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34話 風船飛行士との決闘

 ここがバルーンアトリエか。

 うぃーん、興奮してきたな


 店の名前が気になったと言ったが普通にバルーンアートそのものも気になってはいる。

 よくみるやつだと犬とか剣とかを風船で作っていたりする。

 

 「いや~、【包丁戦士】さんちょっとテンションおかしくないですか?

 ふふふ、なんだか微笑ましいですね」


 おかしいのはお前だ。

 微笑ましくないだろ、盛り上がるところだろ!


 「な、何がそこまで【包丁戦士】さんを熱くさせるんですか!?

 ちょっと怖いくらいなんですけど」


 怖いとはなんだ、怖いとは。

 風船っていいよな、ひとつひとつ色々な形をしていて人々を喜ばせている。

 泣いていた子供を喜ばせる、家族のちょっとした日常に登場する。

 

 それを割ったりするのが最高っっに楽しい。


 「ええっ……

 狂人過ぎません?

 いや~、全く【包丁戦士】さんの考えが理解できないのですが……」


 別に理解してもらおうとは思ってないな。

 

 「おっ、ボマードちゃんじゃんwww

 お久~!

 チュートリアルでは中々楽しませてもらったわw」


店前で話していたら屋台の中から店主が声をかけてきた。

 頭にバンダナを巻いた赤髪のちょっとチャラめな男が出てきた。


 話し方的にもアバターの見た目的にも高校生から大学生くらいだろうか。

 手には厚めな黒いグローブ、腕にはシルバーを巻いていたりと結構すごい見た目だ。

 

 だが、それでもまだ派手に行ける気がする。

 もっと腕にシルバー巻くとかさ。


 「いやwww

 シルバーならもう巻いてるから許してやwww

 これ以上巻くと普通に戦闘に支障が出る」


 笑いながら喋っていたと思ったら唐突に真面目な顔になるな、ちょっと怖いぞ。


 「あっ、チュートリアルにいたちょっとチャラめなお兄さんじゃないです!

 いや~、まさかあなたが【風船飛行士】さんだったとは!?」


 俺もボマードちゃんと同じチュートリアル受けてたからこいつとは会っているはずなんだがいまいち覚えてないんだよなぁ……


 「ちょっwww

 チュートリアル武器手に入れてすぐ俺をPKしたじゃんwww

初めてキルした相手くらい覚えておけよwww」


 あっ、あの柔らかい肉質のやつか!

 俺の初めてを奪ったのはお前だったか!!


 これはまさかの感動の再会ってやつだったのね。


 「【包丁戦士】さんの初めて……ごくり。

 いや~、羨ましいような羨ましくないような……」


 ボマードちゃんキルするとデバフかけられるしあんまりやりたくないんだよなぁ……

 むしろ、必要なタイミングまで守らないといけないくらいだ。


 「というか東のトッププレイヤーと西のトッププレイヤーが参加していたチュートリアルって結構凄いですよね!

 いや~、貴重な経験しましたね」


 今現在その2人にお前は囲まれているんだが?

 もっと喜べばいいと思うぞ。


 「……わーいわーい!!

 これでいいですか?」


 あっ、ちゃんとやってくれるのね。

 

 「おいっ無視するなよwww

 平然と俺の前に立ってるけど、PKした相手によくそうしてられるなwww

 あの時の借りを今返させてもらうっ、決闘しようぜwww」


 ほう、決闘か。

 そういえばアネイブルが開放されてから決闘システムが実装されたらしい。

 そのアナウンスが流れたときログアウトしてたから後で聞いたんだが。


 せっかくの新機能だ、使わせてもらおう。


 ルールはヒットポイント全損で決着、制限時間は1時間、その他は全て縛りなしにした。

 使える手札は全て使ってもらわないと楽しくないしな。


 「言っておくが、俺は対人戦で負ける気ないからなwww

 宣言する、お前は俺に勝てないwww」


 やけに自信家だな。

 プギャーとでも言いそうな表情をして俺を指差している【風船飛行士】を見てそう思った。


 こいつがトッププレイヤーなのは噂でも聞いたし分かるが、俺も同じくトッププレイヤーと言われているらしい。


 前評判では互角くらいなのでは?

 それに俺はプレイヤーキラーだ。


 対人戦に関してかなり経験を積んだ俺と同じ舞台に立っているプレイヤーはこのゲームで今のところ見たことない。

 

 ジェーに挑む暇潰しでその辺りにいる【モブ】を切ったりして遊んでいたからな。

 そのせいで変なあだ名をつけられたりしたが必要経費だったと考えるしかない。


 「よしっルール承認www

 決闘開始だwww」


 【Duel Start!】


 【【Battle field】疑似展開】


 【風船飛行士】がコントロール画面の承認ボタンを押した瞬間、俺と【風船飛行士】は天空から降ってくる鉄柱を避けながら互いをガン見していた。


 どうやら降ってきている鉄柱は決闘システムによるもので、戦いの場を制限するために降ってきているらしい。


 鉄柱が長方形を作るように俺と【風船飛行士】を囲み終わると頭上のカウントがスタートし始めた。


 「それじゃ、サラバダーwww」


決闘が開始した瞬間【風船飛行士】は横においてあった風船を手に持つと上空へと飛び立っていった。


 ええっ、お前が俺に負けることがないってそういう意味だったのか……

 ちょっとしてやられた気分になった。


 時間が経ち【風船飛行士】の姿が豆粒のようにしか見えなくなったころ、つまり1時間が経過した時に決闘としては引き分け、ドローと判断された。


 1時間待ち続けるのは暇だったので、鉄柱の長方形フィールドの中でボマードちゃんにお使いを頼み買ってきてもらった果物を剥いたり、魚を捌いたり、近くにいた料理プレイヤーと輪切り競争をしたりして盛り上がったりした。


 楽しかったし、明日もアネイブル散策してみるか~。

 そう思いながらリアルで眠りについた。









 ドローの表示が出るまで決闘を忘れていた人が居たとか居なかったとか。


 えっ、まともに決闘すらしないんですかこの次元の種族人間……

 底辺過ぎますね……(困惑)


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[一言]  風船っていいよな、ひとつひとつ色々な形をしていて人々を喜ばせている。  泣いていた子供を喜ばせる、家族のちょっとした日常に登場する。  それを割ったりするのが最高っっに楽しい。 ここ…
[良い点] 唐突な闇遊戯で吹いたwww
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