458話 生産イベント順位発表 3位から2位編
「さて、ここまで長々と紹介してしてきましたが、ようやく三位の紹介ができそうです。
それでは第三位は……これです!」
【菜刀天子】が宙から食器と机を取り出した。
そして、そこに盛り付けられていく料理たち。
紫色と赤色を基調とした料理は、まるで流れたての血のごとく気高いものたちだった。
包丁は血を求めるってやつだな。
名無しのモブプレイヤー:おっ、一種類の料理じゃなくてコース料理で提出したのか
名無しのモブプレイヤー:えー、提出するアイテムって一個だけじゃなくていいのかよ
名無しのモブプレイヤー:そんな裏技が……
名無しのモブプレイヤー:なんか赤々しい料理たちだな。
ボマード:いやー、美味しそうな料理ですね~!!
「このアフタヌーンティーセットにはとある共通点があります。
それは、全てに【酩酊ブドウ】と【激情イチゴ】が使われているということです。
この一見紅茶に……見えなくもない飲み物は【酩酊ブドウ】と【激情イチゴ】のカクテル酒です。
ゴクゴクゴク……ふん、まぁまぁですか。
次に、ロシアンティーのように【酩酊ブドウ】と【激情イチゴ】のジャムをつまみながらさらにゴクリ……ほうこのフレーバーは中々ですね。
最後に、【酩酊ブドウ】と【激情イチゴ】をこれでもかと使ったケーキとスコーンをいただいて……ふぅ満足しました。
料理の腕前もそうですが、アイテムとして系統付けされていれば一つのアイテムとして扱える小技を駆使してきたのが高評価です」
名無しのモブプレイヤー:うまそー
名無しのモブプレイヤー:くそっ、こんな時間に食レポとは卑怯な
ボマード:いや~、この料理……あの人の気配がしますね……
名無しのモブプレイヤー:このカクテル酒飲んでみたいんだがw
名無しのモブプレイヤー:これ、似たようなものを現実で食べようとしたら結構な値段するよな
「これを作ったのは劣化天子……【包丁戦士】ですね」
俺だった。
いや、俺が作った料理だから流石に分かってたけど。
いやー、でも三位か……
一位を狙いに行ってただけにここで止まってしまったのは残念だが、納得はできる順位だから良しとするか。
「この料理に使われている【酩酊ブドウ】と【激情イチゴ】ですが、どちらも気分を高揚させる効果がありますね!
私もなんだか興奮してきたのでとりあえず劣化天子を千切りにしてこの気持ちを発散させるとしましょう!!!!
スキル発動!【渡月伝心】!!!」
【菜刀天子】は中華包丁の先から銀光の粒子を放ち俺を千切りにして死に戻りさせた。
今回のイベント俺死にすぎでは!?
名無しのモブプレイヤー:【包丁戦士】また死んでるじゃん
名無しのモブプレイヤー:もはやお家芸と化してる
名無しのモブプレイヤー:これ、生産イベントなんだよな?
名無しのモブプレイヤー:半分普通のレイドボス戦みたいになってるの草なんだがwww
【風船飛行士】:気分爽快すぎワロタwww
「そして、お次は第二位です。
ここでは少し大きすぎるアイテムなので天子王宮の庭にいきましょうか」
【菜刀天子】がそう呟くと俺の視界がブラックアウトしてしまい、次の瞬間には庭にワープさせられていた。
こいつ、移動が面倒くさいからって【上位権限】を使ったな?
「公式イベントの際には【上位権限】の使用制限が緩和されますからね。
管理AIとしての業務をスムーズに遂行するためには当然の権限ではありますが」
料理番組で言うのなら、「これがあらかじめ10分間茹でておいたものです」と言って料理の下ごしらえをしたものを出す感覚なんだろうか。
名無しのモブプレイヤー:しれっと凄いことやってのけたな
名無しのモブプレイヤー:ワープとか出来るんか……
名無しのモブプレイヤー:こんなやつに俺たち勝てるのか……?
名無しのモブプレイヤー:流石はラスボス
「さて、移動したところで第二位のアイテムを見せますか。
これです!」
【菜刀天子】が宙から出したのは巨大な戦艦だった。
俺は【菜刀天子】と共にその戦艦の中に入っていき、中をぐるっと見て回っている。
ほぼ木造だが、色づかいや細かい装飾品でそれっぽく見せているのだろう。
目まぐるしい努力の末、見た目と戦艦としての機能を両立させることに成功したのだろうな。
このプレイヤーに人権のないゲームでよくもまあここまでの素材を集めて、ここまで大規模な工事と言っても過言ではない事業を遂行させたな!?
邪神像計画に匹敵するほどのものなのにも関わらず、これまでおれに一切情報が入ってきていなかったことからメンバーは身内で完結させたのだろう。
名無しのモブプレイヤー:凄く……大きいです///
名無しのモブプレイヤー:うわっ、でかっ!?
名無しのモブプレイヤー:アイテムというか戦略兵器というか……
【検証班長】:これは興味深いですね
名無しのモブプレイヤー:プレイヤーメイドでこの規模かよ
名無しのモブプレイヤー:デカすぎんだろ
【モップ清掃員】:ほう戦艦ですか、大したものですね
「製作者は【トンカチ戦士】ですね。
もちろんですが、個人製作ではなくクラン総出プラス助っ人を呼んで作り上げたようですね。
私がこれを評価したのはこの規模と、船という要素です。
この次元の底辺種族たちは一人もたどり着いていませんが、海エリアというものが存在します。
そこを渡り歩くためにはこのような船が少なからず必要となってくるので、その前段階で作り上げたという点を私は評価します。
メタ的な評価ですが、今後の進行に関わる重要なアイテムとなってくるので評価は高めに設定しました。
ちなみに、特殊な機能はないです」
名無しのモブプレイヤー:海エリア!?
【検証班長】:これは貴重な情報だね。後で【検証班】メンバーで話し合わないと……
【風船飛行士】:オレも後で調査するかwwwテンションアガリングなんだがwww
名無しのモブプレイヤー:ミチなるエリアの情報が公式イベントで明かされるってことは、それを独占しようと動く連中も増えるだろうな
名無しのモブプレイヤー:大航海時代キタ━(゜∀゜)━!
名無しのモブプレイヤー:きららん(*゜∀゜*)
名無しのモブプレイヤー:海エリア特有のスキルとかもあるだろうし、戦略の幅も広がりそうだ
名無しのモブプレイヤー:山間部エリアとか渓谷エリアはレイドボス攻略しなくてもスキルくれたし、そんな感じのがあるのを期待するか
名無しのモブプレイヤー:俺も小舟くらい作っておくか……
名無しのモブプレイヤー:私も、気になります!
ボマード:【包丁戦士】さんの水着……っ!!
名無しのモブプレイヤー:↑それ、いる?
名無しのモブプレイヤー:あってもいいかな……
名無しのモブプレイヤー:まあ、見た目は可愛いし多少はね?
名無しのモブプレイヤー:なお、内面……
【ペグ忍者】:【釣竿剣士】ちゃんの水着に期待していいのら!?ぐへへへへ
名無しのモブプレイヤー:↑これ、いる!!!!
名無しのモブプレイヤー:巨乳プレイヤーの水着は眼福
名無しのモブプレイヤー:全プレイヤー待望じゃん!
【辞書暗殺者】:【風船飛行士】たんの水着……はぁはぁ
名無しのモブプレイヤー:↑これ、いらない……
やはり底辺種族は新情報に浮かれていますね。
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