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461話 ルル様の根回し

 【Raid Battle!】


 【深淵域の管理者】



 【エルル】


 【???】【上位権限】【ボーダー】



 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】


 【深淵へ誘い】


 【冒険者を堕とす】


 【深き真価を見極め】


 【境界に流転する】


 【封印された夢想が解き放たれし時】


 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】


 【ーーー深度不足のため未開示ーーー】


 【レイドバトルを開始します】


 はい、今日も元気にログイン!

 先日はあんなことがあったから、ルル様に色々と事情を聞こうと思ってアビスの方にログインしてみた。

 



 「カッカッカッ、愉快愉快!

 そうは思わないかのぅ【包丁戦士】?」


 俺の前に現れたルル様はこれ以上無いほど浮かれていた。

 長年の宿敵に一泡吹かせられたのがよほど嬉しかったのだろう。


 俺はあのワールドアナウンスで起きたことがあまり理解できていないが、少なくとも【菜刀天子】が数の暴力で敗北したということだけはなんとなくわかっている。


 「大まかな内容はそれで合っているから問題はない。

 我と【『sin』ーーー大罪を司る悪魔】、【鉄血森林の森人君主】がそれぞれ別角度からアタックをしかけて押し込んだのだ。

 まさか隠居を決め込んでいたと考えていた【鉄血森林の森人君主】が乱入してくるとは思わなかったが、それでいくつかの工程をスキップできたのは僥倖だったのぅ」


 あれって【大罪魔】とルル様だったら負けかけてた感じなのか?

 【菜刀天子】のセリフとかから推測すると、磐石な守りだったっぽいし。


 「地形改変に失敗していた可能性はなきにしもあらずだ。

 【大罪魔】はデータが破損しておるし、我はあの憎き【菜刀天子】に対して相性は悪いからのぅ……

 こればかりは純粋な力比べというわけにはいかないのが辛いところだ」


 なるほどな。

 あれは三体の【上位権限】持ちが介入したからこそ成功したってわけか。

 【鉄血森林の森人君主】のやつは【上位権限(規制中)】ってなってたし、そいつが単体で仕掛けても、ルル様が単体で仕掛けても、【大罪魔】が単体で仕掛けても失敗していたのだろう。

 つまりあれは、わりと熱い展開だったんだな。


 それで、ルル様はあの【失伝秘具】の【大深罪鉄林包丁】による地形改変のことは知っていたのか?

 待ち構えていたかのようなタイミングで乱入してきてたけど。


 「それは事前にゲーム運営プロデューサーの山伏権現から我に通達があったからのぅ!

 あやつ、はじめからこの展開になることを読んで協力しそうな【上位権限】持ちに声をかけたのだろう。

 それを受けて我は深淵奈落の深部からできる限りの介入を試みたというわけだ。

 運営は人が良さそうな顔をしておるが、その実自分が面白いと思った時にはその他の都合を考えずに動くタイプだ。

 でなければ、このゲームがお前たちプレイヤーに対してここまで理不尽な難易度にはなっておらんかったはずだろうしのぅ……」


 こんな一般向けじゃない難易度のゲームを作るのは鬼畜の所業だからな。

 死に戻り前提の設定だとライト層はどんどん去っていく。

 実際に【ジェーライト=ミューン】を攻略する前で、新緑都市アネイブルがプレイヤーに解放されておらず草原エリアで野宿を強いられていたゲーム初期には、凄い勢いでプレイヤーが減っていたからな。

 あの頃はプレイヤーを集めるのすら難しかったから、総力戦の規模もかなり小さかった。

 俺が【ジェーライト=ミューン】を倒した後には、一気に復帰勢が増えたから良かったものを……


 「ともかくだ、これでようやく深淵結界の最終準備が整った!

 我の忠実なる配下【忍び寄る蜘蛛糸】に新緑都市に向かうよう指示を出しておこう」


 【忍び寄る蜘蛛糸】か……

 ルル様から明かされた残された配下の深淵種族のレイドクエスト名だ。

 消去法でこいつが【侵略】、【防衛】、【阻害】、【占領】の力の内の【占領】の力を司る配下なのだろう。

 ルル様が特に信頼を置く配下となれば、味方なら相当心強いに違いない。

 ……逆に言ってしまうのならば、敵になった時にはものすごく厄介な相手になるということなのだが今は考えないでおこう。

 今回は深淵結界を張るための助っ人ということだから、俺と戦闘になることはないと思いたいところだ。

 

 「【忍び寄る蜘蛛糸】が深淵結界を無事張り終えたら、そろそろ我の出番か」


 そんな想いを馳せているルル様だが、そんなルル様に伝えていないことがあったのを忘れていた。

 【ジェーライト】との約束で【下克上の陰陽妖狐】……【タウラノ】も【菜刀天子】攻略戦に参加させることになっているのだ。


 「ジェーライトがそのようなことを言っておったのか。

 配下の願い故に断ることはせぬが、あまり気は乗らぬのぅ……

 小物狐は小心者だからこそ思考が一定しない故に、土壇場でなにをやらかすか読めないのだ」


 たしかに、【タウラノ】がどう動くのかは俺も読めないな。

 持っているスキルや攻撃方法についてもごくわずかしか知らないし、なんなら直接戦闘もしたことがないからな。


 俺が死に戻りさせられていない唯一のレイドボスになってしまっている。 

 そりゃ、戦闘してないから当然なんだが。

 ちょっと会いにいってみるか。


 

 


 気は乗らぬな。


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[良い点] GMが先に声をかけていたとは こんなゲームを作る人間ですし楽しさ優先なんですね こればかりは天子への同情が絶えませんね [一言] 確かにタウラノが土壇場で裏切りルル様達に奇襲をかけてこられ…
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