405話 脱殻機動体
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日はとある用事を済ますために草原エリアに行くぞ!
というわけでやって来ました草原エリア。
俺はここで【検証班長】と【槌鍛治士】を呼び寄せているのだ。
「まあ、ワシはわざわざ呼び寄せ無くともいつもこの辺りにいるがな!!!
ワシの鍛治場もこの辺りだ!!!」
「ボクはたまに来ますけど、今回は呼んでもらわなかったらここには来てなかったので助かりますよ。
それで、今度はどんなトンでも情報を持ち込んでくれるのかな?
【包丁戦士】さんのことだ、何か試したいことがあってボクを呼んだのでしょう」
流石【検証班長】!
まさしくその通りだ。
実はお前たちが復興事業としてやっていたあの模型を使わせてもらおうと思ってな。
「あの模型だと!!!」
「レイドボス【蕭条たる百足壁】の脱け殻で作った邪神像ですね。
あれは今や一種の観光スポットにこそなっていますが、何に使うつもりですか?
あまり価値が無さそうなことならばこのまま置いておきたいところなのですが……」
悪いがそれはできない相談だな。
深淵域の管理者であるルル様からのユニーククエストを達成するために最低限必要なものだからだ。
選択肢がこの【蕭条たる百足壁】の模型か俺のアカウントかどちらかしかないんだ。
流石に俺は自分のアカウントを犠牲にユニーククエストをクリアしようとまで思わないから、こいつを使わせてほしいってわけさ。
「ユニーククエストですか!
それは非常に興味深いですね。
そういうことであれば使用許可を出すのもやぶさかではありませんね。
ですがあの像をどのように使うつもりですか」
まあ、これを見てくれ。
俺はそう言ってポケットの中から漆黒のダイヤモンド取り出して【槌鍛治士】と【検証班長】に見せる。
黒光りする鉱石は禍々しい妖気を漂わせながらその威容を示している。
「ガハハ!!!
またお前はわけの分からないものを持ち込んできたな!!!
だが、これを見れば何となく何に使えばいいのか分かったぞ!!!」
「これは……深淵の気配がプンプン漂ってきていますね……
もしやこれをあの像に埋め込むということでしょうか」
その通りだ。
これは【蕭条たる百足壁】の核の欠片らしい。
この核と依り代があれば俺が発生させた【ユニーククエスト【蕭条たる百足壁】のスキルで結界を王宮に張り巡らせよ】をクリア出来る……とルル様が言っていた。
「ガハハ!!!
そういうことならワシに任せろ!!!
すぐに取り付けてやろう!!!」
【槌鍛治士】はそう言うとさっそく俺から漆黒のダイヤモンドを受け取り像の方へと走っていった。
俺と【検証班長】は特にやることがないので見守っている。
「ちなみにですけど、あの核を取り込んだら像はどうなるか聞いていますか?」
いや、聞いてないけど動き出すんじゃないか?
身体と魂が揃うわけだし。
「それはそうでしょうけど……
いや、ボクが聞きたかったのはレイドボスになるのかということです。
本体は崖の下にいるということですが、この脱け殻と魂の欠片だけでレイドボス足り得るのか事前に分かればと思いましたが……」
まあ、それは俺にも分からないな。
【槌鍛治士】の取り付け作業が終わらないと分からないだろう。
待つこと一時間ほど、その時は唐突に訪れた。
【ワールドアナウンス】
【邪神像が完成しました】
【邪神像の共有所持者の検索……該当者4名】
【設計者……【槌鍛治士】】
【提供者……【包丁戦士】】
【提供者……【ボマード】】
【指揮者……【検証班長】】
【一定以上製作に関わったプレイヤーに称号【邪神像製作従事者】を付与しました】
【邪神像共有所持者に称号【邪神像占有権】を付与しました】
【個人アナウンス】
【称号の効果で【Bottom Down】!】
【【包丁戦士】の深度が47になりました】
【称号の効果で【Bottom Down】!】
【【包丁戦士】の深度が48になりました】
【部位破壊ボーナスで【Щ細胞】を獲得しました】
【【包丁戦士】が称号【深淵の脚】を獲得しました】
【称号の効果で【Bottom Down】!】
【【包丁戦士】の深度が49になりました】
「ガハハ!!!
手にいれた称号をセットしたら動かせるようになったぞ!!!」
……なんかよく分からないことになってきたが、操縦できるのなら色々と都合が良さそうだ!
今日はその後3人で邪神像の操縦に慣れるため草原をデカブツムカデで爆走して遊んでいた。
「これはっ……楽しいですね」
「ガハハ!!!
ワシも童心に返った気分だ!!!」
うん、たのしい!
新しい移動手段を見つけたプレイヤーはそれで遊びがち。
ゲームの定め……みたいですね。
……じゃないですよ、なんで深淵種族の像を操ってるのですか!?
止めてください!!!!!
【Bottom Down-Online Now loading……】