表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/2218

43話 ボマライブ!

 【Raid Battle!】



 【包丁を冠する君主】




 【菜刀天子】


 【次元天子】【上位権限】【???】




 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【次元をさまよい】


 【冒険者を導く】


 【聖獣を担うが故に】


 【深淵と敵対する】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【レイドバトルを開始します】




 はい、移動不可になったので死に戻りしてきました。

 戻ってきたのは俺のホームになった王宮だ。


 「今さら死に戻りしてきたのですか?

 礼拝室で死んでからかなり経っていたというのに……」


 おっ、礼拝室から【菜刀天子】が戻ってきていたようだ。

 

 いや、礼拝室で倒れてから外出して、また死に戻ってきただけなんだよな……


 「底辺種族【包丁戦士】はすぐ命が潰えますね……

 これだから底辺種族は脆くてどうしようもないですよ……」


 すまんな、PKして遊んでたんだ。

 新スキルの試しうちもできて充実してたが、本来は新緑都市アネイブルを散策するために外出してたはずなんだよなぁ……

 どうしてこうなった。


 「……どう考えても自業自得ですね。

 それなら早く出ていきなさい、目障りです」


 【菜刀天子】は手を払い除けるようなジェスチャーをして、俺を追い払うように追いたてた。

 まっ、そうだな邪魔したな。


 俺は【菜刀天子】の言葉に甘えてスタスタとその場を後にした。







 新緑都市アネイブルの広場をぶらぶらしていると何やら人だかりができていた。

 特設ステージのようなものもあるし、ちょっと覗いてみるか。


 「みんな~~、今日も来てくれてありがとうございまぁす!

 いや~、大勢の人に集まってもらえて感激です!

 今日も私の美声に酔いしれちゃってくださいね!!」


 「待ってました~!」

 「ボマードちゃんサイコー!」


 そこにはフリフリのアイドル衣装を着たボマードちゃんがいた。

 愛用のマイクを握りながら観客に声をかけている。

 そういえばアイドル活動やってるんだったか、これがそうなんだろう。


 今までこのロリ巨乳のライブとか見たことなかったし見ていくか。

 そう思い、近場にあった噴水の端に腰を掛けてじっくり見ることにした。

 腰をおろすと最近こり気味だった肩が痛かったのでほぐすために、腕をぐりぐり回したりしてみた。

 あ~、こってるな~ちょっとマッサージでもやってくれるプレイヤーでも探すか。

 そんな呑気なことを考えていると会場のボルテージが上がり始めた、どうやらライブが始まる前のトークが終わり1曲目が始まるようだ。


 「1曲目は【名前を教えてア★ゲ★ル】です。

 この曲は私のチュートリアルでの体験を基に作詞しました!

 いや~、あのときは大変だったんですよ?

 訳もわからず泣いちゃいましたし!

 でも、今では笑い話にできるいい経験でした。

 それでは聴いてください、【名前を教えてア★ゲ★ル】!」


 チュートリアルか……

 初期武器がランダムって仕様だったり、爆弾魔が急にデバフにかかって泣き始めたり、目の前のやつが光になって消えたりと驚くことが多かった気がするな。

 最後のは俺が【風船飛行士】をPKしたからだけど。


 「うお~!」

 「ボマードちゃんのファーストシングルだあああ!!1!1!」

 「ほうファーストシングルですか、大したものですね」

 「ちょっwww昂ってきたわwww」


 ファンからの熱心な声援も徐々に大きくなってきている。

 少し離れた噴水の側から見ているがそれでもすごい熱気を感じるので、近くにいったらその熱に呑み込まれてしまいそうだと思った。


 「私が~教える~その名前~

 あなたは~ドッキドッキ~心拍数~♪」


 「「「心拍数~!!!」」」

 「「「うぉ~っ、ハイッ!」」」

 「「「うぉ~っ、ハイッ!」」」 


 ふ、ファンたちが教育され過ぎている……!?

 ヲタ芸を全員が乱れることなく披露しているのを見るとボマードちゃんの人気が思っていたよりも凄いのだと感じた。

 いや、本格的にアイドルやってるんだなこいつ……。


 歌とか普通に上手いし、【名称公開】のデバフが軽減できるようになったからか振り付けも多少なりとも踊っている。

 体に力こそ入っていないが、練習をいっぱいして仕上げてきたのだと動きのキレを見ればわかる、俺はPKが得意だしプレイヤーの動きには詳しいのだ。


 「ありがとうございました~

 次は私のヒットソング、【Booooom! Down】です!

 いや~、この曲は私が【名称公開】というスキルを獲得した時の思いを込めた曲です!

 助けてくださった検証班の方々やファンのみなさん、そしてトッププレイヤーのあの人に向けて歌います、聴いてください。

 【Booooom! Down】!」


 「「「キタ━(゜∀゜)━!」」」


 「Booooom! Booooom! 君の心をDown♪

 君に~デバフの~魔法をかけちゃうぞ~♪」


 ラブソングかな?

 そんな感じの出だしから始まったタンクトップロリ(今はライブ衣装)のヒットソングだ。

 こういう曲だとガチ恋勢のファンは堪らないんだろうなとは思う。

 俺は普段のあいつを見てるからこの曲媚びすぎじゃない?と思ってしまうが、歌に力がこもっていて、聴いているだけでも胸が熱くなるな。


 「ボマードちゃんこっち見て~」

 「俺にもデバフちょうだい!!!」

 「ほうデバフ魔法ですか、大したものですね」

 「ボマードちゃん俺だ、結婚してくれ~」

 「ヌッ」

 「!!1!!!1!1!」


 一部キンブレの代わりに自分の武器を振っていて、他のファンを誤ってキルしているプレイヤーもいたが会場の熱気から他のプレイヤーに気づかれてないようだ。

 あれはトンカチかな?

 折角だし、便乗して俺も1人ヤっとこ。



 「はぁはぁはぁ……ありがとうございました!

 次が最後の曲です。

 なんと今回初披露のこの曲は、先日の大規模レイドボス攻略での噂や私の実体験を交えた歌詞です。

 後続のプレイヤーの人たちにも今回の頑張りを知ってもらいたいなと思って作ったので、知り合いにも教えてあげちゃってくださいっ!

 では新曲【新緑解放英雄譚】をどうぞ!」


 新曲の発表に今日一番の盛り上がりを見せる会場を横目に、この曲の歌詞について考える。

 あの戦いは大変だったからな……こいつはどんなことを考えながら戦っていたんだろうか……




 ……聴いてみるとほぼ俺についてだった、さすがに恥ずかしいぞ!











 曲が流れている間ずっと悶えている狂人が居たとか居なかったとか……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 読みました(2年の時をへて)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ