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380/2205

380話 積み重ねられた天雷対策

 一斉攻撃が【聖獣オメガンド=メイローン】を守る水の生命花へと直撃する。

 俺たちと別方向から攻撃しているやつの攻撃も含めて色鮮やかな衝撃が水の生命花【水流万花】との間に発生していく。


 衝撃で土埃が舞い上がり、【聖獣オメガンド=メイローン】を包み込んでいく。

 ちっ、どうなったんだ……?

 攻撃の結果が見えないのでプレイヤーたちに緊張が走っている。



 【こ、これは……】


 【ぐっ、底辺種族と甘く見ておったが予想以上の結束力じゃ】


 


 土埃がはれていき、【聖獣オメガンド=メイローン】の様子が明らかとなった。


 

 【水流万花】により産み出されていた複数の水の花弁が大量の攻撃によって消滅させられており、そのまま【聖獣オメガンド=メイローン】へと数数の攻撃が命中していた。


 つまり……



 【お主たち、見事な攻撃だったのじゃ!】


 【本来持ち出す予定ではなかった水の生命花の力、スキル【水流万花】を個の力ではなく集団……群れることによって突破するとは……】


 【やはり、底辺種族の真の力は結束力じゃったか】


 【わっちたちレイドボスと呼ばれる存在は個々の力が強いあまりに、大勢で群れるということを本能的に避けるのじゃが、底辺種族は弱いからこそ本能的に群れるのじゃな】


 【興味深いのじゃ……】


 【もっとお主らを知るために次なる試練でも観察させてもらうのじゃ!】



 なんか長々と喋っているが、その間にも俺たちは話し半分に攻撃を続けている。

 俺たちに言葉を伝えるために攻撃が弱まっている今だからこそ、実はかなりのチャンスタイムだからな。

 正直、世界観の考察とかは【検証班長】にでも任せておけば問題ないからな。

 その代わりに俺たちは前線で攻撃を続けるのが、他の奴にとっても好都合だろうし、それをサボるわけにはいかない。

 得意なことを得意なやつがやっていくのが全体の効率を上げるための近道だし、そもそも他のことに気を配る余裕はこの戦場にはそんなにない。


 司令塔として後方で待機しているメンバーが唯一少し余裕がある感じだ。


 そんなことを思いながら攻撃していると、【聖獣オメガンド=メイローン】の全身から風圧が解き放たれ俺たちプレイヤーは例外なく五メートルほど後退させられた。


 そして、そのまま【聖獣オメガンド=メイローン】は口を開き言葉を紡いでいく。

 

 【第三試練じゃ!】



 【わっちの天雷を掻い潜るのじゃ!】




 とうとう来たか、運回避ゲーステージ!

 さあ、第三の試練に移り、上空に立ち込めている雲から天雷が降り墜ち始めた。


 この天雷を防げるはずの【トランポリン守兵】お嬢様は蒼炎ブレスを防ぐのに手一杯で、上空から降り墜ちる天雷に気を回す余裕がない。

 となれば他のやつで防がないといけないが……


 「私に任せてください。

 ここ一番の見せ場ですから、生産プレイヤーとして当然の力を発揮してきますよ!

 スキル発動!【現界突破】!釣竿一刀流【渦潮】!」


 最前線にいる【釣竿剣士】がabilityの枷を外すスキルを起動して動きのギアを上げていく。

 そして、 そして、トーチトワリングでもするかのように釣竿を振り回し始めた。

 釣竿が回転する様子はまさに渦潮、見事なものだ。

 今までの【渦潮】とは異なり、まるで荒々しい嵐の海原に現れた渦潮のように力強さを感じられる。

 今までと規模も違うし、これが本来の釣竿一刀流【渦潮】ってわけか。

 末恐ろしいな、おい!


 その回転する釣竿によってあの凶悪な天雷が俺たちのいる部分まで届かず、千切りにされた。




 だが、それでもすべてのプレイヤーを守りきることは出来ないようで漏れた天雷が降り墜ちようとしている。

 しかし、それはもちろん想定済みだ。


 いけっ、俺の相棒【槌鍛治士】!


 「ガハハ!!!

 ワシの傑作のお披露目といこうか!!!

 ボマードちゃん、【バットシーフ】、手の空いているハリネズミたち!

 ワシ特製天雷対策避雷針、展開!!!」


 「いや~、待ってましたよ!

 いきますよ~!」


 「了解ッス!

 ちょっと離れた位置でやるッスよ!」




 「オレたちの貴重な活躍シーンじゃん!」


 「これは少し気合いを入れるか」


 「拙者、避雷針設置侍。

 義によって、設置するで候」


 俺のクラン【コラテラルダメージ】のメンバーの一部を除いたメンバーが一定の間隔を空けながら長さ10メートルくらいある避雷針を渓谷に打ち立てていく。

 流石に一人で立てるのは難しいので、周りのプレイヤーも手伝ってくれているようでなんとか立てられたようだ。

 【槌鍛治士】が簡単に組み立てられるような構造にしてくれたのもあって手間取ることはなかったというのも大きい。


 「避雷針かwww

 でも、オレのクランでも前に同じことをやったけど一発で木っ端微塵になったから意味ないぞwww

 テラカナシスwww」


 あれっ、【風船飛行士】もやってたのかよ!

 前もって教えてくれたら良かったのに……

 また情報隠し持ってやがったな……



 【その通りなのじゃ!】


 【わっちの天雷をただの生産物が耐えられるわけないのじゃ!】


 【近くにおる底辺種族共々砕け散るがいいのじゃ!】





 【聖獣オメガンド=メイローン】の言葉の直後、天雷が避雷針に向かって墜ちることとなった。

 避雷針、ダメだったのか……?

 いや、だが……あれがどうなるかっ!?







 チームプレーを誉められた底辺種族が直ぐに身内のいざこざで混乱しているのは滑稽ですね……


 【Bottom Down-Online Now loading……】


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― 新着の感想 ―
[良い点] 一斉攻撃して試練を突破したかと思えば情報共有ができていない事で揉める 包丁次元らしいですね [一言] まぁ、雷の対策といえば避雷針ですからね、そりゃ一回は作りますよね でも別の対策があるよ…
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