50話 ワカラセ戦士
無表情チャイナ娘と料理を通じて少し仲良くなれた気がするので、本題の礼拝室探索といきますか。
この礼拝室は北に棘亀、南にニワトリカラス、東になんかよく分からない竜のようなやつ、西にジェー擬きの像が立っている。
レイドボスを模した像ってことは色々なレイドボスと戦った後だからよくわかるのだが、なんでここにレイドボスの像があるのかは謎だ。
こいつら神かなんかなのだろうか……?
入り口が南なので入ってすぐにニワトリカラスの像があるんだが、左右に2つ立っているのは礼拝室としての見栄だろうか。
東のよく分からない竜の像の裏には鏡が貼ってある。
おい、そんなところに鏡があっても手前にある像が邪魔なだけだろ!?
東のトッププレイヤーの【風船飛行士】と同じで地味な嫌がらせしてくるのか。
……ある意味ではお揃いである。
北の棘亀の像はお札が貼ってある、意味深に貼ってあるのでめちゃくちゃ剥がしてみたいのだが礼拝室だし一応自重しておくか。
西のジェー擬きの像は今までのジェーを見慣れていると違和感たっぷりだ。
まず、俺がよく見ていたのは兎形態のほうのジェーだ。
それにこの像には特徴的なウナギ尻尾がついていない。
……よく見ると台座が、ウナギのようなものが這っている感じで作られていた。
作りが地味に細かいが、現実との乖離があるなこれ。
ちなみに、この像の真横に何故かベッドが設営されており紫チャイナ娘はいつもそこで寝ているようだ。
俺が開放した設備だし家賃を払ってもらいたい……といいたいところだが、最終局面でこのお団子ヘアー娘が蛇腹剣次元の次元天子の攻撃を抑えてくれなかったら負けてただろうし、強く言い出せないところだ。
それにしてもあのパワーはなんだったのだろうか?
「那是秘密……
……ないしょ」
そうですかそうですか……
ならその魅力的な身体に直接聞くしかないよなぁ!?
行くぞ、スキル発動【フィレオ】【渡月伝心】!
俺は包丁を真横に素早く振り切り、飛翔する斬撃を3連続で飛ばした。
前も見たときに思ったが、満月になろうとしているが所々欠けている形になっているな。
ぐわっ、両手と左足が持ってかれたか……
さらに暗闇状態も重なり俺のコンディションは最高にバッドな感じになっているが、今はこの紫チャイナ娘の身体にワカラセることを優先しないとなぁ!
渾身のスキルチェインが迫るなか、チャイナ娘の眉間に皺がより、眼に力がこもっている。
そして眼の色が赤色へ、紫色の髪が白色へと変色するとゆっくりと口を開いた。
「……不允许假品。
【兎月伝心】」
その魅惑的な口から言葉が紡がれた後、紫チャイナ娘の隠し持っていた爪から紫色の円環が無数に放たれた。
その美しい光景を眼に焼き付けながら俺の既にボロボロだった身体は千切りに刻まれた。
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
死に戻りしてここに戻ってきたが、【菜刀天子】をスルーして礼拝室へ再度向かう。
サラバダー。
礼拝室に戻ってくると無表情チャイナ娘がふて寝していた。
というかスキル発動前に眼の色が変わるってカッコ良くない?
バトル物の漫画でそんな感じの描写とか設定とかあると燃えるのは俺だけだろうか。
そんなことを考えていると紫チャイナ娘がふて寝しながら声をかけてきた。
ちょっと頬がふくれている気がする。
「……そのすきるきらい」
スキルチェインのことか、それともスキルチェインさせるために発動させた元のスキルのどちらかだろうが気に障ったらしい。
だが、そんなことはどうでもいいのだ!
あの紫色の円環スキルを直に喰らってみてよく分かった、こいつが使う円環スキルは圧倒的に【菜刀天子】が使っていたやつよりも威力、出力、スピード全てが高い。
プレイヤーでここまでのスキルを使いこなせる秘訣を、是非ともいつか聞き出したいところだ。
……まあ、今はふて寝してるから教えてくれないだろうけど。
とりあえずそれ以上口を開いてくれそうになかったので紫チャイナ娘がふて寝しているベッドに潜り込み一緒に寝て残りの1日を過ごした。
あっ、礼拝室もっと調べれば良かった……
さっき千切りにしてきた相手と同衾とは……
この底辺種族の頭はどうなっているのでしょう……?
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とうとう50話に到達することが出来ました!
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