424話 次元戦争前の顔合わせ
明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします。
元旦恒例の本日一話目更新です!
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日は次元戦争当日だ!
俺がログインするのを確認した【菜刀天子】がさっそく寄ってきて語りかけてくる。
「さあ、今日は劣化天子の正念場です。
快進撃を続けてきた包丁次元が三位の壁を越えられるかどうか、ゲーム運営も今日はじっくり観戦すると言っていましたからへまはしないように気を付けた方がいいでしょう。
いつもヘマをしている劣化天子に言っても馬の耳に念仏でしょうが、精々頑張ることですね」
相変わらずの上から目線の嫌味だが、思わぬ情報を聞けたな。
まさか、俺の快進撃を運営が注目しているとはな?
そうなれば俺の勝利を魅せつけてやるしかないな!
「はいはい、勝って包丁次元に利益を還元してくださいね。
長々と話していても埒が明かないので、そろそろ送りますよ。
時間の無駄ですから」
そういうと【菜刀天子】は黄髪を揺らめかせながら腰に差していた中華包丁を天に掲げて、包丁から力の奔流である光を煌めかせ始めた。
「【上位権限】【Battle field】展開!」
その力の奔流に俺は飲み込まれた。
【渡月伝心】の時に放たれた物々しい光とは異なり、柔らかな心地のする光だった。
【特異次元 メドニキャニオン】
俺が送られてきたのは、渓谷エリア【地蒜生渓谷メドニキャニオン】に似ている場所だった。
だが、包丁次元の【地蒜生渓谷メドニキャニオン】はプレイヤーたちによる復興作業の成果で大幅に整備されており、畑や民家が建ち並んでいたのに対して、この【Battle field 特異次元メドニキャニオン】は荒々しい滝が遠目に見えたり、整備されていない川が流れていたり、ゴツゴツした岩肌が露出して険しい地形になっていたりと自然そのものの形が残っている。
今回のバトルフィールドは包丁次元以外の渓谷エリアの影響を大きく受けているらしいな。
地形把握に関しては、包丁次元以外にアドバンテージがある戦いになる予感がする。
そうして地形を観察して戦いに備えていると、俺の近くに光の粒子が凝縮し始めてきた。
そして、その粒子たちが人の形を作り上げていく。
まず現れたプレイヤーをちらっと確認すると、そこには不機嫌そうな顔のおっさんがいた。
おっさんといっても【槌鍛治士】のようにガチムチではなく、よくいる日本のサラリーマン風のやや細身の男だ。
不機嫌そうな表情を浮かべたその顔にはちょっと引いてしまうが、多分あのおっさんのデフォルトの表情なんだろう。
服装は、俺が着ているような少しボロついているマントだ。
そう、俺をストーキングしていたおっさん【短弓射手】だ。
「お嬢ちゃんの言う通りの時間にログインしていたけど、本当に次元戦争に参加できるとはねぇ……
こんな小技もあるなんて、やっぱりオジサンにはゲームは難しいカナ」
とかいいつつも、プレイングは一級品だからな。
今までの規則からして候補に入るメンバーの中では【短弓射手】が次元戦争に適していそうだったので呼んでみた。
やはり遠距離武器は普通に心強いわ。
次に現れたのは魔法使いが被る三角帽子と黒いローブを羽織ったいかにも怪しい魔法使いという風体のやつ。
うわっ、出た厨二病を患ってるability【現界超技術】の持ち主であり、異世界人の【黒杖魔導師】だ。
「ククク……混沌次元遊戯に巻き込まれてしまったようだ。
狂巫女もいるようで、我輩の漆黒闇の力を存分に発揮できそうだ……
【大罪教祖】と【大罪巫女】が揃えばあの試みもできるやもしれんか?」
相変わらずルビつきの言葉が多くて、会話があまり頭に入ってこないぞ。
「若い子たちは、そんな言葉遊びをしているんだねぇ……
オジサンにはついていけないねぇ」
オジサンプレイヤーである【短弓射手】が【黒杖魔導師】の言葉に困惑しているが、安心してほしい。
俺もついていけてない。
まあ、でも【黒杖魔導師】もability【現界超技術】による多彩な行動ができるはずだ。
【黒杖魔導師】の場合はスキルじゃなくて、こいつの世界オリジナルの魔法をこのゲームに持ち込んでいるから同じability【現界超技術】の持ち主である【釣竿剣士】とは異なる面で頼りになる……かな?
実際、こいつが本物の魔法を使っているのは銀髪褐色ロリの【大罪魔】を呼び出したあの一回しか見てないから手札が不明で、若干恐ろしいのはある。
言動も意味不明だからな。
「それはお嬢ちゃんも似たようなものだけどねぇ……
オジサンからすれば、どっちもどっちさ」
ええっ、あれと同列に扱われるのめちゃくちゃ不本意なんだけど……
私からすれば底辺種族は全て似たようなものです。
【Bottom Down-Online Now loading……】
本日2話目は12時に投稿予約してます。