482話 次元戦争開始の余韻
【ディメンションバトル】
【【2位 釣竿次元】&【8位 アンカー次元】&【10位 望遠鏡次元】VS【3位 包丁次元】&【7位 ピッケル次元】&【9位 蛇腹剣次元】】
【終了条件 敵陣営のリング2つの収集】
【異次元の風が吹き荒れている】
【釣竿が救い上げる】
【アンカーが流動を押し留める】
【望遠鏡が根源を見破る】
【包丁が血を求める】
【ピッケルが硬き意思を打ち砕く】
【蛇腹剣が激しく取り巻く】
【Duel Start!】
アナウンスが鳴り響いたが、それによって相手のチームがどの次元か判明したな。
【2位 釣竿次元】&【8位 アンカー次元】&【10位 望遠鏡次元】というのが相手チームで、2位の釣竿次元は戦ったことがないが他の連中は一度次元戦争で戦った相手だ。
アンカー次元のMVPプレイヤーは夢魔たこす……タコロリだ。
俺と同じように身体の一部を人外のものに変化させてくる曲者だな。
そして、望遠鏡次元のMVPプレイヤーは牛乳パフェとかいうふざけた名前のやつだが、貴重な遠距離攻撃持ちだからこういった団体戦なら厄介な相手だ。
「釣竿のお姉さんってもしかして釣竿次元のMVPプレイヤーだったとかじゃないよね~?
充分強いからつい疑っちゃうよっ!」
パジャマロリのマキが【釣竿剣士】に突っかかっていったので【釣竿剣士】が困っているが、それは杞憂でしかないぞ!
【釣竿剣士】は俺と包丁次元で数々のレイドボスを討伐した仲間だからな。
「そもそも、【包丁戦士】が呼び出してたから敵ってことはあり得ないんだよね。
コッチとしても、疑ってないから安心していいよ」
石動故智は自分の個人情報を暴露しまくる割には、それ以外のところでは頭が回るらしい。
【釣竿剣士】にフォローも入れてるし、基本的には常識人なんだろう。
「そっ、それくらいうちも分かってるよ~!
冗談だから気にしないでねっ!」
だが、そんなフォローをもらった【釣竿剣士】は何やら思うところがあるようで上の空だ。
「私以外の釣竿使い……それもMVPプレイヤーとなると相当珍しいはず……
もしや……」
ブツブツ言っているが、こういうときの【釣竿剣士】に話しかけてもろくなことにならないから放置して進むのが吉だ!
さあ、いくぞ!
「おー!」
「【包丁戦士】は仲間に対してドライだね。
それが良いことなのか悪いことなのかはコッチでは判断しかねるけど」
それはたまに言われるが、そんなに気にしたこともないし今後気にすることもないだろう。
他人に興味はあっても、深入りするほどではない。
俺はただ血と汗の飛び散る戦いが好きなだけだからな。
その相手以上のことを求めることは、俺の本質的にもそんなにないはずだ。
よほどのキマグレが起きれば話は別だけど……
「とりあえず、一緒に動く~?
うちは一人で戦って勝てるのが牛乳パフェお兄さんぐらいしか相手にいないからバラバラになりたくないんだよねっ!
それに眠いし……」
パジャマロリはパジャマを普段着にしているだけあって、今にも寝そうな感じでフラフラしている。
こんなんでもMVPプレイヤーが務まるというのが不思議だが、実力は確かだから今は引き摺ってでも連れていっている。
沼地だからパジャマがドロドロになっていっているが、そんなことも全く気にせずパジャマロリはすやすや眠り始めた。
ちなみに引き摺っていっているのは、この中で一番身長が高い女騎士の石動故智だ。
身長も高いし、胸もデカイ。
そのアバターを違和感なく使用していることから、リアルと全く同じ体型のアバターなんだろう。
石動故智のネットリテラシーはザルよりも穴だらけだから、リアルの姿を全てそのまま反映させていることも普通にあり得るのが怖いところだ……
「全く、マキちゃんは手のかかる幼女だね。
ほっ、これくらいの重さなら苦じゃないから問題ないけど」
マキを引き摺りながら俺と【釣竿剣士】と同じペースで歩いてきているし、苦じゃないのは本当のようだ。
これがレベル2プレイヤーのスペックというやつか……羨ましい!
「石動さんからはそれ以上に生産プレイヤーとしての雰囲気を感じますね。
包丁次元では中々見ないタイプのようですが」
「コッチも戦闘以外だと、採掘がこのゲームのメインだから一次生産職でもあるんだよね。
前に【包丁戦士】から聞いたけど、包丁次元だと採掘関係が全く発展していないらしいね?
このゲームは鉱石を集めるのとか、トンネルを開通させたりするのが楽しいんだよ!」
「やはり生産プレイヤーでしたか!
これはこの戦いも期待できます!」
なんか生産プレイヤー仲間が見つかって【釣竿剣士】のテンションが上がってきたな。
どういう基準で認定しているのか不明だが、【釣竿剣士】が雰囲気から感じ取った才覚に関しては間違っていないだろうから気が合いそうでなによりだ。
一時的な仲間とはいえ、険悪な仲のまま戦うよりも連携が取りやすい雰囲気を作り出せればいざというときに出遅れることも減るだろう。
そんなことを思いながら俺たち四人は沼地を進むのだった……
採掘……あれが担当してますからね……
私の次元では栄えないでしょう。
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