417話 罪の降臨
さあ、立食パーティーの時間だぁ!!
俺は円になって祭壇の上に立ち並ぶクラン【包丁戦士狂教団】のメンバーを標的と捉えて腰に提げている包丁を手に取り、祭壇をかけ上っていく。
少し長めの階段を登り終えて、俺は姿勢を整え包丁を持った腕を振り抜いていく。
一番はじめの標的はポッチャリ系男子!
金属の鎧を着込んでいるという本当に切り裂かれる気があるのか?という装備で立っているが、棒立ちな以上俺にとっては装備の分厚さは関係ない。
鎧の切れ目に包丁を通し頸動脈を切り裂きクリーンヒットさせて難なく光の粒子にかえて死に戻りさせていく。
次は着飾ってる女子!
着飾ってるだけで特に防御力は無さそうだから、キルする手段なんていくらでもあるが、せっかくなのであまり使わない上から下にかけての斬擊である唐竹で真っ二つにして死に戻りさせた。
「うわっ凄いっ!?」
「俺、【包丁戦士】ちゃんのプレイヤーキルしてる最中の笑顔好き」
「わかりみが深い!!」
「ワイもはやく美少女ロリにキルされたい!!」
「んあ?
これが狂巫女様の実力か……
相変わらず手際が良すぎて、見惚れてしまうな」
モブプレイヤーたちが何か言っているが、無視無視!
どんどんキルを続けていくぞ!
そうしてクラン【包丁戦士狂教団】のメンバーをキルし続けて、最後に残ったのはこのクランのリーダーである【黒杖魔導師】だ。
こいつ自身も生け贄になるんだな……
てっきり背後で静観しているものだと思っていたが。
「この漆黒闇の儀式の最後には異世界の力を持つ者が生け贄にならなければ成立しない。
何故ならば、大いなる罪も今は異次元に囚われているのだ。
ククク……つまり異世界の力が、異次元へのミチの礎となるのだっ!!!」
異なる次元にいるやつを呼び出すために、異なる世界の力を持つ【黒杖魔導師】を生け贄に捧げて力の均衡を調整するとかそんな感じだろうか?
詳しいことは分からないが、生け贄になるのは【バットシーフ】後輩とか【釣竿剣士】とかでも良かったわけだ。
ん?
待てよ、軍刀使いが【バットシーフ】後輩をキルしたときに祭壇の生け贄にするって言っていたが、この儀式の終了時だけじゃなくて開始時にもability【現界超技術】所持者を生け贄に捧げないといけなかったのかもしれないな。
偶然つれてきた【バットシーフ】後輩だったが、あいつだからこその意味があったってことか。
これが運命力ってやつな……
そんな解説を終えた【黒杖魔導師】を俺は十八番である袈裟斬りで左肩から右腰にかけて切り裂いていく。
【黒杖魔導師】が着ていた黒いローブは防御力をさほど有していなかったようであっさり切り裂かれた。
そして、【黒杖魔導師】は光の粒子に変換されていくがその最中に何やら呟き始めた。
「汝、大いなる罪に選ばれし者。
その希少なる絶対領域を以って、穢れの温床たる我輩の狂神神聖祭壇域に邪な罪を打ち込みたまえ!」
その言葉を遺して死に戻りしたようだ。
そして、【黒杖魔導師】の呟きはどうやらオリジナルの呪文か何かだったようで、祭壇に紫色の光が灯り始め目まぐるしく力が集約されていっている。
紫色の光が祭壇の中央で形を創り終えたところで脳内に無機質な声が鳴り響きはじめた。
【レイドチームへのアナウンス】
【上位権限AI【大罪魔】の降臨に成功しました】
【クラン【包丁戦士狂教団】のメンバー、【バットシーフ】、【包丁戦士】に称号【大罪信徒】を付与しました】
【【黒杖魔導師】に称号【召喚術式を編み出したモノ】を付与しました】
【【黒杖魔導師】に称号【本質を見極めるモノ】を付与しました】
【【黒杖魔導師】に称号【大罪教祖】を付与しました】
【【包丁戦士】に称号【大罪巫女】を付与しました】
【個人アナウンス】
【称号の効果で【Bottom Down】!】
【【包丁戦士】の深度が51になりました】
【称号の効果で【Bottom Down】!】
【【包丁戦士】の深度が52になりました】
【Raid Battle!】
【『sin』ーーー大罪を司る悪魔】
【????】
【大罪魔】【上位権限】【???】
【ーーー次元渡航による障害で破損ーーー】
【ーーー次元渡航による障害で破損ーーー】
【ーーー次元渡航による障害で破損ーーー】
【ーーー次元渡航による障害で破損ーーー】
【ーーー次元渡航による障害で破損ーーー】
【ーーー次元渡航による障害で破損ーーー】
【ーーー次元渡航による障害で破損ーーー】
【レイドバトルを開始します】
【ワールドアナウンス】
【包丁が血を求める】
【【包丁戦士】の称号【『sin』暴食の目覚め】が強制セットされました】
【【包丁戦士】の称号【『sin』暴食の渇望】が強制セットされました】
【【包丁戦士】の称号【『sin』暴食の飢忌】が強制セットされました】
【暴食は食べ散らかしたり、味わったりする……】
【大罪域の風が吹き荒れる】
【【包丁戦士】に暴食の力が貸与されました】
アナウンスについてはまあ、ある意味いつも通りだからいいが……
俺の暴食も強制的に起動したということは、やはり目の前に出現したこいつは大罪魔なのだろう。
レイドアナウンスで流れている情報は破損ばかりで見れたものじゃないが、それでも【上位権限】を持っていて対峙していても凝縮されたエネルギーを感じられるから、俺が手を出せないほどの存在であるというのも肌で感じられる。
「……大罪魔だったり、大罪魔じゃなかったりする……」
だが、その大罪魔は銀髪褐色ロリだった。
えぇ……もっとボンキュッポン的なやつが出てくると思ってたんだが……
もっと、こう、強そうな感じのやつが!!
ロリだったり、ロリじゃなかったりする……
【Bottom Down-Online Now loading……】