375話 ネタ装備トッププレイヤー(主人公含む)集結
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日はとうとう【聖獣オメガンド=メイローン】討伐総力戦当日だ!
というわけでやってきました渓谷エリア……【地蒜生渓谷メドニキャニオン】。
ここには既に大勢のプレイヤーたちが集まっている。
それもそのはず、今回のレイドボス討伐は過去最大規模の人数が参加する合同作戦だ。
「そういうことです。
ボクとしては、一番【包丁戦士】さんの機転に期待してますが」
おっ、【検証班長】じゃん!
今回【検証班】のメンバーはどれくらい参加するんだ?
「2つ名持ちは全員参加します。
それ以外のプレイヤーも50人ほどいますよ。
さらに、まだ公表はしていないですが【ペグ忍者】が大幅に強化されました!
期待していてください。
ただ、今回のレイドボス【聖獣オメガンド=メイローン】相手だとこのメンバー全員脱落する可能性も非常に高いですが」
今までもレイドバトル終了時に残っていたのはウプシロン戦以外は3、4人だったからな。
ウプシロンは防御タイプだったから被害は少なかった。
……まあ、その分時間は規格外にかかってたけど。
「あの耐久戦は一番疲れたね。
何にしても、今回はそうならないように立ち回らないといけないです。
他のクランと衝突しないように頼みますよ……」
うわっ、俺が【風船飛行士】とぶつかる可能性を見据えてるな、この眼鏡。
それくらいの可能性を考慮してるからこそ包丁次元のブレインと呼ばれるほど慕われているんだろうが。
そう言い残すと【検証班長】は他のメンバーへと挨拶回りに行ってしまった。
俺も他のやつに声をかけに行くか……
次に俺が会話することになったのは【トランポリン守兵】お嬢様だ。
「あら【包丁戦士】様、ごきげんよう!
今回も前回に続いてよろしくお願いしますわ!」
こっちこそ頼む……
今回のレイドボスに関してはポリンお嬢様のトランポリンの守りの力が必須条件だからな。
今ここに集まっているメンバーの中でも一番重要人物と言っても過言じゃないほどだ。
「あなた様にそこまで言われてしまうと照れてしまいますわよ!
ですが、ワタクシ自身それは自覚していましてよ?
【聖獣オメガンド=メイローン】は範囲攻撃を繰り返してきますわ!
であるからこそ、ワタクシの広範囲を守りきれる防衛技術が今回の作戦の要になっていましてよ」
そういうことだ。
ポリンお嬢様の持つ【クラフトマイスター】の権限と、タンク系チュートリアル武器所持者に与えられた特別なスキルである【近所合壁】の会わせ技で範囲防御ができるようになる。
これは包丁次元全体を見てもポリンお嬢様しかできない芸当だ。
あのリアルチートの【釣竿剣士】だろうと、流石に出来ないだろう。
「そういうことですわ!
それでは、攻撃はあなた様にお願いしますわ!
ワタクシは皆さまを全力で守り抜くと宣言しましてよ!」
その心意気だ!
頼んだぞ……
お互いにモチベーションを高めあいながらそれぞれ離れていく。
次は誰に話しかけるか……
そう考えていると背後に気配を感じたのでギョッとして振り向いてみる。
そこには頭に青色の花飾りをつけた大学生くらいの女がいた。
こんな感じで俺の背後を取れるやつなんて、一人しかいない。
「当然ですよ、生産プレイヤーなら!」
そう、【釣竿剣士】だ。
今回は【釣り堀連盟】というクランを引っ提げての登場だが、どんな感じで仕上げてきたんだ?
「基本的にタンク系プレイヤーが多いクランですからね。
【トランポリン守兵】さんが防ぎ漏らした攻撃を私のクランメンバーで防いでいく形になると思いますよ?」
お前のクランメンバーが防ぐってことは、今回は【釣竿剣士】がダメージを狙って攻撃にうって出るってことでいいんだよな?
もちろん、試練が進んだら【釣竿剣士】には守りに入ってもらわないと詰むんだが。
「そこは臨機応変にやりますよ。
生産プレイヤーですからオールラウンダーとしての立ち回りでいきます。
それに、この前【包丁戦士】さんがスキル【現界突破】を解放してくれたおかげで本来の私の力を見せることができますから!
これまでの私とは一味違うというところを目に焼き付けておいてください……生産プレイヤーだけに」
いや、なにが生産プレイヤーだけに!だよ。
相変わらず謎理論を構築してくるな、この異世界人……
「私からすると【包丁戦士】さんも充分謎理論で会話していると思いますけどね……?
まあ、今さらなのでそこまで気にしてないですけど」
気にしないで結構。
俺の思考はまともだ。
「まともじゃない人ほどそういうんですよね……
ましてや、あなたは狂人と周りから呼ばれているくらいですし」
それは……うーん……
特に反論のしようがない。
ともかくだ、お前ほど全レンジで活躍できるプレイヤーはいないんだ。
途中で死んでくれるなよ?
「当然ですよ、生産プレイヤーなら!
私を誰だと思っているんですか?」
それだけ自信があるのなら期待はできそうだな。
頼んだぞ!
さて、トッププレイヤーたちに話しかけていく流れになってしまったので最後はあいつに話しかけていくしかないか……
少し前に話したから今さら良くない?
……ダメ?……そう……
仕方ないので俺は残された最後のトッププレイヤーに話しかけに行く。
「よおwww
とうとうこの時が来たなwww
オレのエリア【地蒜生渓谷メドニキャニオン】でのレイドボス討伐総力戦www
テンションアガリングなんだがwww
うはっwww滾ってきたwww」
いつもテンションがうざったらしい【風船飛行士】だが、今日はいつにも増して鬱陶しい。
俺も新緑都市アネイブル総力戦の時はテンションが抑えきれなかったしな。
だが、それはそれとしてやはり鬱陶しい。
「お前もテンション上げていけよwww
あっ、お前に紹介しておくわwww
こいつが【虫眼鏡踊子】だwww」
【風船飛行士】が連れてきたのは深紅のチャイナドレスを来た茶髪の女だ。
気が強そうな顔つきをしていて、しなやかな四肢がすらりと伸びている。
俺と違って、背が高いのが羨ましい。
「あらっ、あんたがウワサの【包丁戦士】?
思ってたのよりも可愛いわね?」
思ってたのよりも?
事前に俺の話を聞いていたというところか。
「ん?
私のこと聞いてないのね?
私は【虫眼鏡踊子】、こいつのコレよ」
【虫眼鏡踊子】は左手の小指を立てて【風船飛行士】の方を見る。
えええええええっっええええっ!?!?
【風船飛行士】って彼女持ちだったのかよ!?
なのにあんなにナンパしてたのか!?
というか、こんなうざいやつに彼女なんて出来てると思ってなかったぞ!?
「うはっwww
その顔が見たくて黙ってたのは正解だったなwww
クソワロタwww」
「こいつ、ゲームだとこんな感じだけどリアルだと結構真面目なのよね……
そのギャップでゲームで彼氏だと分からず激突したこととか、派閥争いみたいなことをしてたっていうお笑い話があるくらいよ。
面白いでしょ?」
へー、そうなのか。
というか、流石にそうだよな……?
現実でこのノリをやられたらキレる自信がある。
「入ってるクランは違うけど、今はたまに一緒にクエストをやったりしてるわよ」
「こいつのabilityが便利だから助かるわwww
流石はオレの彼女www
テラカワユスwww」
「はいはい、誉めても何も出ないわよ」
とか言いつつも、嬉しそうな表情を浮かべている【虫眼鏡踊子】。
なんか順風満帆っぽいのがなぜかイラつく。
イラつくのは【風船飛行士】相手だからだろうがな。
「そんなに期待されても困るのだけれど……
でも、サポートは私に任せていいわよ。
そういうの得意だから!」
手に持った虫眼鏡を腰に当ててキメポーズを取る【虫眼鏡踊子】。
この彼氏にしてこの彼女か。
まあ、どうなるかは分からないがいつも逆張りしてくるあの【風船飛行士】の推薦だ。
よほどの信頼ができるやつなんだろう。
トッププレイヤー集結ですね。
精々楽しませてくれるのを待たせてもらうとしますか。
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