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37話 次元戦争……の前に味方との顔合わせ

久々にブックマークが増えたので記念にストックからもう1話投稿です!


本日2話目をどうぞ!

 【Raid Battle!】



 【包丁を冠する君主】




 【菜刀天子】


 【次元天子】【上位権限】【???】




 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【次元をさまよい】


 【冒険者を導く】


 【聖獣を担うが故に】


 【深淵と敵対する】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【レイドバトルを開始します】


 

 というわけで今日も元気にログイン!

 ログインしたと同時にレイドバトルが始まるのは、俺のログイン場所がこの王宮に固定されたからだ。

 勝手に。


 俺以外のプレイヤーたちは新緑都市アネイブルの中央にある噴水広場がログイン場所になっているようで、俺のようにログインするたびにレイドバトルが始まるようなことはない、解せぬ。


 「今日は公式イベントの次元戦争です。

 精々私のために気合いを入れてキリキリ働いてくださいね?」


 まあ、公式イベントなら仕方ないな。

 それで規模は?

 次元の総力戦みたいな感じか?


 「いえ、いずれそうなると聞いていますが初回はイベント機能のテストも兼ねて小規模のものを開催します。」


 なんか偉そうだと思ったらサポートAIっぽいこともちゃんと喋ってくれるのね。

 少しだけ安心したわ、俺をこきつかうだけだと思ってた。

 

 それで?

 小規模と言っても色々あるだろう?

 個人戦とかギルド(このゲームにそんな機能があるか知らないが)対抗とか攻城戦とか、そこんとこどうなのよ?


 「不遜なことを考えている表情ですね……

 今回はMVPプレイヤーとそのフレンドのみで行われますよ。

 自動的にフレンドが転送されるので、事前の告知とかはないです」


 いや、「ないです」じゃないだろ。

 仮にも公式イベントなら公式サイトとかで

 公式イベント開催します~

 テストプレイお願いしますね~

 みたいな告知くらいあってもいいだろう。

 

 それをなんだ、サポートAIから直接口頭で聞くしか方法が無いなんて……

 流行に乗れない難民を作り出しそうだ。


 「はいはい……

 ごちゃごちゃうるさいのでイベント会場へさっさと転送しますね。

 これだから底辺種族は……」


 そういうと【菜刀天子】は黄髪を揺らめかせながら腰に差していた中華包丁を天に掲げて、包丁から力の奔流である光を煌めかせ始めた。


 「【上位権限】【Battle field】展開!」


 その力の奔流に俺は飲み込まれた。

 【渡月伝心】の時に放たれた物々しい光とは異なり、柔らかな心地のする光だった。










 【特異次元 アネイブル】


 そのアナウンスが流れたあと俺は見慣れたような光景が広がる場所に立っていた。

 周りには樹木でできた建物が建ち並んでいる。

 俺がこのゲームで最も時間を過ごした新緑都市アネイブルに酷似している。

 アナウンスでもアネイブルって言ってたしそれは間違いないんだろうな。


 ただ、酷似しているってだけで細部が俺の記憶とは違う。

 所々に川が流れていたりして、俺が知っている新緑都市アネイブルより田舎っぽい。

 俺がよく見ているアネイブルは都市とついているだけあって樹木が建ち並んでいる割には近代的でもあるのだ。


 これがイベント特設ステージってわけか。

 この天子が遅い遅いと言っていたので、多分俺の次元の進捗が悪いからハンディキャップをくれたのだろう。

 俺の慣れているステージってことで。


 「えっ、案外観察しているんですね。

 その直感は気持ち悪いですけど、その通りです。

 あなたたちがあまりにも横道に逸れていっていたのでシステム的に配慮されました。

 これだから底辺種族は……

 私に恥をかかせないでください」


 めっちゃ肩を震わせて涙をこらえてる。

 こいつ、他の次元と比べて遅れていることに相当コンプレックスを持っているな。

 いや、たしかに発言でしょっちゅう嫌みのように出していたからそうだとは思っていたが、そこまでだとは思ってなかったな。


 俺が泣きそうな【菜刀天子】を見ていると、横に2つの人影が光に包まれて登場した。


 1つはよく見慣れたやつ。

 

 「なんだここは!

 おっ【包丁戦士】ではないか!

 レイドバトルが終わって2日間顔を出さないとは薄情なやつだと思っていたが、何やら変なことに巻き込まれているな!」


 新キャラクターとの遭遇イベントをこなすのに時間がかかっていたから多少はね?

 お前のことは……たまに思い出してたから……


 「遭遇イベント……?

 相変わらずよくわからんことを言うな!

 それにしてもこれは何だ!

 そして、隣にいる別嬪さんは誰だ!」


 そう、ガチムチおっさんの【槌鍛治士】だ。

 俺のフレンドから選ばれて来るならこいつが来るのは当然だろうよ。

 当然の当選だ。


 「これは次元戦争という公式イベントです。とりあえずあなたたち底辺種族は戦ってくれさえすれば問題ないです。精々犬死はしないでくださいね?

 そして私はサポートAIの【菜刀天子】。

 私は相手のサポートAIと戦っているので、助力は期待しないでください」


 俺が説明する前に【菜刀天子】が冕冠の紐(?)を揺らしながら全て説明してくれた。

 サポートAIなんだからそれくらいしてくれるのが当たり前なんだろうけど、偉そうな物言いをしているから普通に俺が説明しないといけないと思ってたわ。


 「で!

 俺の隣にいるこの棒立ちのやつは誰だ!

 ワシが来たからにはこいつは【包丁戦士】、お前の関係者だろう!」


 「……」


 いや、知らんわ。

 【槌鍛治士】と一緒に現れたやつを俺は全く知らない。


 紫色のチャイナドレスを着ている無表情な美少女だ。

 胸は……普通だな()

 頭にお団子2つ着けている典型的なチャイナ娘って感じだ。


 マンネリ化してきた俺のジャンルに新たな1ページが刻まれるかと思うくらい今まで周りにはいなかったタイプだ。

 いや、【ペグ忍者】は5ページくらい1人で刻んできていたが……


 お前、名前は?


 「……」


 いや

 喋れよ、どうするんだこの状況。


 おいサポートAI、全く知らないやつが転送されてきているんだが……?

 バグか?


 「もう少し私に敬意を払ってください。

 少し調べますね……それよりも底辺種族の【包丁戦士】はフレンドが少なすぎるのではないですか?

 私を勝たせる気があるのですか?」


 いや、俺としても利益があるならお前を勝たせてやりたいのは山々なんだが、お前も監視してたら知っているだろうがability【会者定離】の効果でフレンドを簡単には増やせないんだよなぁ。


 お前はなんか一心同体らしいけど。

 

 「不本意ですが、そうみたいですね……

 あっありました、これですかね。

 今回のイベントで呼ばれる人が誰もいないボッチプレイヤーがMVPだった場合、その次元のプレイヤーの中からランダムで選ばれる仕様があるみたいです。

 ただ、今回は【槌鍛治士】が喚ばれているので使われない仕様のはずですが……

 それにこの気配なんだか覚えが……?」


 最後に不穏なことを言い残すな。

 こいつがランダムで選ばれたのかどうか分からないが、選ばれたからには【包丁次元】の代表として戦ってもらうしかない。

 無表情、無口なチャイナ娘だが強そうな感じはする。

 実際どうだかは知らないが。


 「……」


 「ガハハ!」


 「うるさいですよ底辺種族」


 この連帯感の無さ、大丈夫なのか?

 一抹の不安どころか不安しかないチームとの顔合わせだった。














 やはり、気のせいでしょうか……?


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
ジェーとニェーだっけ?
[良い点] 一人?一匹?フレンドリストにいたような…
[一言] なるほど。フレンド欄じゃなければフレンドと同じようなことに登録できるのね。
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