442話 まったり釣り生活
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日はボマードちゃんと遊ぶ予定だ。
というわけでやってきました沼地エリア……無限湖沼ルルラシア!
「ここで待ち合わせするのって珍しいですよね!
いや~、【包丁戦士】さんもデートコースに新しい風を取り込みたいってわけですね!
マンネリ化したカップルほど脆いものはないですからわかりますよ~!」
いや、そもそもカップルでもないし、デートでもないぞ!
やはりこの爆弾魔ちゃんは頭の中にお花畑が詰まっているんじゃないだろうか……
お前の妄想に俺を勝手に巻き込むな。
俺は勝手に妄想に巻き込んできた仕返しに、ボマードちゃんの小柄な体型にはそぐわないほどドでかい胸を両手を使って背後から揉み込んでいく。
俺の両手では収まりきらないくらいのサイズ感で、俺の手の動きに合わせて形を大きく変えていく柔らかなものは俺に安心感と屈辱感を同時に与えてくる魔性のオブジェクトと言ってもいいだろう。
「あっ、も、もうっ!
いや~、【包丁戦士】さん相変わらず激しすぎますよ!
最近揉まれすぎてさらに大きくなってきちゃってるんですからね~
アバターなのにそんなところまで再現しなくてもいいんですけど……
肩凝っちゃうんですよ~!」
は?
それは断崖絶壁を有する俺に対する煽りか?
いや、別にいいし!
プレイヤーキラーとしてはこっちのほうが動きやすいし!!
そんなボマードちゃんの煽りを無事回避(?)していきながらも、沼地を歩き続けている。
その目的は……
「二人きりで釣りなんて、【包丁戦士】さんはなんて最高のシチュエーションを考えてくれたのですか!
いや~、興奮して昨日はあまり寝れなかったんですよ~!」
遠足前の子供かお前は!
ボマードちゃんと釣りをしようと思ったのは、料理のための材料集めのためだな。
最近戦闘に首を突っ込み過ぎて材料調達を怠っていたからな。
一人で釣っていても良かったんだが、偶然見かけたボマードちゃんの予定が空いているとのことだったので今日一緒に釣ることになったってわけだ。
「よ~し、いきますよ~!」
ボマードちゃんの気の抜けた声で釣竿をしならせながら、沼地にルアーが浮かび上がることとなった。
俺もそれに続いて投げ入れた。
「この待っている時間、わくわくしますよね!
いや~、釣れるまで時間がかかるって分かっていても緊張しちゃいますよ~!」
ボマードちゃんは沼地に浮かぶルアーをガン見している。
気になる気持ちは分からないでもないが、今からそんなに気を張りつめていたら最後まで気力が持たないだろう。
こういうときは、肩の力を抜いてじっくりと待つのがポイントだ。
「頭では分かっているんですけどね。
いや~、それでもついついのめり込んじゃうんですよ~!
だって気になるものは気になるんですよ!」
まあ、どこまで気を張るかは個人の好き好きだし、ほどほどにな?
俺はボマードちゃんにそう伝えながらボーっと自分の目の前に浮かぶルアーを眺めている。
すると、10分後、俺の目の前のルアーが沈み、釣糸が張り始め、釣竿がしなりはじめた。
どうやら獲物がヒットしたようだ。
俺は焦らず獲物の魚と呼吸を合わせていく。
こちらの独りよがりで釣ろうとしても釣糸が切れたり、獲物が逃げるだけだ。
あくまでも慎重に、でも時には大胆にいかないとな!
……今だ!!
とりゃあああああ!!!
俺は釣り際を見定め獲物を一気に釣り上げた。
すると、釣糸の先には沼魚が食いついていたようでそのままバケツに保管されていく。
よしつ、まずは一匹!
「あっ、【包丁戦士】さんはもう釣れたんですね!
いや~、見事な手さばきでしたよ~!
私はまだ釣れてませんけどね!」
ボマードちゃんはその豊かな胸を張りながら自信満々に俺を誉めてきた。
自信満々なのはいいが、釣れてないのにその自信はどこから来るんだ……
その後もボマードちゃんと釣りをゆっくり続けていたが、その際に沼地の奥の方で【釣竿剣士】と【ペグ忍者】の姿がちらっと見えた。
あいつらは火に油を注ぐような過激な関係(一方的に)だったはずだが、一緒に何をしているんだろうか。
ちょっと次のタイミングで探りを入れてみるか……
その日の釣りを終えたとき、ボマードちゃんはなんとか一匹釣り上げていたようだ。
ギリギリだったが、釣果なしにならなくてホッとしたぞ。
唐突なスローライフ……
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