347話 秘められた恩恵
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気に……?いや、テンション低めでログイン……
なんで俺は【テイマー】の恩恵を受けられないんだろうか……
そんなことを嘆きながら王宮を歩いていると【菜刀天子】が近寄ってきた。
「何を言っているのですか?
ジョブ【テイマー】が開放された恩恵は劣化天子にも一部ですがありますよ。
早とちりをするとは、やはりこれだから底辺種族からの成り上がりは……」
【菜刀天子】はいつものように上から目線の罵りで俺を迎え入れたが、気になることを言っているな?
【テイマー】になれないのに、【テイマー】の恩恵がある……だと?
「その通りです。
今回のレイドボス討伐でプレイヤーが成り上がった【天子】の共通効果に【テイマー】の効果が限定的に付与されました。
つまり、聖獣限定でテイム機能を使えます!」
使えます!(ドヤァ)というお手本のようなどや顔をしているが、肝心のテイム機能がどのようなものなのか分からないと、驚いていいのか悲しんでいいのか分からないぞ?
「やれやれ、これだから劣化天子は……
いいでしょう、次元天子であるこの私が直々にテイム機能について説明してあげるとしましょう」
タスカルタスカル……
「テイム機能は、事前に出会っているモンスターなどに契約を申し込める機能です。
こうして契約していると任意のタイミングで契約した相手を呼び出すことができるようになります。
限定的ですが、配下を持てるということです」
なるほど、そういう機能なら【天子】系種族ならデフォルトで持っていてもおかしくはない。
……というか、なんでデフォルトでついてなかったんだ?
今回後から生えてきた感じだろ?
「それは、配下に関する機能が全てオミットされてしまっているからですね。
他の【上位権限】持ちがその機能を自分の配下のレイドボスに与えていたので、そのレイドボスを倒すまで他の者が新たに配下を持つことが出来ないように制限されていたようです。
私や、陰湿なタコは既に配下が充分にいる状態だったので苦になっていませんでしたが、底辺種族たちはその被害を一番に被っていたと言えるのかもしれません」
うへー、酷い話だ……
【上位権限】持ちの抗争に巻き込まれて俺たちは機能を制限されていたというのか……
それで、【天子】は普通の【テイマー】と比べて制限されているのは契約できる種族が聖獣に限られるってことで合っているか?
「その通りです。
では、実際に試してみてください」
えっ、試すと言っても俺は聖獣と契約なんてしてないんだが?
「どこまでもおめでたい思考をしていますね?
劣化天子はそれなりに契約しているはずです。
……気づいていないようなのでその内の一体については教えておきましょうか。
聖獣【カイ=フジン】です、スキル【想起現像】を使えば呼び出せるでしょう」
聖獣【カイ=フジン】?
聞き覚えがあるような無いような……?
どっちにしても記憶が曖昧だ……
「もしや、聖獣【カイ=フジン】のことも忘れているのですか……
これには開いた口も塞がりませんね……
次元戦争の報酬で再度私の配下として復活した金のシャチホコですよ」
ああ!
そういえばそんなやつもいたな!
291話で
【【菜刀天子】が聖獣【カイ=フジン】を再度配下に治めました】
【【包丁戦士】が聖獣【カイ=フジン】の力の一部を配下として治めました】
とかいうアナウンスが流れていた。
「そう、それが契約の証です。
契約までは済んでいましたが、呼び出す方法がありませんでした。
ですが、【想起現像】を介すればその条件は満たすことができるので、【天子】でも限定的な【テイマー】として運用もできるというわけです」
なるほどな。
それはわかりやすい。
ちなみにだが、この【テイマー】でのデメリットって何かあるよな。
このプレイヤーに人権のないゲームで本当にデメリットのない新機能ってあまりないからなぁ。
念のために聞いておかないと後々自分がしっぺ返しをくらうことになってしまうからな。
だが、俺の念の入れようを面白がった【菜刀天子】はもったいぶるかのようにこう呟く。
「どうせ近日【検証班】のメンバーに会いに行くのでしょう?
せっかくですから、【検証班】のメンバーに直接聞いてみるか、一緒に検証してみるといいんじゃないですか?」
……こいつ、教えるといいつつもここぞというところで勿体ぶってきやがったな?
いいさ、プレイヤーで詳細は見破ってやるよ!
「そちらの方が面白いでしょう。
精々気を付けるといいでしょう……」
おい、不穏なことを言い残していくな!
さてはて……
【Bottom Down-Online Now loading……】