444話 生産イベントの告知
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
俺がログインしてくると、【菜刀天子】が近寄ってきた。
このパターンで起こりうる出来事は3つほど考えられるが……今回はどれだ?
「今日から新イベントの開幕です。
今まで戦闘系統のイベントばかりでしたが、今回はプレイヤーメイドアイテムコンテストです。
プレイヤーの手で加工されたものであれば、その度合いに関わらずプレイヤーメイドアイテムという扱いにするのでだれでも参加しやすいはずです。
次元天子である私が、低能な底辺種族たちに歩み寄ってハードルを下げておいたので泣いて感謝し、敬意を払いなさい」
うわっ、出てきて早々に上から目線でイベントアナウンスしてきたな!?
もはや【菜刀天子】らしさが出ていて安心するレベルですらあるぞ!
「次元天子である私ですから当然です。
それでこの生産イベント【【菜刀天子】の品評会】についての質問はありますか?」
そんなタイトルのイベントなんだな……
変にひねったタイトルよりはシンプルで分かりやすいが、素朴すぎないか?
「低能な底辺種族たちでも分かるように合わせてあげたというのに一々文句の多い劣化天子ですね……」
高慢な物言いだが、さっきからプレイヤーである底辺種族たちに配慮している発言がよく出てくるな。
これは、配下である東西南北の聖獣レイドボスを俺たちが倒し、【菜刀天子】への挑戦権を獲得したから多少は認めてくれたということなんだろうか。
……質問か。
そうだな……
出品の制限とかくくりってあるのか?
「一人何回でも提出出来ますが最後に提出したものだけが評価の対象になります。
出品するたびに上書きされていくと考えておいてください」
なるほどな。
とりあえず良いものが出来たら出品。
そのあと、それを上回るものが出来たら出し直せばいいわけだ。
それなら安心して一回目の提出が出来るから、ビビる必要もないわけね。
「そういうことです。
底辺種族には臆病なプレイヤーが多いようですからね。
他のゲームでは、集めた回復アイテムを最後まで結局使わないほどと運営から聞きました。
そこで寛容な私がこの仕様でイベント進行することに決めたというわけです」
なるほどな。
俺にも回復アイテムを出し惜しんだことがあるから、気持ちはわかるな。
無限にできることと、有限にできることでは扱い方が変わってくるしその制限を取っ払ったのはいいと思うぞ。
「……ふ、ふん!
と、当然です!」
おっ、こいつ俺が珍しく素直に肯定したからか照れてるな。
これはツンデレ天子!
キタコレ!
ヒロイン戦争にも勝ち残れるぞ、おい!
……いや、ヒロイン戦争ってなんだよ……
「出品のジャンル分けは特にないです。
分けても良かったのですが、私が全て仕分けすることになるので面倒くさいのでやめました」
なんという手抜き。
なぜそこで手間をかけないんだよ……
仕様を決めるときに頭を使ったのに、ここで労力をかけなくてどうするよ?
他のゲームだと、武器部門とか食べ物部門とか、アクセサリー部門とかでそれぞれ順位が決まったりするのに、今回のイベントはごちゃ混ぜということなんだろう。
群雄割拠もいいところだぞ?
「それは精々競いあってください。
淘汰されていく弱者に生きる道はないですから……」
シビアな世界だな……
包丁次元の生産プレイヤーで有名どころだと、鉄鋼関係に強い【槌鍛治士】、魚介類に強い【釣竿剣士】、料理全般に強い俺【包丁戦士】だが、これまで戦闘イベントばかりだったから目立ってこなかったプレイヤーが台頭してくる可能性もあるよな。
これまで会ったことのあるプレイヤーの中でも意外な特技を持っているやつもいるかもしれないし、会ったことのないプレイヤーの名前が急に出てくるかもしれない。
その辺は今回生産イベントやる意義だろう。
これまで活躍できなかったプレイヤーたちに光が当たる機会はあるに越したことがない。
それで、今回出品したプレイヤーメイドアイテムはどうなるんだ?
配布されるとか、返却されるとか。
その辺の対応で良イベントか、クソイベントかの評価の分かれ目だろう。
さあ、どっちだっ!?
「今回出品されたアイテムは私の宝物庫に保管されます。
私がイベントを主催するのですから、それに見合った報酬を私が受けとるのも当然です。
さあ、私のために貢ぎ物を献上するのです!」
やっぱりそれかよ!!
クソイベント確定!!!!!!!
労力に見合った対価を受けとるのは普通のことですよ。
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