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383/2202

383話 闇の獣

 「「「「「「「いけえええええ!!!」」」」」」」


 俺たちの叫び声と、文字通り全力全霊の演奏を力に変えた黒い霧が激突した。

 abilityによる特効とスキルによる特効が組合わさったからか、先ほどぶつけた際よりもより激しく拮抗しているようだ。


 はじめこそ天雷雲に押されぎみであったものの、次第に霧が雲を侵食していきその存在を消していっている。

 その様子は光を食いつくそうとする闇の獣のごとき勢いであり、

 天雷を消し去る度に黒い霧も量を減らしていっているため、切れ目からは日が差してきておりそこからは天雷が墜ちることがなくなっていった。


 「て、天雷が消えていくぞ!」


 「あっちに逃げ込め!」


 「あそこからならオジサンの弓も安全に使えるねぇ」


 「なんだか知らんがヨシッ!」


 「狂人がやったようだな。

 流石は頭がおかしいだけある」


 「ああ……【包丁戦士】ちゃんの禍々しい演奏に包まれて死に戻りしたい……」


 「ロリ `is 最高!」


 「ここまでで、天雷と蒼炎ブレス、爪翼尻尾による通常攻撃で50人倒されたがそれでも50人でよく済んだって感じだよな。

 対策が機能してるってことか」


 「50人は普通のVRMMOだったら死にすぎって言われるラインなんだよなぁwww

 完全にこのクソゲーに毒された感じするわwww」


 「【包丁戦士】様、流石ですわ。

 ワタクシがこれまで蒼炎ブレスをほぼ一人で受け止めている労力をかけただけの成果を上げて下さいましたわね。

 ワタクシ、感激致しましたわ!」


 その辺のモブプレイヤーや【トランポリン守兵】お嬢様が歓喜の声を口にした。

 【トランポリン守兵】お嬢様の活躍が無ければ俺たちはここまで時間をかけて天雷対策を使うことが出来なかっただろうし、感謝するのはお互い様だろう。

 持ちつ持たれつというやつだ。


 「生産プレイヤーなら当然……と言いたいところですが今回は流石ですね。

 私の師匠でもここまでのことをやろうとは思わなかったでしょうし」


 天雷雲が晴れていくことによって、プレイヤーが天雷の危険に晒されることが減っていっているため今まで守りを固めていた【釣竿剣士】にも余裕が出てきているようだ。

 というか【釣竿剣士】に師匠なんていたのな。



 ……いや、よくよく考えてみると釣竿一刀流っていう流派なんだから我流で開祖とかじゃなければ師匠はいるよな。

 こんな技術を持ったやつが何人もいるって考えが浮かばなかったが、それは早計だったようだ。



 そんなことを【釣竿剣士】は言いながら、蒼炎ブレスを吐き続けている【オメガンド=メイローン】へと突撃していく。


 「天雷を受け続けるのは結構生産プレイヤーの私でも大変でしたからね。

 ここで少々鬱憤を晴らさせてもらいましょう。

 釣竿一刀流【斬祓】!」


 【釣竿剣士】は釣竿をあたかも扇のように見えるほど高速で振るい、その扇で扇ぐように【オメガンド=メイローン】に釣竿で切り込んだ。

 元々、岩を木っ端微塵に出来るほど強力な技だったが、スキル【現界突破】によってそれまではめられていた枷を振りほどいたのだ。

 当然技のスケールが大幅に派手になっている。


 釣竿が遠心力によってなのかなんなのか理屈は分からないが、釣竿を【オメガンド=メイローン】の巨体と同様まで伸長しているのだ。

 その大きさで振るわれた釣竿一刀流【斬祓】は地面を切り取りながら、竜の堅牢な鱗を剥ぎ取っていってる。



 【ぐぐぐっっ!!!!!】


 【こやつ、本当に何者なのじゃっっ!!??】


 【わっちに一撃でここまでの手傷を負わせるとは、今ならレイドボスと言われても信じてしまいそうなのじゃ】


 【じゃが、底辺種族なのはわっちも把握しておる故に驚くしかないのじゃ……】


 【天雷の対策といい、この規格外底辺種族といい、わっちをいちいち驚かせてくれるのは見事なものじゃな】


 ほら、やっぱり【釣竿剣士】はレイドボス視点でもおかしいやつ扱いされてるじゃん。

 異世界人とはいえ、同じ人類という枠組みにいるのが不思議なスペックだよな。

 

 「当然ですよ、生産プレイヤーなら!」



 【生産……久しく会っておらぬクシーリアを思い出す響きじゃな】


 【いや、あやつも底辺種族に敗れたのじゃったな】


 【わっちも少し気を引き締めるとするのじゃ!】


 【第三試練まで突破したことは否定しようがない事実じゃからな】


 【じゃが、次はいけるかの?】


 そこまで俺たちに話しかけると、【オメガンド=メイローン】は両前足を地面に叩きつけた。

 あれは地面にエネルギーを送り込んでいるのだろう。

 アルベーの眼が無くともわかる、なんなら俺以外の全てのプレイヤーも察知できるほどの力が動きエリア全体が震動しているからな。





 ……ということは……




 【第四試練じゃ!】



 【地沈隆起に適応するのじゃ!】


 ついに到達した!

 未だ誰も越えることが出来ていない難攻不落の第四試練、地沈隆起への適応試練だ!

 これをこのメンバーで乗り越えてやる!


 





 ここまでの大人数で第四試練まで進んだのは初めてですね。

 底辺種族にしてはやりますね。


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[良い点] ルル様の雲対策を真似しきるとは包丁戦士の作戦が光りますね かなりのアドがとれてますね [一言] 釣竿一刀流恐るべし 制限がなければタイマンでレイドボスさえ倒してしまいそうな強さですね 本当…
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