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48話 フィレオバーガー

【Raid Battle!】



 【包丁を冠する君主】




 【菜刀天子】


 【次元天子】【上位権限】【???】




 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【次元をさまよい】


 【冒険者を導く】


 【聖獣を担うが故に】


 【深淵と敵対する】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!


 今回は珍しく【菜刀天子】から俺に話しかけてきた。

 

 「底辺種族【包丁戦士】、最近何やら面白そうなことをしていますね?

 たまには私も導くということをしてみますか……それが本来の特性ですから。

 機密事項に抵触しない範囲でアドバイスしますが、スキルチェインは現在この次元で使えるプレイヤーはほとんどいません。

 この意味をじっくり考えてみると答えが見えますよ?

 ただ、法則は思っているよりも複雑なので安易に決めつけると足元とられますよ?」


 おっ、サポートAIっぽいじゃん!

 ただ、試そうとしていることの意義の半分くらい失わせるのはやめてくれぇ。

 ほとんどのプレイヤーが使えない現象って分かったらレイドバトルでみんな一斉にスキルチェインを使うって計画が水の泡に……


 まあ、俺はスキルチェインによるデメリットで他のプレイヤーが自滅するのを見るのが楽しみなだけだったので他の方法を探すだけだが。


 「……本当にこの底辺種族は悪い意味で真っ直ぐですね。

 いえ、4回くらい曲がって真っ直ぐに戻っているように見えるだけですか。

 どちらにしても悪趣味なのではやく更生してくださいね」


 いやです。

 なんか説教が始まりそうだったので俺は速やかに王宮を後にした。

 【菜刀天子】、また明日な~







 ということがあったんだけど、お前ら何か意見とかある?

 上のやつ回想シーンね、今朝のだけど。

 俺は草原エリアにいる【検証班長】たちにスキルチェインについて伝えた。


 「いえ、そもそもサポートAIの【菜刀天子】について教えてもらえませんか?

 今初耳なのですが、あなたはレイドボス討伐が終わってからまた何やら事件を起こしていたようですね?

 検証班長としては嬉しい限りですが、気分は切り裂きジャックを追う警察の気分ですよ……」


 あっやべっ、こいつらに【菜刀天子】や王宮のこととか次元戦争について全く話してなかったわ。

 ここにいる中だと、かろうじてボマードちゃんや【釣竿剣士】に触りだけ説明していたがこいつらにも詳しく話してない。

 ボマードちゃんは【菜刀天子】には会っているが、その後の下りについてなにも知らない。

 【釣竿剣士】には次元戦争という公式イベントがあったということとそれについての説明くらいか。

 こいつらはともかく、【検証班長】に話してなかったのは不味かった。

 情報を秘匿していたからか、めっちゃ目が怖い。



 なので、スキルチェインの話に進む前にざっくりと覚えていることを説明した。

 【検証班長】に分からないことを投げておくと細かい検証までいつの間にかやってくれているので、情報を譲り渡しておくのは得策だろう。

 ボマードちゃんの【名称公開】の時も俺の知らない間にデータを集めていたようだしな。


 説明が一通り終わり、【検証班長】が落ち着いたところで話題をようやくスキルチェインに戻した。

 ほぼ俺と【検証班長】しか喋ってなくない?

 大丈夫他の人たち?


 「当然ですよ、生産プレイヤーなら。

 単純に私が口を挟むよりも、【検証班長】さんが纏めたほうが早いので……」


 そうだろうな、1人で産業革命を支えてそうな【検証班長】だ。

 俺と2人で話したほうが圧倒的に進みがいい。


 「【包丁戦士】さん、ボクをなんだと思っているんですか?

 どう考えても持ち上げすぎなんですよね……?

 では話の続きですが、実際に持っているスキルでスキルチェインが発動するか試してみましょう!」


 実戦ということだな、とりあえず俺は【釣竿剣士】と向かい合ってお辞儀をする。

 会釈会釈会釈!


 「私の相手は【包丁戦士】さんですか、よろしくお願いします。

 では私から、【渡月伝心】【魚尾砲撃】!」


 【釣竿剣士】がスキルを発動しようとする。

 両方とも最近見慣れてきたスキルだ、プレイヤーキルをしているとその辺の【モブ】がよく使ってくるのでこの次元にもスキルが馴染みつつあるのが身をもって実感できる。

 エネルギー波に備えてバックステップで衝撃に備える。



 が……何も起きない。


 「……不発ですね。

 これは生産的じゃないですね……」


 ちょっとガッカリしているな。

 どうやらスキルチェインが起きないときのスキル同時発動は不発扱いのようだ。

 先手は俺が譲ったんだし、次は俺の攻撃だ!

 【渡月伝心】【魚尾砲撃】!

 



 ……やはり不発か。


 「どうやら、この組み合わせだとスキルチェインが起きないみたいですね。

 私と【釣竿剣士】さんで同じ現象ですし」


 なんとなくそんな気がしていたが、念のためやってみたまでだ。

 深度の違いとか、アビリティ、称号の違いで何か変わる可能性もあったしな。


 「次は私の番……ですが、組み合わせるようなスキルを持っていないので普通に攻撃しますね?

 釣竿一刀流【抜刀斬】!」  


 【釣竿剣士】は手に持っていた釣竿を1度ケースに仕舞うと、腰を低くしそのまま俺に接近してくる。

 あっ、これアニメとかで見たことあるわ、抜刀術ってやつだろ?知ってる知ってる。

 刀を鞘から引き抜く勢いを加速させて斬撃を行うというものだ。

 ただでさえ化け物じみているこいつの釣竿捌きに瞬発力が追加されると鬼に金棒だ。


 このままだと犬死にするので、何かスキルの組み合わせでも試すか。

 う~ん、斬撃には斬撃をぶつけてみるか。

 

 「何でもいいからとりあえず凌がせてくれ!

 スキル発動【フィレオ】【渡月伝心】!」


 祈るようにスキルを発動する、デレてくれよ~システムぅ!


 

 【スキルチェイン【フィレオ】【渡月伝心】】




 【追加効果が付与されました】




 【デメリットが増加しました】



 脳裏にアナウンスが流れ込む、よしっ。

 

 【釣竿剣士】の釣竿がケースから引き抜かれるのに合わせて俺も包丁を振り抜きその動きに合わせにいく。

 ただ、この超人類の花飾り少女の動きに比べると遅れが出ている。

 このまま行くと俺の包丁が釣竿の軌道を立ち塞ぐ前に、俺の体を釣竿が貫いているのが端から見ると想像できるかもしれない。

 しかし、包丁が間に合わなくても【フィレオ】は飛翔する斬撃、刀身が間に合わなくても軌道を妨害して鍔迫り合いに持ち込むことは可能、完璧な想定だ!

 ただ俺の想定とは異なったのは、スキルチェインによって満月を描くように斬撃が3つ重なって飛んでいっているという点だ、

 三日月が集まって満月になろうとしているのかと思えるが、満月になるには形が歪だが、連なって飛翔する3連撃を撃ち落とすのは至難の技だろう。

 

 


 実際、飛翔三連撃の1つは抜刀斬で切り落とされたが、残りの2つは【釣竿剣士】の片腕を落とすことに成功した。

 このスキルチェイン使えるぞ!


 そう確信した俺はどや顔で【釣竿剣士】を見ようとするが……?

 んっ、視界がおかしい……

 それに体の感覚も……いや、これは四肢が3つ飛んでいってるな。

 左腕と両足だ、【フィレオ】のデメリットが増加した場合はこうなるのか。

 じゃあ【渡月伝心】は……たしか自身にスタン状態がかかるんだったよなぁ……

 あっ、やっぱり体は動かない……目が見えなくなっているのもその延長か?

 暗闇状態ってやつだろう、この状態で動くのは難しいだろうな。

 使用後に隙がかなりできるし、これも使ったらほぼ死に戻り確実のスキルというわけか。


 「暗闇で動けないのは甘えですよ。

 生産プレイヤーなら心の目で見て動いてください!」


 生産プレイヤーに求める基準が高すぎる!!

 

 その後為す統べなく、片腕の青い服を着た少女に一刀両断された。

 ……釣竿で斬られるっておかしくないか?

 そう思ったが、返答がなんとなく予想できたので聞くのは止めておいた。











 当然ですよ、生産プレイヤーなら!(汚染)






 【Bottom Down-Online Now loading……】




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― 新着の感想 ―
[一言] 確かになんで釣竿で斬られるんだ...?
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