455話 生産イベント順位発表 9位から8位編
「さあ、次に進みましょう。
上位にランクインしているのは底辺種族たちのなかでも、偉大なる次元天子の私の目にかなったアイテムですからね。
それなりには楽しめるでしょう」
名無しのモブプレイヤー:謎の上から目線好き
名無しのモブプレイヤー:くっころ系だな
【検証班長】:これは見逃せませんね
名無しのモブプレイヤー:他にはどんなのがあるんだろー
【風船飛行士】:wktkしてきたwww
掲示板常連の【風船飛行士】とか【検証班長】の書き込みがよく流れてくるのは、文字でのやり取りになれているからだろうか。
他のモブプレイヤーは判別できないから実際にはもっと表示されているやつも多いんだろうが。
「はい、というわけで次は第九位です。
これを見なさい」
そう呟いた【菜刀天子】の手にはガラスの容器に入れられた薬品があった。
ガラスの中でも泡がボコボコとしており、いかにも危険ですという色をしていて俺もあんまり近寄りたくない。
名無しのモブプレイヤー:これは狂人に同意
名無しのモブプレイヤー:いかにもな薬品じゃん
【ブーメラン冒険者】:ここまで露骨だとむしろ飲んでみたいよねっ!
名無しのモブプレイヤー:えぇ……それは……
「これは提出者のネーミングでは【危険薬品Ж】という物のようです。
これは性質をコピーした模造品なので使っても無くなりませんから劣化天子相手に使ってみますか。
はい、天に召されなさい」
【菜刀天子】は俺にガラスの容器ごと薬品を投げてきた。
ばーか、そんな投擲俺に当たるはずが……
は?身体が動かないんだが?
「私の【上位権限】で止めさせてもらいました。
さあ、底辺種族仲間のアイテムを堪能しなさい」
身動きが取れない俺にぶつかったガラスの容器は破壊され、液体が俺に降りかかると身体にエネルギーが充填されるのを感じた。
この感覚は……普通なら回復とか能力アップアイテムだと思ってしまうだろう。
だが、これは違う!
よく知ってるエネルギーのたまりかただ。
そして次の瞬間、俺の身体は爆散した。
名無しのモブプレイヤー:えげつねェな……
名無しのモブプレイヤー:えっ、これは……
名無しのモブプレイヤー:凄惨な殺人現場で草
【風船飛行士】:【包丁戦士】が爆発するのをまじまじと見れてウキウキなんだがwww
名無しのモブプレイヤー:これは【魚尾砲撃】!?
【短弓射手】:これは……いいものだねぇ!
次の瞬間俺は強制的に【菜刀天子】の隣に死に戻りさせられた。
俺は試し撃ち用の的かよ!?
「そのために呼んだのは八割くらいですね。
底辺種族出身のプレイヤーはすぐ生き返るので便利ですからね」
名無しのモブプレイヤー:強かだなぁ
名無しのモブプレイヤー:このゴミを見るような目すこ
名無しのモブプレイヤー:【菜刀天子】様、もっと罵って!
「……このアイテムの製作者は【検証班長】です。
チュートリアル武器の耐久性を活かした強引な調合で作り上げた産物のようです」
これはジェーライトの粘液を調合したものだろうな。
どうせボマードちゃん辺りから採取したんだろうが……
ロリ巨乳から粘液を採取する白衣メガネの青年とは犯罪臭がプンプンする。
名無しのモブプレイヤー:それはたしかに
【検証班長】:ご、誤解を招くような言い方はやめてくれないかな?
【トンカチ戦士】:うおおおおお!!1!1!【検証班長】許すマジ!!1!
よし、とんでもないアイテムを作ってくれた【検証班長】への仕返しはできたし満足だ。
「次は八位のアイテムです。
これはケーキですね」
そう言って宙から取り出したのは【菜刀天子】の背丈ほどあるウエディングケーキだった。
ケーキの素材はこのゲーム内だとどれも貴重なものばかりなのに、これだけの規模のものを作り上げるとは相当のつてか、収集能力に長けたプレイヤーだろう。
頂点には男女のプレイヤーの姿を模した笑顔の砂糖人形が乗っていた。
名無しのモブプレイヤー:女の子の砂糖人形、麦わら帽子に黒いワンピースか……いいゾ~
名無しのモブプレイヤー:男の子の方は手に炎でも持ってるのか?
名無しのモブプレイヤー:これはフランベルジェじゃないのか?日本語で炎って意味らしいし
名無しのモブプレイヤー:無駄にイケメンだ
【虫眼鏡踊子】:フランベルジェ……イケメン……うっ頭が……
名無しのモブプレイヤー:そういえばサバイバルイベントで姉御は痛い目を見てたな
「これは【フランベルジェナイト】が作ったものです。
楽器の演奏、戦闘センスなど光るものが多くあるプレイヤーでしたが、まさかお菓子作りまで得意だとは思いませんでしたね。
頂点の砂糖人形は【フランベルジェナイト】本人と……いえ、言うのは野暮でしたか。
【激情イチゴ】に、【安寧牛乳】を用いた生クリームというそれぞれの短所を中和し、長所を伸ばす組み合わせには次元天子である私も思わず感心したものです。
せっかく包丁の使い手がここに二人いるので入刀しますか。
ちなみに、切るとその部分の色が変わるギミックも仕込んであるようです」
いや、なんでそうなった!?
だが、【上位権限】によって身体の操作が奪われてしまっているので、俺は腰に提げていた包丁を手に取った。
【菜刀天子】も中華包丁を顕現させて、二人同時に振り下ろしウエディングケーキを切り崩していく。
名無しのモブプレイヤー:ケーキ入刀キタ━(゜∀゜)━!
名無しのモブプレイヤー:【菜刀天子】×【包丁戦士】www
名無しのモブプレイヤー:キマシタワー
名無しのモブプレイヤー:これは薄い本が厚くなりますね
ボマード:ああああああ!?【包丁戦士】さん何やってるんですか!?私を差し置いてケーキ入刀なんて!!??
名無しのモブプレイヤー:修羅場で草
名無しのモブプレイヤー:二股戦士か……
……ちなみに、ケーキは甘ったるかったがこれが幸せの味というわけか。
甘くても俺の料理の味付けの癖が残っていて、好みの味だった。
流石は俺の分身である【フェイ】が作り上げただけはあるな。
これが……幸せの味?
【Bottom Down-Online Now loading……】