480話 3v3次元戦争フラゲ
本日2話目の投稿になります!
前話を読んでない人はそちらからどうぞ。
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
俺がログインすると同時に【菜刀天子】が寄ってきて声をかけてきた。
イベントか?次元戦争か?
このパターンだと、そのどっちかだろう。
「劣化天子もわかってきているようでなによりです。
今回は次元戦争の告知ですね」
やっぱりか、そんなことじゃないかと思ってた。
【菜刀天子】からわざわざ俺に話しかけてくることなんて、基本的にはゲーム運営的に必ずプレイヤーに知らせないといけないことくらいだからな。
その辺は同じ【上位権限】持ちレイドボスだとしても、ルル様と違ってドライな対応が多い。
これでも一番初期に比べればかなりデレてきてるけど……
「今回の次元戦争は今までと比べるとかなり異色な方式です。
低能な劣化天子には難しいでしょうから、よく聞いておいてください」
【菜刀天子】にしては珍しい忠告の仕方だ。
それほど様変わりしたルールになったってことだろう。
しっかりと聞いておこう。
「今回の次元戦争は6つの次元での戦いとなります。
この時点で過去最高の参加数となっています」
たしかに、今まででも最高は4つだったからな……
その1.5倍となると混戦が目に見えてくる。
運営はそれを想定しているのか?グダグダにならないのか不安になってくるぞ……
「そこは劣化天子の心配することではないですよ。
もちろん、そこは考えられています。
今回はチーム戦です!
つまり3つの次元で1つのチームとなり、もう1つのチームと争うわけです」
なるほどな?
それならば多少戦略は意味を成すようになるか。
半分は味方だからな、そいつらと即興で連携できるかどうかが問題になってくるだろう。
友好的なやつらならいいんだが、好戦的なやつとか陰湿そうなやつとかもMVPプレイヤーの中には居たしイベント当日になってみないと安心はできなさそうだ。
【菜刀天子】も腕を組ながら頷いている。
こいつも同じ考えということだろう、ステッキ次元の変態ロリコン色欲紳士とかは絶対に同じチームにはなってほしくない……
「ちなみに、バランスを考えてゲーム運営側でチーム分けするらしいので、戦力が一極集中することはないので安心してください。
完全にランダムですと対戦イベントとして成立しませんからね」
そこは考えてくれるんだな……
毎回思うけど、イベントの難易度調整とかはわりとやってくれるのに、何でレイドボスとか他の仕様はプレイヤーに厳しいんだろうかと思ってしまう。
プレイヤー同士の争いはどっちかに鬼畜な所業をすると、もう片方がヌルゲーになるからその中間で我慢している……とかはありそう。
「そして、今回参加する次元の中で各陣営の最上位に位置する次元は、一名だけ自分の次元からプレイヤーを同伴させることができます。
今回、包丁次元が参加する次元戦争の最上位は2位の次元と3位の次元なので、2位の次元と3位の包丁次元からそれぞれ追加で一名選出できるということです。
ちなみにですが、私たちの次元以外のグループで行われる次元戦争は1位の次元VS残りの3つの次元というマッチングになるのは決まっています」
お、おう……
それは3つの次元相手でも単身で勝てるというのが運営に認められているということだろう。
そんなやつがいるっていうのは、十字架次元のMVPプレイヤーである綺羅星天奈から聞いていたが話し半分程度に聞き流していたので、本当に化け物みたいなプレイヤーがいるなんて驚きだ。
リアルチートな【釣竿剣士】ですら2つ名持ちプレイヤー相手だと二人が限界なのに、それを上回るって一体……
そして、包丁次元から味方を一人選ぶならさっき話題に出した【釣竿剣士】だろう。
つい先日俺が負けたばかりだし、あいつがいればどんな相手にも同様に立ち回れるからな。
俺だと遠距離攻撃が得意な相手にはめっぽう弱いが、【釣竿剣士】には間合いを詰める手段も、遠距離攻撃を弾く手段も、遠距離攻撃そのものもできるというオールラウンダー的な立ち回りが可能だ。
味方がランダムじゃないのは、レイドボス内在型の次元戦争の時以来だが、あの時も同様に【釣竿剣士】を選んでいることから俺の【釣竿剣士】に対する圧倒的信頼感がわかるだろう。
……ちなみに、あの時は【検証班長】も連れていっていったが、今回はMVPプレイヤーばかりの魔境に連れていくと即死しそうなのでやめた。
技の【釣竿剣士】、知恵の【検証班長】が揃えば完璧だったんだが、人数制限がある以上は取捨選択しないといけない。
【検証班長】には悪いが、今回は【釣竿剣士】にさせてもらうぞ。
あっ、そういえば勝利条件って何だ?
いつも通り陣営旗の取り合いか、相手陣営の全滅か?
俺はもはや慣れてしまった次元戦争の勝利条件を羅列して【菜刀天子】に尋ねた。
すると、見下したような目線で俺を眺めながら【菜刀天子】は口を開いた。
「今回は特殊だと言いましたよね?
当然勝利条件も異なっています。
それは、それぞれのMVPプレイヤーに取り付けられている相手のリングを集めて、そのうちの2つを自陣の長刀に通せば勝利となります」
なるほどな。
MVPプレイヤーを倒す必要はないが、少なくとも直接奪い取る必要はあるのか。
しかも2つってことは、何人か無視できるっていうことでもある。
4つのリングの内の2つ取ればいいなら、半壊で手早く勝利できるってことだ。
「それは間違いですよ。
リングが与えられるのはあくまでもMVPプレイヤーのみです。
助っ人に来た一人のプレイヤーにはリングがない……ということになっています」
あー、つまり【釣竿剣士】にはリングが与えられず、相手からしても倒しても無駄な相手になるってわけだ。
だから、【釣竿剣士】の化け物じみた動きを見たら一目散に逃げられるかもしれない。
相手が時間稼ぎにすら付き合ってくれない可能性がある辛い立場になるわけだ。
これは他のメンバーがどんな連中かにもよるが、【釣竿剣士】の運用が悩ましいぞ……
先日自分に勝ったプレイヤーですから、大駒として扱いたいのでしょうけど……
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