414話 罪の上塗り
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日は大罪状態に意図的になれるかチャレンジしてみようと思う。
なんとなくトリガーは分かっているが、意識してやったことはなかったのでこの機会に試してみようと思う。
というわけでやって来ました草原エリア!
俺は到着して早々に真横を横切った巨乳プレイヤーの首を切り裂いて光の粒子へと変えていく。
さあ、今日の俺はいつもと違うぞ?
お前らまとめてかかってきな!
「ちっ、狂人が……」
「俺たちをなめやがって……」
「今日こそ【包丁戦士】を返り討ちにするぞ!」
「「「「おー!!!」」」」
もはやランダムイベントみたいな扱いをされつつある俺の草原エリア襲撃だが、最近はモブプレイヤーたちも俺が襲撃するのに備えていつでも戦闘に入れるようにしているようだ。
じゃなかったらこんなにすぐに俺を取り囲むことなんてできないだろうからな。
感心感心!
だが、数を揃えたくらいで俺を止められると思うなよ?
スキル発動!【深淵顕現権限Ж】!
俺は俺に敵意のない傍観していたモブプレイヤーたちを生け贄に捧げてアバターを作り替えていく。
黒い霧が発生し、俺のお尻にドロドロの粘液を滴しながら脈動するウナギのような尻尾が生えてきた。
五つある深淵細胞の中でも、やはり一番使い勝手がいいのは俺の宿敵だったジェーライトの細胞だ。
この尻尾の使い方を一番身をもって経験しているからな。
そんなジェーの尻尾を第三の腕として使い一斉に迫り来るモブプレイヤーたちを屠っていく。
包丁で切り裂き、尻尾で弾き飛ばし、【魚尾砲撃】による極太レーザーで消滅させる。
これが遠近両立していて一番安定感のある戦い方だ。
近くのプレイヤーも、遠くに陣取ってるプレイヤーも関係なしに次々とキルしていくが、何にしてもモブプレイヤーたちの数が多すぎる。
どこに潜んでいたんだってくらいワラワラ出てきているので、キルしてもキルしてもキリがない。
いくら俺がプレイヤーキラーでも、これだけの数を相手に無傷というわけにはいかない。
ちっ、いっちょ前に戦闘技術が上がってきてやがるな?
誰がこいつらを育てたのだろうか、数で圧してきているのもあるが小賢しいぞ!
被弾が増えていくのにつれて俺のボルテージも上がっていく。
全身が火照りはじめ、包丁を通じて伝わってくるプレイヤーの肉感的感触がそれを助長しているようだ。
ふはははははは!!!!!
いいぞ!
お前ら、いい食材に仕上がってきたじゃないか!
まだまだジャンクフード域を越えないが、お前たちの味をたっぷりと味わわせてもらおう!!!!
解体ショーの始まりだぁぁぁぁぁ!!!!
【ワールドアナウンス】
【包丁が血を求める】
【【包丁戦士】の称号【『sin』暴食の目覚め】が強制セットされました】
【【包丁戦士】の称号【『sin』暴食の渇望】が強制セットされました】
【暴食は食べ散らかしたり、味わったりする……】
【大罪域の風が吹き荒れる】
【【包丁戦士】に暴食の力が貸与されました】
やはり、俺のボルテージとかダメージが暴食を呼び起こすようだな!
ワールドアナウンスと共に俺の身体に大罪が烙印されていくのを感じている。
全能感と飢餓に襲われる奇妙な感覚だ。
暴食の力が貸与された俺は、すぐさま近くにいたモブプレイヤーを包丁で袈裟斬りをして死に戻りさせる。
すると、これまで受けていた傷がひとりでに塞がっていっている。
この感覚、気持ちよすぎるぅ!!
んあー!!!!
暴食の力で辛うじて分かっているドレイン性能を有効活用して、俺の継続戦闘を可能にすべくヒットアンドアウェイを繰り返していく。
「このしぶとさ……まるでゾンビみたいだ……」
「それを言うのならゴキブリだろwww
害悪プレイヤーにはゴキブリがぴったりだ!」
俺は無言で極太レーザーを放ってゴキブリプレイヤーを灰塵にした。
「それでいてこの集中力とか化け物だろ……」
「ワイだったら1分くらいで注意力散漫になるンゴwww」
「いや、それは短すぎだろ!」
お前らうるさいぞ!
とりあえず平等に切り裂かれておけ!
俺は雑談していたやつらを包丁で辻斬りしていきキルスコアを稼いでいく。
その隙に俺にダメージを与えてきたやつも居るには居たが、そのダメージ量よりも暴食による回復量の方が多いみたいで全く無傷の状態まで回復することができた。
ふはははははは!!!!!
ほらほらほらほらほら!!!
どうしたこんなもんか!!!
俺は調子に乗りながらジェーの尻尾を使い、飛んできた砲丸を打ち返していく。
まるで野球だな?
だが、普通の野球と違うのはピッチャーライナーで投手が吹き飛ばされていく点だな。
甘い球を投げるからだ、ざまーみろ!
俺によるモブプレイヤーたちへの蹂躙はいつも以上に長引いた。
結局ログアウトするまで俺はドレインを継続して、死ぬことはなかったというわけだ。
【個人アナウンス】
【【包丁戦士】が称号【『sin』暴食の飢忌】を獲得しました】
【称号の効果で【Bottom Down】!】
【【包丁戦士】の深度が50になりました】
【罪が積み重ねられたり、積み重ねられなかったりする……】
【信徒と共に祭壇を作るプレイヤーが居たとか、居なかったとか……】
えっ、なんだって?
困惑したり、しなかったりする……
【Bottom Down-Online Now loading……】