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443/2202

443話 秘密特訓

【Raid Battle!】



 【包丁を冠する君主】




 【菜刀天子】


 【次元天子】【上位権限】【???】




 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【次元をさまよい】


 【冒険者を導く】


 【聖獣を担うが故に】


 【深淵と敵対する】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【レイドバトルを開始します】




 はい、今日も元気にログイン!

 今日は沼地エリアにいくぞ!

 先日の【釣竿剣士】のことが気になったからな。







 というわけでやって来ました沼地エリア……無限湖沼ルルラシア。

 さっそく【釣竿剣士】を見つけたが、やはり【ペグ忍者】と一緒にいるようだ。


 ちょっと隠れて様子を窺うか。





 「【釣竿剣士】ちゃん、今日も可愛いのら~~!!!!

 ハァハァハァハァ……この一帯の【釣竿剣士】ちゃんの匂いを含んだ空気を【ペグ忍者】の身体に取り込むのら~!!!」


 うわっ……

 やっぱり淫乱ピンクの異名は伊達じゃないな……

 被ってる猫耳頭巾をユサユサと揺らしながらピョンピョン跳ね回って、気持ちの昂りを全身で表現しているようだが、どっからどう見ても変質者のソレである。

 これにはさすがの【釣竿剣士】も呆れていることだろう。

 

 「本当にコレどうにかならないんですか……?

 ひたすら鬱陶しいんですけど……」


 俺の予想通り【釣竿剣士】は肩をガックリと落としていた。

 まあ、当然といえば当然だがな。

 誰だって変質者に遭遇したら対応に困るだろう。


 「どうにもならないのら~!

 【ペグ忍者】の興奮は今!世界で一番凄いことになってるのらよ~!

 詳しくは言えないのらけど、大洪水が起きてるのら~!!」


 いや、それは言わなくてもいいだろう……

 少なくともテンションに任せてでも言っていいことの限度を越えている気がするぞ。

 それでいいのか【ペグ忍者】!

 それでいいのか【釣竿剣士】!


 「えぇ……普通に引きますけど……

 こういうとき生産プレイヤーとしてどうやって対応すればいいんですか師匠……」


 【釣竿剣士】は遠い目で空を眺めながら、ここには存在しない師匠に助けを求めている。

 俺相手にあんな表情や挙動を見せたことない【釣竿剣士】が、【ペグ忍者】相手ではあそこまで翻弄されるんだなぁ……

 意外な一面を見てしまったな。


 しばらくこの混沌としたやりとりが続き、【ペグ忍者】の変態度合いと【釣竿剣士】への哀れみを感じているとようやく【ペグ忍者】の興奮が一旦落ち着いたようだ。


 「……はぁっ!?

 【ペグ忍者】はしょうきにもどったのら!」


 「私の期待を裏切る前にさっさと本題に行きましょうか。

 生産プレイヤーとして、これ以上非生産的な時間を過ごすのは見過ごせません」


 本題……?

 やはり、【ペグ忍者】にただ付きまとわれているだけではなかったようだ。

 そんな無意味なことに時間をかけることを【釣竿剣士】がするとは思えないからホッとした。


 「さあ、師匠を越えるために新たな釣竿一刀流の技を特訓しますよ!

 あなたが一番都合がいいので、最後まで付き合ってもらいます」


 「【釣竿剣士】ちゃんと付き合う……っ!!!

 付き合うのら!!!!」


 これが都合がいい女というやつだな。

 【釣竿剣士】はあくまでも【ペグ忍者】の性格とかじゃなくて、技量やステータスを重視して特訓相手に選んだのだろう。

 【ペグ忍者】は検証班のひみつへいきと称されるほど、あの包丁次元のブレインである【検証班長】からも戦闘力に関して信頼を得ている。

 種族転生を二回行い上位の種族になっているからこそ得られるバケモノスペックのアバターと、天性の身体捌きが噛み合っているのが強みだな。


 俺も闘技場イベントで【ペグ忍者】に負けているから、その点に関してはこの淫乱ピンク猫耳頭巾ペド忍者を信頼している。


 


 「【ペグ忍者】からいくのら~!

 スキル発動!【暴虎馮河(ぼうこひょうが)】なのら!」


 【ペグ忍者】は鉤爪のようにしたペグから黄色いオーラが溢れ始めた。

 そして、そのオーラは伸びるようにして鉤爪のように手に持ったペグを補強していく。



 「【釣竿剣士】ちゃんと二人きり……

 た、たたたたたたた昂ってきたのららららら!!!!!」



 【ペグ忍者】は急に興奮し始めて、【暴虎馮河】を起動したままで【釣竿剣士】に向かっていった。


 獣人特有の高速ダッシュ性能も使ってきてるから、肉薄するのは一瞬だった。




 「行きますよ!

 釣竿一刀流【豕「荵励j】っ!?」


 【釣竿剣士】は釣竿の持ち手を地面に突き立てて、片手を手前に押し出している。

 それで【ペグ忍者】の攻撃をどうにかしようとしているのだろうが、【釣竿剣士】の今の声色と、表情からすると……



 「うぐっ……

 また失敗ですか……

 無念です……」  


 【ペグ忍者】にそのまま切り裂かれ、光の粒子となって消え去っていっている【釣竿剣士】の姿がそこにあった。

 どうやら新技は失敗だったようだ。


 「ぐふふふふ……

 【釣竿剣士】ちゃんのお腹引き裂いちゃったのら~!!

 最高なのら~」


 あっ、その感覚はなんとなくわかるぞ!

 お腹を引き裂くのはメインディッシュみたいなところある。







 最後の最後でそんなものに共感しないでください……


 【Bottom Down-Online Now loading……】


久しぶりに【1話 包丁は2度灰塵と化す】にテコ入れしました。

内容は全く変わっていないですけど、描写とか説明部分で分かりにくそうなところの改善とかをやってみましたので、もしよろしければ久しぶりに一話にも目を通してみてください笑

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― 新着の感想 ―
[良い点] 釣竿剣士、訓練のためとはいえペグ忍者に頼るとは 無事にその努力が実ってほしいですね [一言] ペグ忍者、どうしようもなく手遅れですね 包丁戦士のように誰から構わずPKするよりはまだ良いのか…
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