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478話 深淵機構

 【Raid Battle!】


 【深淵域の管理者】



 【エルル】


 【???】【上位権限】【ボーダー】



 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】


 【深淵へ誘い】


 【冒険者を堕とす】


 【深き真価を見極め】


 【境界に流転する】


 【封印された夢想が解き放たれし時】


 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】


 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】


 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 先日は危うく俺の人格上書きが行われそうだったが、辛うじて乗り越えることが出来た。


 流石に予定外のことだったので焦ってそのままログアウトしてしまい、【深淵奈落ー中層 ルルナティック】がどのように変化したのかを確認できてなかったからその確認からだな。


 





 というわけでやってきました【深淵奈落ー中層 ルルナティック】!

 安全地帯だった初期地点からログインすることになったのだが、この時点で周囲の状況が一変している。


 これまではただの黒色板の上に立っていたのだが、今は赤黒い蕀が渦を巻くようにエリア全体に広がっていっている。

 そして、この初期地点こそが渦の中心だ。


 その理由はおそらく、【深度の種】を俺がここに埋めたからだろうな……

 ここから成長をしていったのだから、納得はできる。


 

 そして、見た目の変化以上に驚いたことがあった。

 辺りを調べようとしてうっかり一歩足を踏み出してしまったのだが、何も起きない。



 は……?と思う人もいると思うから、何に俺が驚いたのか説明するが……今までの【深淵奈落ー中層 ルルナティック】は一歩でも歩いてしまうと死に戻りさせられてしまっていた。

 初期地点と空中しか安息の地は無かったはずのこのエリアで一歩歩けたという事実に俺は驚いたってわけだ。


 それに気づいた俺は恐る恐るもう一歩足を踏み出してみる。

 ゆっくりと持ち上げた足は恐れからか震えているが、それを堪えながら蕀の地面に触れさせていく。


 そして、つまさきが地面に触れた瞬間……




 やはり、何も起きなかった!!

 やったぞ、とうとう俺はこのエリアを闊歩することに成功した!!!


 いい気になった俺はスキップしながら【深淵奈落ー中層 ルルナティック】を駆け巡っていく。

 ロリ巨乳のボマードちゃんだったらバルンバルン胸が揺れていたであろうと思うくらい派手に駆け巡った。

 ……俺に揺れるほどのものは無いがな!!!無いがな!!!!


 

 そうして跳ね回っていると、深淵種族の像のところにたどり着いた。

 ここまで歩いて来れるようになったのは本当に嬉しい。

 毎回ルル様の力を行使しないといけなかったから地味に身体の負担も大きかったし…… 

 というか今思うと、身体がルル様に乗っ取られかけたのもルル様の細胞を連日励起させ続けたのも一因かもしれない。

 それも、【深淵顕現権限】じゃなくて、特に身体への負担がかかる【深淵纏縛】の方だったからな。


 いくら深淵奈落だとデメリットが無いとはいえ、やり過ぎだったか……



 そんなことを思いながら見上げたカラスの姿をした像……アルベー像は前に見た時とは様子が異なっていた。

 像というより、剥製に近い……

 羽や嘴、眼などに艶が出てきており、まるで本物そっくりとなっていたのだ。


 あまりにも真に迫った出来栄えに俺は思わず警戒してしまうが、落ち着け俺!

 俺は既に堅牢剣山ソイングレストでこいつを倒している。


 いくら本物に似ていても生きているわけじゃない。

 杞憂に過ぎないだろう。


 ……とかポジティブに考えていたが、俺の前に不穏なウインドウ画面が表示された。


 【深淵機構ーAbyss system】


 【【鳴動する阻鴉眼】ーБ】


 【上記のものを起動しますか?】


 【はい】【いいえ】



 深淵機構……アビスシステム……?

 なにやら聞き覚えすらない新しい単語が出てきたな。

 それに、添えられているのは俺の目の前にある深淵種族の像……アルベーのレイドクエストの名だ。


 流石に無関係というわけではないだろう。

 それを確かめるためにも俺は【はい】と書かれた画面をタッチする。

 すると、俺の目の前にあったアルベーの像が動き始め己の存在を誇張するかのように翼を大きく広げた。

 



 【Raid Battle!】



 【鳴動する阻鴉眼(廻)】



 【レイドバトルを開始します】




 そうして俺に知らされたのは簡素なレイドアナウンス。

 かつて初心者イベントの際にミューンやジェーライトが復活した際にもあった、レイドアナウンスの中にあるレイドクエストの名前に(廻)が【鳴動する阻鴉眼】についている。


 これは復刻版……本物ではないが、少々スペックダウンしているだけで強さは充分なレイドボスだ!


 目の前にアルベーが現れたが、咄嗟のことに反応できなかった俺は黒く妖しく輝くアルベーの眼に囚われてしまい、デバフサークルの餌食となった。


 【БББББББББББ!!!!】


 デバフサークルの影響で動きが鈍くなった俺を畳み掛けるように、一つ、また一つと俺を取り囲むデバフサークルが増えていく。


 はじめは動きが鈍くなるだけだったのだが、数が増えるにつれて呼吸が荒くなっていき息苦しくなってきた。


 ハァ、ハァ、ハァ……っ!!


 肺や心臓の動きまでもが弱体化の影響で弱まっているようだ。

 呼吸を整えようと一度試みてみるが、弱まり続ける身体機能を補うほどの効果は現れない。

 俺は立ち上がることすらできず、地面に突っ伏しながら死に戻りすることとなった……






 深淵機構が起動させられるのか……

 これは面白いことになったのぅ。


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】


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― 新着の感想 ―
[良い点] 機構とあるので何かに使えるのかと思いきやまさかのレイドボスの召喚とは [一言] レイドボスを召喚できても来れるプレイヤーが包丁戦士だけなので倒すのは無理そうですね まだ見ぬ蜘蛛や百足の能…
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