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38話 強キャラが仲間になった途端弱く見える法則

 【ディメンションバトル】


 【【10位 包丁次元】VS【9位 蛇腹剣次元】】


 【勝利条件 陣営旗の奪取】


 【異次元の風が吹き荒れている】


 【包丁が血を求める】


 【蛇腹剣が激しく取り巻く】


 【Duel Start!】


 


 【ゲーム運営からのアナウンス】


 【今回のイベントで初登場の異次元の風が吹き荒れるフィールドでは、対戦相手次元の法則も互いに影響を与えます。

 自身の次元を開拓して魔境に育てて有利に戦いましょう】


 【※このアナウンスは、プレイヤーがいつでも【ヘルプ】で確認出来るようにしておきますので、ご確認ください】


 「いや、今回のイベントで初登場じゃないだろ!」


 「そうだな!」


 俺と【槌鍛治士】が激しく反応する。

 先日のジェーとの戦いで第二段階へ変化したときに普通に吹き荒れていたぞ、異次元の風。


 つまりあれはバグか運営の想定していない挙動だったのだろう。

 無表情チャイナ娘の件といい、さっきからそんなのばっかりだな。


 さて俺たちの拠点だが、俺のログイン場所にもなっている王宮のような建物だ、ここの広間に陣営旗が立っている。

 勝利条件は相手側のこの旗を盗ることみたいだが、相手側の人数にもよるが俺たちの次元の人数では防衛をマトモにしていると一切攻めることなく負けてしまうだろう、その逆もしかりだ。

 守りか攻めどちらかを選ぶなら勝てる可能性がある攻めに全力を尽くすべき。


 「私好みの選択です、いいでしょう底辺種族たち攻めていきなさい。

 私は相手のサポートAIに勝たなければならないので一切手助けはしませんが」


 だろうな、こいつは他のサポートAIに対して並々ならぬ執念を募らせている。

 ま、こいつと同格以上の相手を足止めしてくれるならそれで充分だが。


 というわけで俺、【槌鍛治士】、無表情チャイナ娘、【菜刀天子】の4人は特に策もなく相手の陣地に特攻することになった。

 人いないし仕方ないよね。


 建物の影に隠れながら進行していると樹木の向こう側から【蛇腹剣次元】のプレイヤーと思われるプレイヤーたちが現れた。

 10人くらいいるな。


 とりあえず隠れたままっていうのもいいかもしれないが、このまま行くとフリーパスで陣営旗が盗られてしまう。

 それは不味いのでとりあえず包丁を投擲、狙いは【槌鍛治士】の2pキャラクターみたいなガチムチでハンマーを持った男。

 うん、暗殺成功!


 「マックスがやられた!?

 くそっ、出てこい!」


 あのガチムチハンマー男はマックスという名前らしい。

 どうやら【包丁次元】とは違い名前をそのまま呼びあっているらしい。これが次元法則の違いによるプレイスタイルの変化か。

 そして、出てこいって呼ばれたがこのまま出ていくのも癪なので、誰か一人を人柱にしてこのまま進軍したい。


 本当は【菜刀天子】に一掃してもらいたいところが、もうずいぶん先へと行ってしまっている。

 事前に、助けないって言ってたからまあいいけど……


 「とりあえず【槌鍛治士】に殿任せていいか?

 あのマックスってやつに似てるしあそこに入ればいい感じのバランスになるだろう」


 「なんだその変な理論!

 しかし、ここで誰かが時間稼ぎしないとな!

 いいだろう、ワシに任せろ!

 だが時間稼ぎではなく、別に勝ってしまってもいいのだろう?」


 厚い胸板を拳でどんっと叩き胸を張る【槌鍛治士】。

 こう言うときに頼りになるのがこいつの良いところだよな、だからこそ信頼できる。


 そして槌を引きずりながら【蛇腹剣次元】のプレイヤーたちの前に出ていった。

 ……あいつらの武器を一通り確認したが、蛇腹剣を持っているプレイヤーはいないな……


 別ルートで攻めているのか、本陣で守っているのか気になるところだが、ここは【槌鍛治士】の犠牲を無駄にしないためにも一刻も早く進軍すべきだと思い、そのままスルーした。




 その後はたまにソロで動いているプレイヤーに出会って襲いかかられることを5回ほど繰り返したが、人を切ることなら俺の右に出るものはいないと自負するくらいPKは得意なので背後からの刺殺、物陰からの低姿勢の切り上げなどで異次元の【モブ】たちを処理していった。

 俺にかかればこんなものさ、包丁が血を求めている。


 




 そして俺と無表情チャイナ娘は相手側の王宮に潜入することに成功した。

 なお、無口紫色のチャイナ服女はほぼ棒立ちで俺の後ろをついてくるだけの木偶の坊だった。

 レトロRPGで勇者の後ろをついてくるパーティーメンバーみたいな感じ。

 無言であれやられると普通に怖いし、喋りかけても返答してくれないのでめっちゃ気まずかった。


 陣営旗のある場所にたどり着くと3つの人影があった。

 1つはボロボロにやられている【菜刀天子】。


 ちょっ、おまっ、やられ過ぎだろ。

 服がボロボロになり、胸元に巻かれているサラシがむき出しになったり自慢の冕冠もその辺に落ちていた。


 2つめは圧倒的存在感を示す巨大な蛇腹剣を抜いている大男。

 服も【菜刀天子】に似てるし、こいつがサポートAIの【次元天子】なんだろう。


 3つめは【次元天子】同士の戦闘の影響で荒れている床で平然と寝ているロリ。

 ぬいぐるみを持つかのように蛇腹剣を持っているからこいつがMVPプレイヤーなのだろう。

 ただ、物々しい武器を持っていることよりも目を引くことがある。

 こいつ、パジャマ着てるぞ!?

 普段からその格好なのか知らないが、服装がパジャマだ。

 激しい戦闘が繰り広げられている中でも平然と寝ているとは……


 「むにゃ?

 2人が【包丁次元】の人?

 せっかく寝てたのに……起こさないでよね!」


 なんだ?こいつ。

 

 「お母さんに起こされないでずっと寝れるからこのゲームやってるのに……

 もうっ!」


 こいつ、見た目アバター通りのロリだな。

 そしてゲームやってる理由が意味不明すぎる……


 だが、その言動で油断するのは不味いかもしれない。

 レイドバトルのMVPプレイヤーと推測出来ている以上、こいつはかなりヤれるやつだということだ。


 「【菜刀天子】はお前たちがやったのか?

 こっぴどくやってくれたようだが?」


 「そうだよ~!

 うちの天子の【ジャノメ】にかかればイチコロだよっ!

 それにそいつめっちゃ弱かったし、無様だよね~」


 パジャマロリが【菜刀天子】を指差し嘲笑っている。

 

 「すみません……

 私が真っ先に負けてしまうとは……

 底辺種族【包丁戦士】に大口を叩いておきながらこの醜態、屈辱です」


 いや、【菜刀天子】に同情したりパジャマロリに怒ったりする場面なんだろうがこいつ負けても偉そうな口きいてるし、なんか気が削がれてしまった。

 ただ、こいつが弱いのは俺の責任でもある。


 攻略が遅れているからこそこいつの育成が他の次元より進んでいないからな。

 スキルも【渡月伝心】しか渡せてないし、ちょっと責任は感じている。

 なので、それに免じて怒るか。


 「【菜刀天子】はたしかに弱かったかもしれない、だが、立ち向かう意気込みは人一倍強かった。

 それを無様だと笑うのは俺が赦さない!

 蛇腹剣のパジャマロリ、俺と一騎討ちで勝負だ!

 俺たちの次元を、天子を侮ったこと後悔させてやるよ」


 俺の一世一代の勝負が始まろうとしていた。

 【菜刀天子】、お前の仇は取ってやるからな!




 あっ、そこの大男の天子は入ってこないでね?

 勝負になる前に俺が潰れるから……












 

 ……いちいち締まらない底辺種族ですね……


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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[一言] 無表情チャイナ娘キャラデザ気になる
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