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467話 考察会議は踊る!~タンクトップ考察編~

 「さて、次の条件の絞り込みといこうか」


 「はい!」


 痴女とかの話題になって居心地が悪くなったのか、【検証班長】が話を進めることで話題が変な方向に逸れるのを防ごうとしてきた。

 無駄に逸れても面倒だし、それを邪魔することなく俺とボマードちゃんは【検証班長】の次の言葉をおとなしく待っている。


 「称号のフレーバーテキストには【自身に負荷をかけ続けるとは……縛りプレイでもしていましたか?】というものもありましたよね。

 このテキストにある負荷というのをボマードさんに当てはめると、【名称公開】によるデバフがかかり続けている状態が該当しそうです。

 デバフ以外にも条件があるのかもしれないけど、現状では情報が無さすぎて深掘りはできないです……

 当然、自分にデバフをかけ続けるプレイヤーなんて他には居ないですから、一つ目の条件だったタンクトップを着続けるプレイヤーを探すよりも希少な例だね」


 「ちょっと【検証班長】さん!?

 いや~酷いですよ、まるで私がおかしいみたいな言い方じゃないですか!?

 【名称公開】のきっかけは完全に事故みたいなものだったって【検証班長】さんに何回も説明しましたよね~?」


 【検証班長】の言葉で傷ついたのか、ボマードちゃんは珍しく必死に反論している。

 俺が辛辣な言葉を投げかけた時ですら軽く憤慨するだけだったのに、今回は本気のようだ。

 実際、一番はじめの全体チュートリアルでの出来事は事故としか言いようが無かったからなぁ……

 俺も珍しくボマードちゃんに同意せざるを得ない。


 「別にボマードさんを貶めるつもりじゃないですから安心してください。

 ただ、他に比較できるプレイヤーが居ないので純粋に貴重だと思っただけだよ。

 デバフを受けた身体でプレイを継続している点はむしろボクも高く評価しているのですから」


 「これって、誉められてるってことですよね!?

 いや~、やっぱり本当に頼れるのは私の気合いですかね!

 ふんっ!ふんっ!ふんっ!」


 全く凄みの無いガッツポーズで力んでいるボマードちゃんをチラ見したあと、【検証班長】のほうを見ると自分の胸を撫で下ろしていた。

 ボマードちゃんの珍しい剣幕に青くしていた【検証班長】の顔に血の気が戻ってきているのが、安堵しているという証拠だろう。

 露骨なお世辞だったからか、ボマードちゃんが流されてくれるか不安だったんだろうな。

 まあ、あいつは頭お花畑だから、軽くおだててやればすぐに機嫌を直してくれる都合がいい女だ。

 その点、俺は厳しい女だがな!


 「何を張り合ってるんですか……

 不味い話から逸らせたので次の条件にいきましょうか」


 「はい!」


 こういう会話のペースコントロールが上手いのも、包丁次元のブレインと呼ばれる【検証班長】の強みだ。

 検証能力じゃなくて、会話の流れを作り出すのも上に立つものの資質だからな。

 さっきのも軽いブレイクタイムになって、凝り固まった緊張感をほぐすことになった。

 半分素なんだろうが、それも含めて天性の才能だろう。


 「【包丁戦士】さんはなんでそんなにボクを持ち上げるのかな?

 ……3つ目の条件は【そんな過酷な修練を終えたあなたにこれを授けます】でしたか。

 これについてはよくわかりませんね……」


 【検証班長】にもよくわからないとは……

 たしかに修練って言われても他の条件に比べて抽象的だから俺も分からないが。

 

 「ちなみに、どんなタイミングで手に入ったのか教えてもらってもいいですか?

 そのタイミングで条件を絞り込めるかもしれません。

 検証……ではないですけど考察を深めることは可能になるから、是非とも聞かせてもらいたいね」


 「【包丁戦士】と会っていた最中に、私が大剣を振り回して自分を一刀両断してしまったんですよね!

 いや~、まさか自害することになるなんて思いませんでしたよ~!

 ドジっちゃいました、てへっ!」


 てへっ!じゃないんだよなぁ……急に大剣を振り回していたからビックリしたぞ……

 ボマードちゃんのデバフボディで身体と同じ大きさもある大剣を振り回せると思い上がるのがおかしい。

 挙げ句の果て自滅してるし……


 「ボマードさんが大剣?と思いましたが、やはり扱いきれていませんでしたか……

 つまり【修練防具上位解放】の最後のトリガーは、武器を扱ったからなのか死に戻りしたからなのかは不明ということになってしまいますね……

 どちらも修練といえば修練に該当しそうですから……

 うーん、口惜しいですが条件についての考察はここで打ち止めですね。

 あとは、検証班でじっくり調べておきますよ」


 そうしてもらえると助かる。

 俺はスキルのためでもタンクトップ姿で一年も二年も過ごしたくないからな……

 暇な物好きたちでやってくれればいい。


 「それ、私が暇な物好きって言っているのと同じですよね!?

 いや~、酷いですよ!

 ……特に間違ってないですけど~!」


 頬をぷくっと膨らませながら怒るボマードちゃんは、童顔なのも含めて可愛らしい。

 こいつはアイドルっぽいことをやっているだけあって、顔はかなり可愛い部類に入るからな。

 ぷりぷり怒る分には、可愛さのスパイスにもなるだろう。


 「えへへ、【包丁戦士】さん~!

 いや~、やっぱり私って可愛いですよね~!

 【包丁戦士】さんに誉められると嬉しさ百倍です!」

  

 「あの、二人でいちゃつくならボク帰りましょうか?

 この雰囲気、物凄く居心地が悪いんだけど……」


 ボマードちゃんの頭お花畑が発動して【検証班長】が困惑しているが、これは申し訳ない。

 【検証班長】の頭脳をもうちょっとかりたいから、頼む!!

 帰らないでくれ~!!



 俺は呆れて帰ろうとしている【検証班長】を、必至で引き留めることとなったのだ……

 ボマードちゃんのお気楽さで想像以上に振り回される俺と【検証班長】なのだった。




 


 この会議、本当に踊ってばっかりですね……

 会議は踊れど進まず……とはよく言ったものです。


 【Bottom Down-Online Now loading……】


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― 新着の感想 ―
[良い点] 検証班長、頑張ってまとめてますね もっと条件絞れればいいんですが [一言] もはや会議でなくただの雑談と化してますね 検証班長が蚊帳の外
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