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479話 修行の成果

【Raid Battle!】



 【包丁を冠する君主】




 【菜刀天子】


 【次元天子】【上位権限】【???】




 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【次元をさまよい】


 【冒険者を導く】


 【聖獣を担うが故に】


 【深淵と敵対する】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【レイドバトルを開始します】




 はい、今日も元気にログイン!

 今日は【釣竿剣士】に会いに行こうと思う。


 前に【ペグ忍者】と修行しているのを見かけたし、久しぶりにあいつと戦いたくなってきたからな。

 【深淵奈落ー中層 ルルナティック】の攻略については、深淵機構の突破方法が思いつかないから保留となった。

 復刻版とはいえ、レイドボスソロ攻略は流石にいきなりは無理だぞ……







 そんなこんなでやってきました沼地エリア……無限湖沼ルルラシア。


 「おや、ここに来るとは珍しいですね?

 もしかして料理の材料補充ですか!

 生産プレイヤーとして精が出ますね」


 俺を見かけて声をかけてきたのは、青い花飾りをした大学生くらいの少女……【釣竿剣士】だ。

 手にチュートリアル武器の釣竿を持っていることから、釣りの最中だったと思うが修行はどうした?


 「修行……?

 あっ!?もしかして、どこかで見られてましたか?

 見ていたのならば分かると思いますが、新技が中々仕上がらないので息抜きに釣りをしているところです。

 釣りはいいですよ、荒んだ心が癒されます……」


 うっとりと惚けた顔をしながら手に持っている釣竿を、まるで恋人の身体を撫でまわすかのようにねっとりと触れていく。

 思わず俺の身体もぞくぞくしてしまったぞ……


 そんな【釣竿剣士】の釣りに付き合ってもいいのだが、そろそろ【菜刀天子】との決戦も近いのだ。

 俺の戦闘訓練に付き合ってもらいたくてここに来たからには、戦ってもらわないと埒が明かない。


 「ああ、訓練ですか……

 いいでしょう、生産プレイヤーは身体が資本!

 私も【ペグ忍者】以外と本格的な戦闘がしたいと思っていたところです。

 受けてたちましょう!」



 よしっ、そうと決まれば話は早い!

 俺は腰から提げていた包丁を手に持ち【釣竿剣士】へと飛びかかっていく。

 先手必勝だ!


 俺が振りかざした包丁が【釣竿剣士】の脳天を捉えようとした瞬間、【釣竿剣士】は腰を下げ、身体を屈めながら釣竿を構えている。


 この構えは【釣竿剣士】の初動として考えるならあれか!


 「甘いですよ!

 スキル発動!【現界突破】!

 そして、釣竿一刀流【抜刀斬】っ!」


 【釣竿剣士】はケースに入れていた釣竿を一気に引き抜き、上方から切りかかっていた俺の包丁と相殺させてきた。

 しかも、特に焦った様子もなく平然とそれをやってのけるのは、流石リアルチートの【釣竿剣士】だな。


 「今度はこちらから行きますよ!

 釣竿一刀流【石砕き】!」


 【釣竿剣士】はルアーを高速で鉄球に切り替えて、そのまま俺に向かって振り回してきた。

 鉄球だから当たると痛そうだが、普通のルアーをつけている時と比べると技のスピードが遅いから回避すること自体は問題ない。

 だが……



 ちっ、やっぱり地面を砕いてきたか!

 釣竿一刀流【石砕き】は鉄球がぶつかった地面を隆起させて石の壁を戦闘フィールドに作り出してくるのだ。

 俺と【釣竿剣士】の間には六つほどの石の壁が作り出されて、俺は【釣竿剣士】を目視しにくくなった。

 

 本来ならば、二人とも近接攻撃がメインだから条件としては同じなんだが……【釣竿剣士】の場合はここから繋がるアレがある。



 俺もそれに対抗すべく事前に準備をしていく。

 スキル発動!【天元顕現権限】!


 俺は左肩から黄金色の天子の翼を顕現させて浮かび上がった。

 だが、浮かび上がるだけでは【釣竿剣士】の次なる手を防ぐことはできない。


 それを裏付けるかのように石の壁の向こう側から殺気が飛んできた。


 「それで逃げられると思っているんですか?釣竿一刀流【斬祓】っ!」


 石の壁の向こう側から斬擊が貫通して飛んできた。

 釣竿を扇状に高速振動させながら振るわれる一撃は、触れるものを瞬時に破壊する恐怖の対象だ。


 だが、この一連の流れは闘技場イベント決勝戦でもう見た!

 来る攻撃が分かっているなら対策も打てるぞ!

 スキル発動!【渡月伝心】!


 

 【スキルチェイン【天元顕現権限】【渡月伝心】】



 【追加効果が付与されました】



 【スキルクールタイムが増加しました】



 俺は包丁から黄金色の粒子を発生させて、【釣竿剣士】の釣竿一刀流【斬祓】による高速振動と相殺させる。

 いくら破壊力があるといってもこっちの粒子は無数にある、こうなってくると破壊と創造どっちが上回るかという話になってくる。



 【釣竿剣士】も俺と同じ判断をしたのか、釣竿の握りを変えてきた。

 何か来るか!?


 「釣竿一刀流【発光】!」


 どういう原理なのかは分からないが、辺り一面を輝かせるほどの光を釣竿から発生させてきた。

 これがスキルでもアイテムの効果でもないというのが規格外で、相変わらず呆れてしまうがそんな呑気に呆れている場合でもない。

 完全に【釣竿剣士】を見失ってしまったからだ。




 【釣竿剣士】が発生させた光だから、本人はこの光の中でも見えているのだろう。

 下手な暗黒空間よりも厄介なこの状況……

 何処から仕掛けてくる!?


 俺は全方面からの攻撃を警戒しているが、プレイヤーキラーである俺であっても【釣竿剣士】の気配は読みきれない。

 こうなれば、周囲に範囲攻撃をしかけて先手を打つしかない。

 待ちの姿勢だと向こうの思うつぼだ。


 いくぞ!

 スキル発動!【渦炎炭鳥】!


 【スキルチェイン【天元顕現権限】【渦炎炭鳥】】



 【追加効果が付与されました】



 【スキルクールタイムが増加しました】



 俺は半径三メートルの円を描きながら赤色の魔法陣を連続で形成していく。

 1つ生み出してはそこから火柱が立ち上がり、また次の魔法陣が形成されていく。


 この繰り返しで攻防一体の陣形を光が収まるまで維持していくつもりだ。



 だが、そんな俺の行動を読んでいたのか真上から【釣竿剣士】が現れた。

 真上っ!?

 いや、俺これでも天子の翼で飛んでいるんだが!?


 「釣竿一刀流【飛翔】で上を取らせていただきました。

 そして、【包丁戦士】さんに試すようで悪いですが、ここで使わせてもらいます。

 此、未完の技にて御免!

 釣竿一刀流【波載】っ!!!!」


 【釣竿剣士】は釣竿の柄を空いている側の掌に当てて、釣竿の先を俺に向けてきた。

 これは、前に【ペグ忍者】にやろうとして失敗していた技の型かっ!?


 いいぞ、面白い!

 受けてたってやる!


 俺は赤色の魔法陣を真上に現れた【釣竿剣士】に向けて発生させていく。

 そして、そこから吹き出るように出現した火柱が【釣竿剣士】を呑み込もうと迫っていく。


 「はあああああっ!!!!」


 【釣竿剣士】が片手を柄に当てたまま釣竿を振り下ろすと、そこから青々とした波飛沫が発生しそのまま火柱を切り裂いていく。

 波は蒸発しながらも火柱の勢いを低減させ、【釣竿剣士】の斬擊を通すに至ったのだ。   


 波といってもそこまで大きいものではないが、【釣竿剣士】の斬擊に水属性を付与したという認識でいいだろう。

 俺は何度も火柱を発生させて迎撃しようとしたが、都度切り裂かれていき守りの意味を成していない。


 こうなれば、この包丁でっ!!!

 そう思い、手に持った包丁に力を込めていくが【釣竿剣士】の釣竿と鍔迫り合いになった瞬間に強制的に包丁の向きが動かされてしまった。

 

 ちっ、釣竿の周りに発生した波の流れの影響か!?

 思っていたより流れが速く、一瞬別方向に持っていかれてしまった。


 この攻防でそんな隙をさらしてしまえば結末は一つしか待っていない。





 「今回は私の勝ちです!」


 ふっ、未完の技っていいながら充分完成度が高いじゃんかよ……

 完全に騙されたぞ!

 死に際に俺は捨て台詞を遺すが、それに対して【釣竿剣士】は少し柔らかい表情を顔に浮かべながらハニカミ呟いた。


 「当然ですよ、生産プレイヤーなら!」


 いや、本当に生産プレイヤーの意義が問われる使い方だぞそれ……








 対人戦に強い劣化天子を圧倒できるとは、【釣竿剣士】……底辺種族にしてはやりますね……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

317話に夢魔たこすちゃんのイメージイラストを置いておきました!

興味のある方は見てみてください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 流石釣竿剣士 技が多彩で全く動きが読めないですね [一言] 新技これで完成していないのか 完成したらどうなるのか たこすちゃん可愛いですね 幼さが滲み出ています
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