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333話 【堕音深笛】

【Raid Battle!】



 【包丁を冠する君主】




 【菜刀天子】


 【次元天子】【上位権限】【???】




 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【次元をさまよい】


 【冒険者を導く】


 【聖獣を担うが故に】


 【深淵と敵対する】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 今日は先日のレイドバトル中に検証した内容を【検証班長】と一緒に取りまとめるぞ!








 というわけでやって来ました、新緑都市アネイブルにある樹木をくりぬいて出来た建物、【検証班】の拠点メッテルニヒだ。


 たどり着くと、入口のところで【検証班長】が待ち構えていた。

 

 「やあ【包丁戦士】さん、待っていたよ。

 さあ中へ入って来てください」


 【検証班長】に案内されたのは二階の客間だ。

 円卓が置いてあり、話し合いの時によく使われている部屋だ。


 「今日はここでゆっくり話そうとしよう。

 それで、まず【包丁戦士】さんの深淵フルート演奏についての所感を聞かせてもらってもいいかな?」


 あー、そうだな。

 色々吹いてみて思ったのは、曲によって微妙にバフのかかり具合が違うな。

 レイドバトルの最中に曲を切り替えながら演奏していたが、曲……というよりも演奏のスピードでバフの比率が密かに変わってたりした。

 速く演奏するとスピードに補正がかかりやすくなり、ゆっくり演奏するとパワーに補正がかかりやすくなっていたのだ。


 「それは興味深いね。

 もしかすると他にも補正をかけやすくする吹き方があるのかもしれないということですからね。

 スキルやabilityに補正をかけることに成功すれば、面白そうです」


 そうだな。

 あとは、深淵に関わる要素を持っているやつほどバフの効果は大きかった気がする。


 「それはボクも気づいていたものですね。

 称号【深淵に纏われる者】しか持っていなかった【風船飛行士】さんは気持ち程度のステータスアップしかしていなかったみたいですからね。

 やはり条件さえ揃えば養殖できる称号なので、効果量は低めということですかね。

 一方で、深度が高めでスキル【堕枝深淵】、【深淵顕現権限】と【深淵細胞】を持っていて、さらにはジェーライトと意識を共有しているボマードちゃんは普段からは見違えるほどの補正でした。

 本人のバトルセンスがあまり無かったのでそこまで活躍出来ませんでしたが、ジェーライトに身体の主導権を渡せばかなりの戦力になるかもしれません」


 ボマードちゃんの【名称公開】デバフを打つ消すレベルのバフになっているということはかなり効果量が増えているということだ。

 【風船飛行士】とボマードちゃんの違いと言えば深淵関係だろうし、【検証班長】の考察は恐らくあっているだろう。


 「【フランベルジェナイト】さんも称号【深淵に纏われる者】とスキル【深淵纏縛】を持っていますからね。

 おそらく称号【深淵に纏われる者】によるバフを受ける補正は【風船飛行士】さんを見る限り低めですが、スキル【深淵纏縛】は深淵スキルの中でも重要なものみたいですから持っているだけでも演奏の恩恵を大きく受けられたのだと思います」


 まあ、一時的とはいえレイドボスになれる可能性を持ったスキルだからな。

 危険度が一番高いスキルとも言える。



 「総括すると、深淵に近い人ほど恩恵を受けられ、曲によってバフの比率が変動する演奏スキルということだね」


 簡単に言うならそういうことになるな。

 ここまで分かればおそらくだが、スキルの名前さえ仮定すれば【名称公開】の時みたいにできそうだ。


 というわけで、スキルの名前どうするかな?


 「【堕音深笛】というのはどうですか。

 スキル【堕枝深淵】を意識したネーミングですが、分かりやすいですし【深淵域の管理者】を忖度する感じになりますからね」


 おっ、いいじゃん!

 【堕音深笛】、いい響きだ!



 俺が【検証班長】に同意したのをきっかけに脳内に無機質な声が鳴り響き始めた。


 【ワールドアナウンス】



 【プレイヤーによって【堕音深笛】がスキルと認識されました】



 【スキル獲得条件達成者を検索……対象者4名】



 【【包丁戦士】に対してスキル【堕音深笛】を付与しました】


 【【フランベルジェナイト】に対してスキル【堕音深笛】を付与しました】


 【【尺八僧侶】に対してスキル【堕音深笛】を付与しました】


 【【バグパイプ軍楽隊員】に対してスキル【堕音深笛】を付与しました】


 【効果は認識された通りに発動します】



 【この効果は以後、この次元の条件達成者全員に適用されます】



 【ー次

ーーーーー元のテクスチャ

ーーーーーーーーーーーーーが上書き

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーされて

ーーーーーーーーーーーーーーーー!ーーーーーーい

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーく……】




 【個人アナウンス】


 【【包丁戦士】が称号【堕音深笛の先導者】を獲得しました】


 【称号の効果で【Bottom Down】!】


 【【包丁戦士】の深度が38になりました】



 【【包丁戦士】が称号【演奏の迷手】を獲得しました】


 【称号の効果で【Bottom Down】!】


 【【包丁戦士】の深度が39になりました】




 「無事、スキルは獲得できたようですね。

 やはり、スキル擬きの状態のものはこのように効果と名前を決めていけば他の人にも使えるスキルとして確立できるようですね、いい検証になりました」


 【検証班長】としては【堕音深笛】そのものの検証に加えて、スキル生成の方法も検証できて一石二鳥という結果になったな。


 俺としても使うかどうかは別として手札を増やせたのは嬉しい。

 最悪、ボマードちゃんを鉄砲玉として切り込みを任せる戦法を使えるようになったからな。



 「それにしても、今回は【包丁戦士】さん以外にもスキルを獲得できた人がいたみたいですね。

 スキル化していなかったから、ボクたちのように効果には気づいていても、検証まではしなかったのだろうけど」


 【尺八僧侶】と【バグパイプ軍楽隊員】とかいう会ったこともないプレイヤーが俺の功績をかっぱらってきたが、まあ、いいだろう。

 代わりに、今度会うことがあったら一回くらいヤらせてもらおう。

 このタイミングで深淵スキルが使えるようになったってことは、無限湖沼ルルラシアの深淵奈落周辺で素材を採取してチュートリアル武器を強化したやつらだろう。

 極論、深淵奈落の中じゃなくても、その付近にも深淵の力が宿った素材が落ちてたりするからな……アルベーの眼で確認した。

 多分、ルル様か深淵奈落そのものの力が濃すぎて周りに影響を与えてしまっているのだろう。



 こいつらは笛がチュートリアル武器だからまあ【堕音深笛】を手に入れても違和感はないが、【フランベルジェナイト】は異質だな。

 あいつ、笛使ってるの見たことないんだが……


 ……もしかすると、【フェイ】の影響か?

 あいつ、しれっと俺の真似してるからたまにフルート吹いてるし、【フェイ】自体が【フランベルジェナイト】のもの扱いとしてスキルも【フランベルジェナイト】に与えることになったのだろう……か?

 正直あいつについてはよくわからん!



 「では、今回の検証はここで一段落ということで!

 まあ、何か面白いことが見つかったならばボクのところまで持ってきてくださいね?

 楽しみにしてますよ!」


 変な期待をかけられながら俺はログアウトすることとなった……






 また深淵の力が次元に蔓延していく……

 もはや止められませんね……


 【Bottom Down-Online Now loading……】


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