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49話 無表情チャイナ娘にごちそうを!

 【Raid Battle!】



 【包丁を冠する君主】




 【菜刀天子】


 【次元天子】【上位権限】【???】




 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【次元をさまよい】


 【冒険者を導く】


 【聖獣を担うが故に】


 【深淵と敵対する】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!


 最近連続して検証班や【釣竿剣士】に付き合っていたから少しの間フリーにしてもらった。

 執着していたジェーに比べると、どうしてもあの棘亀に対するモチベーションは低くなっているし仕方ないね。


 「それで今日はどうするのですか底辺種族【包丁戦士】。

 あなたの様子を見ていると、自由な時間にはプレイヤーキルをしている傾向にあるので今日もやるつもりですか……

 野蛮ですね」


 野蛮とはなんだ、野蛮とは。

 まあ、自由な時間にプレイヤーキルして遊んでいるのは本当だけどさ……

 だって楽しいじゃん?


 だが、今日は別のことをやろうと思っている。


 「珍しいですね?

 今日の天気は晴れ時々包丁ですか、外出の時は気をつけてください」


 いや、包丁が降ってくる天気ってやばいでしょ。

 そんなに俺がプレイヤーキル以外をするのが珍しいのか?

 たまに散策とかもしてるでしょ。


 「散策しても最終的にプレイヤーキルしている自覚はありますか?

 これだから底辺種族は……

 それで何をするつもりで?」


 礼拝室に行こうと思う。

 はじめに行ったときはすぐ死に戻りしたし、あの後もそんなに見てなかったからな。

 今日はじっくりこの王宮で時間を使うつもりだ、暇だったら後でこっち戻ってくるわ。


 「そうですか、追加設備を詳しく調べようとするのは感心ですね。

 ただ、別にここに戻ってこなくてもいいですから……

 底辺種族の匂いが移ります」


 どんな匂いだよ……

 まあ、【菜刀天子】の許可も降りたので礼拝室にレッツゴー!











 さて、来ました礼拝室。

 ここは次元戦争の勝利報酬で拡張された王宮の新設備礼拝室だ。

 解放された設備の効果で【菜刀天子】のスキル威力が上がったらしいが、それだけがメリットとは考えたくない。

 もしかしたら何かあるかもしれない。


 「……」


 それにこの紫チャイナ娘が我が物顔でこの部屋を占領しているし、よくわからない空間になってるな。


 「……」


 いや、何か喋れよ。

 いつも無言でいるか、寝ているかの2つしか見ていない。



 だが、今回は秘策がある。

 俺の得意な料理をこいつの前で振る舞ってみようと思う。

 材料は沼地で【釣竿剣士】が釣った魚や草原エリアで生えていたハーブ、その他新緑都市アネイブルの市場で調達してきた出所不明の食材だ。

 今回は塩釜焼きを作ろうと思う。


 礼拝室でそれはどうなのかと思うかもしれないが、礼拝室の南側にある鳥の像付近に炎が灯してあるのでこの炎を利用して料理をするのだ。

 聖火で調理するのは最高だぜ!(不謹慎)


 持ってきた食材や調理器具を並べ始めるとチャイナ娘が気になり始めたのか、礼拝室にあるイスを持ってきて俺の前にちょこんと座りじっと見つめ始めた。


 まず、ずいぶん前に【槌鍛治士】に作ってもらった簡易オーブン(炎は別途必要)を聖火の上に起き余熱する。

 沼でとれたウナギのような何かを一通り捌いてひらいたあと、水洗いして1度水けをしっかり拭く。


 「……」


 見てるのはいいけど、無言で見られていると絶妙にやりにくいな。


 入れ物に新緑都市アネイブル市場で手に入れてきた卵を割って卵白を入れ、少し泡立つくらいまで溶きほぐす。


 塩と小麦粉を加え、全体を混ぜる。

 卵白を混ぜるときには泡立て機を使ったが、こっちはヘラのようなものを使ってかき混ぜるぞ、ヘラと言っても女神の名前ではない。(小粋なジョーク)


 小麦粉を加えることで塩釜がよりしっかり固まり、焼き固まった塩がはずしやすくなるので市場で粘って手に入れてきたのだ。

 汎用性が高い食材なので値段をふっかけられたが、目の前で他のプレイヤーをキルして見せたら適正価格で売ってくれた、やったぜ。


 鉄板の上にさっき固めた小麦粉と塩の固まりを敷き詰め、その上に捌いたウナギのようなものを置き上に草原エリアで採ってきたハーブを振りかける、こうすると塩釜の中でハーブの香りが充満して沼臭さをとるのだ。

 さらに全体を包むように小麦粉と塩の固まりを包むように被せていく。

 この状態で放置すると塩が魚に吸収されていってしまうので、早めに焼くのがポイントだ、まあこのウナギのような何かが塩を吸い込みやすい性質かどうかまではわからないが……

 

 オーブンに入れて焼く。


 この時俺はやることがないのでチャイナ娘の横にイスを持ってきて座り、焼けるのを一緒にじーっと見つめる。


 「……」

 「……」


 お互いに無言なので奇妙な一体感がある。


 「……どれぐらいやく?」


 シャ,シャベッター!?

 これは快挙では?

 焦るな焦るな、冷静に対処するんだ俺。


 「ささささ30分くらいかな?

 興味持ってくれたようで何よりだ」


 めっちゃ動揺したわ。



 取り出して塩を割ってよけ、ウナギのようなのをほぐして器に取り分けるのだが、この塩釜を割るのが楽しい。

 包丁の柄を使って塩釜をパリンと割る、この感覚を画面の前の皆も1回は楽しんでみてほしい。

 

 ただ楽しむのもいいが、焼き上がってからも塩が魚に入っていくので、ほったらかしにせずに早めに塩を除き、目立つ塩ははけなどではらわないといけない。

 

 早々に塩を取り除いてあつあつを食べるのだ。

 最後にテキトーに買ってきた色とりどりの野菜を盛り付けて見栄えを良くして完成!

 うーん、いい出来だ!

 スクショとりたいくらいだ、いや、このゲームにスクショ実装されてないっぽいけど。


 完成したウナギのようなものの塩釜焼きを紫チャイナ娘の前にちょこんと置く。


 そうするときょとんとした表情でこちらを見てくる無表情娘。


 「我可以吃这个吗……

 ……これ、我たべていい?」


 今まで無表情だったが少し表情出してくれたな。

 たどたどしく俺に食べていいのか聞いてきた、言語変換が上手くいっていないのか言葉が少し拙い気がするがそれもご愛嬌だ。


 「食べていいぞ~

 いつもこの部屋に1人でいるお前のために作ったんだからな!

 ただ、これからはたまに俺とも喋ってくれよ。

 それが条件……ってどうだ?」


 「我明白了……

 ……どりょくする」


 ちょっと意訳が入ったな、大まかな意味は間違ってないが。

 

 あっ、塩釜だがもちろん俺の分は別に取ってある。

 当然だよなぁ!


 「嗯、好香啊……」

 「いただきます!」


 うん、ウナギのようなものの食感も悪くないし、ハーブで沼臭さも取れている、食材選びで問題はなかったようだ。

 味は……


 「好吃……

 ……おいしい」


 そうかそれは良かった。

 口に運んでみると塩釜の甲斐あってかいい感じの塩っけがあり、やめられないとまらない!


 





 俺はお腹一杯食べて満足した。

 横に座っている無表情チャイナ娘の表情が少し満足そうなのは気のせいではないと思いたいところだ。







 えっこの底辺種族【包丁戦士】が描写飛ばしてますが、平然と料理してますよこれ。

 2メートルほどあるあれを簡単に調理するとは……底辺種族侮れませんね……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

最近はじめて誤字指摘機能があることに気がつきました!


今まで指摘していただいていた誤字を一気に修正させていただきました、ありがとうございます!


これからもよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 聖火で調理するのは最高だぜ!(不謹慎)とこっちはヘラのようなものを使ってかき混ぜるぞ、ヘラと言っても女神の名前ではない。(小粋なジョーク)ってとこ好き
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