもしれないわね」


 俺がモブプレイヤーを風船による上空からの奇襲によってキルしたところを狙っていたかのように現れたのは、大人の魅力を持った体型で、深いスリットの入った扇情的な中華服をきた女【虫眼鏡踊子】だ。

 ……俺が今手に持っているチュートリアル武器の風船の本来の持ち主である【風船飛行士】の彼女でもある。


 

 どうやらこの姉御肌の【虫眼鏡踊子】は俺と戦いたくてウズウズしているようで、戦闘が始まるのを今か今かと待ち構えている。

 そんな【虫眼鏡踊子】が手に持っているチュートリアル武器は揺れる炎の形を模した剣……フランベルジェだ。

 あんな珍しいチュートリアル武器の持ち主なんて心当たりが一人しかいない。


 「これも多分あなたのクランのメンバー【フランベルジェナイト】君のチュートリアル武器でしょ?

 お互いの身内の武器を使う相手同士で争うなんて……ちょっと背徳感があるわよね……」


 ちょっと浮気っぽい感じで言われると、俺までなんとも言い難い気持ちになるから止めてくれ……

 チャラ男と電波系イケメンとかいう乙女ゲーの攻略対象みたいなやつらだが、直に話をしていると面倒くささの方が上回るから対象外だ。

 ……【フェイ】という俺の分身が【フランベルジェナイト】にご執心なのは知らん、俺の管轄外だ!



 俺は途中でモブプレイヤーをキルして手に入れた錆びているバールを両手持ちにして、【虫眼鏡踊子】に殴りかかっていく。

 

 「ふふふっ、私の舞に翻弄されているわね?

 私、頼られることが多いのだけれど、とらえ処のない女としてもちょっと知られているのよ!」


 俺のバールによる殴打は剣舞でも舞うかのような独特なリズム感で回避されてしまった。

 そして、くるくると回りながら回避した勢いでそのままフランベルジェで俺に切りかかってきた。

 独特な揺れる剣筋は俺が今まで見たことがないもので、バールで受け止めようにもジャストガードさせられずバールに負担がかかってしまった。

 そのせいでバールがメキメキと今にも折れそうな音を発しはじめている……


 「私、演舞を趣味でやっているから実践的な剣筋じゃないんだよね。

 でも、たまにはこういうのも悪くないでしょう?」


 ああ、段々食べごたえのある相手に見えてきたぞ。

 サポート役としてしか【虫眼鏡踊子】のことを見ていなかったが、思っていたよりもヤるやつらしい!


 「あっ、やる気になったわね!

 私からも行くわよ!

 スキル発動!【獣王無尽】!」


スキルを発動した【虫眼鏡踊子】から黄色いオーラが溢れるように出ている。

 【獣王無尽】は【ペグ忍者】も使ってきた猫獣人に種族転生したプレイヤーが使える身体強化スキルだ。

 そのブーストによって強化された身体によって振るわれるフランベルジェの剣圧に、俺とあろうものがたじろいでしまった。


 豪剣と言ってもいい一太刀一太刀が重い斬撃を防ごうと手に持っていたものでガードしたところ、俺の錆びかけていたバールは粉々に粉砕されてしまった。

 ああっ、貴重な戦力がっ!?


 とりあえず時間を稼ぐためにポケットのなかに補給していた石を投げようとしたが、石を掴む前に触れたチクッとした感覚で直前で思い止まった。

 ここは出し惜しむ場面じゃないな、こいつを放置していたら俺の順位よりも確実に上にいくだろう。

 それを妨害するためにも、今こそ肉を切らせて骨を断つ時だ!


 こっちもここまで温存していたスキルを使わせてもらうぞ!

 スキル発動!【フィレオ】!


 俺はポケットからビール瓶の破片を取り出し、それを使い虚空で斬撃を放った。

 すると、斬撃を延伸するかのように斬撃が飛翔していき【虫眼鏡踊子】の喉元を切り裂いた。


 【フィレオ】は切断に特化した部位破壊スキルだ。

 それを放つには無償というわけにはいかず、代償として俺の左腕が勢いよく切断され空中へと飛び去っていった。

 そんな俺の代償を払って放たれたレイドボスすらも切断しうる一撃を諸にくらった【虫眼鏡踊子】は、無事とは言えず切断された首もとから光の粒子へと変換されていっている。


 「あとは、私の、彼、氏に任せ……る……わ……」


 そんな不穏な言葉を残しながら消えていった【虫眼鏡踊子】。

 このタイミングでそんな言葉を残すっていうことはだな……



 ちょうど俺たちが戦闘を行っていた場所の裏から気配がするのでそちらを凝視しておく。

 俺はプレイヤーキラーだからな、気配には敏感なんだ。

 そして、案の定、予想通りのうるさいやつが姿を現した。


 「ちょっwww

 察し良すぎてワロタwww

 鋭すぎて怖すぎるンゴwww

 んんっwwwでもオレが仇をとる以外アリエナイwww」


 そう、現れたのは俺に配布された逃走以外に使えていないチュートリアル武器の風船の本来の持ち主……【風船飛行士】だった!





 



 因縁の対決ですね。


 【Bottom Down-Online Now loading……】


活動報告で人気投票してます。


ぜひコメントをお願いします!


https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/788051/blogkey/2758178/



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ