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438話 衝撃波の結果

 【ギアフリィ】のパイルバンカーから放たれた、透き通るような神々しさを持った金属が溶解しながら進む。


 【綺羅星天奈】の十字架から生み出された、紫色の禍々しくも神秘的なオーラ纏った数々の宝石の弾丸が乱れ咲く。


 【包丁戦士】が解き放った漆黒の茨の枝があらゆるものを捕らえ、堕としていくために標的に向かって伸長していく。


 各次元MVPプレイヤーたちによって放たれた必殺の一撃は、狙った相手に当たる前に攻撃同士でぶつかり合うこととなった。

 宝石を絡めとるように茨が巻き取り始め、金属と宝石がぶつかり合い溶解していく。

 絵画にしたのであれば幻想的な光景として栄えること間違いなしのものだが、この場でぶつかり合うことで生まれた衝撃波は俺たちに襲いかかってきた。

 

 「どうなった!?」


 「これはヤバ過ぎる衝撃波だなァ!?」


 うわっ!?

 俺たちは岩肌に叩きつけられた。

 それだけじゃない、ほかのやつらはどうなったか知らないが、くだけ散った宝石の破片が俺に飛翔してきて全身に突き刺さってきた。

 あと、高温の金属液も飛び散っている。

 咄嗟に頭と胸元は守ったが、それ以外の部分は辛うじて動くか、動かなくなるほどぐちゃぐちゃになってしまっている。


 ……右足は動くか?

 俺は動く部分と動かなくなった部分を把握していく。

 右腕、左足は完全に肉塊と化してしまっているようだ。

 左腕は……手先が辛うじて動くな!

 包丁を持つには充分だが、近接戦闘を行えるレベルではない。

 控えめにいって満身創痍、悪く言えば戦闘不能に半歩足を踏み込んでいる状態だろう。



 さーて、他の連中はどうなっただろうか。

 衝撃波の影響で砂ぼこりが舞い上がって確認できていなかったが、少し時間が立った今なら確認できそうだからな。

 

 ……【綺羅星天奈】はとりあえず生きてるっぽい。

 俺同様にダメージは喰らってるみたいだが。


 そして、【ギアフリィ】は……






 いないじゃん!

 あいつ、あれでくたばったのか……

 貴重な肉壁だったのに、惜しいことをした。

 周囲を見渡してみたが、この辺りはさっきの衝撃波で物陰になるようなものが吹き飛んだので一望できるのだが、その状態で見えないということは死に戻りして自分の次元に送還されたのだろう。


 「アァン!?

 どうやら一人生き残ってたみてェだなァ!」


 俺が足を引き摺りながら【綺羅星天奈】に近づいていくと、向こうから声をかけてきた。

 その声に敵意はあるが、向こうは動こうとしない。

 吹き飛ばされた姿勢のまま、ぐったりとしている。


 「見ての通りだ。

 聖女であるアタイはもう動けねェ……

 流石にアタイ一人でレイドボス級の攻撃を二人同時に相手するのは無理があったみてぇだなァ……

 今回は勝ちを譲ってやるが、一対一だったら絶対負けないから覚悟しておけ。

 あと、1つ伝えておくが、【ランゼルート】に遭遇したら一目散に逃げろ。

 あいつの正義は誰の手にもおえねぇ……

 それだけは覚えておきやがれェ!

 さあ、ケツモチは任せた。

 さっさとやれよ」


 【綺羅星天奈】は俺たちの攻撃の余波で全身が潰れてしまっているようだ。

 この様子を見ると、生きてはいるが動けないのは間違いない。

 こちらに身体を差し出して、負けを認めていることから俺の見込み通りだろう。


 俺はそんな【綺羅星天奈】の様子を見てこの次元戦争を終わらせるべく、僅かに動く左手で握りしめた包丁に力を込める。


 そして、こう呟いた。

 【フィレオ】。




 俺が最小限の動きで放った飛翔する斬撃は【綺羅星天奈】の首を刈り取り、光の粒子と変換されていった。

 スキルのデメリットで俺の包丁を持っていた左腕が吹き飛んでいく様子を眺めていると脳内に無機質な声が響き渡り始めた。


 


 【ディメンションバトル】





 【包丁の煌めき】



 【十字架の陰り】



 【パイルバンカーの散開】



 【陣営が全滅しました】





 【【包丁次元】WIN!】





 【【包丁次元】が3位に昇格しました】





 【【十字架次元】が4位に降格しました】



 【【パイルバンカー次元】が6位に降格しました】



 【勝利報酬は王宮にて選択してください】





 【個人アナウンス】





 【【包丁戦士】に貸与された暴食の力により称号【『sin』暴食の捕食:傲慢】を獲得しました】



 【【包丁戦士】に貸与された暴食の力により称号【『sin』暴食の捕食:虚飾】を獲得しました】



 【称号の効果で【Bottom Down】!】



 【【包丁戦士】の深度が55になりました】




 【称号の効果で【Bottom Down】!】



 【【包丁戦士】の深度が56になりました】



 【種族限界値を超えたスキルの使用】



 【スキルの効果により【Bottom Up】!】



 【【包丁戦士】の深度が55になりました】






 【【包丁戦士】に貸与された暴食の力が返還されます】







 【それぞれの次元へ送還します】



 強引に味方に引き込んだ【ギアフリィ】のおかげでなんとか勝利を収めることに成功したが、【綺羅星天奈】……一筋縄ではいかない厄介な相手だったな。


 何はともあれ、俺の勝利だ!

 イエーイ!








 これで私の次元も3位になりましたか……

 感慨深いですね。


 【Bottom Down-Online Now loading……】


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― 新着の感想 ―
[良い点] 遂に3位! 枝で宝石による被害が減ったのなら技の相性が良かったですね [気になる点] 称号としね着々と捕食しているのが気になりますね 大罪対決で勝った記念って訳でもないでしょうし [一言]…
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