310話 イベント開始とメンバー集結と
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日からサバイバルイベントが始まるみたいだからいつもより早めにログインしてみたぞ。
「今回はきちんと早めにログインしてきたようですね、感心感心……
劣化天子も身の程をわきまえるようになるとは、私もここまで堪えてきた甲斐がありましたよ」
いや、別に身の程をわきまえたわけではないがな……
用事が早めに終わったから早めにログインできるようになっただけで、そもそもいつも用事が終わらないとログインしてないし……
「ごたごた言っても埒が明かないので、早く転送してしまうとしましょうか。
【上位権限】【Battle field】展開!」
そういうと【菜刀天子】は黄髪を揺らめかせながら腰に差していた中華包丁を天に掲げて、包丁から力の奔流である光を煌めかせ始めた。
柔らかな心地のする光の奔流に俺は飲み込まれた。
【Battle field 特異次元離島リトルロック】
俺が転送された時に流れてきたアナウンスでは、聞き覚えのないエリアの名前が出ていた。
今までの特異次元は包丁次元にもあったエリアが少し変質した感じだったのだが、もしかしてこの特異次元も元になった次元があったりするのか……?
このエリアはどうやら海のど真ん中にある無人島っぽい。
俺が転送されてきた場所は高所だったからエリア全体が見渡せるが、どの方向を見ても島の先には海しか広がっていない……
いや、遺跡みたいなものとかあるな……
まあ、ともかくだ、俺たちはこの閉ざされた島のなかでこれから殺し合い……サバイバルをしていくわけだ。
血が滾ってくるな……っ!
「いや~、開始早々に物騒なことを言うのは流石ですね~
発言がぶれないのは逆に安心しますよ!」
それは俺を誉めてるのか馬鹿にしてるのかなんとも言いがたいな?
そんな能天気な発言をしたのは、タンクトップ姿のロリ巨乳ボマードちゃんだ。
「がはは!
相変わらず元気な二人だ!!!」
お前は保護者か!
【槌鍛治士】の達観したような表情から放たれる発言はどこか的を得ていることが多いので、俺としても否定はしないことが多々ある。
まあ、血が滾ってるし元気ではあるからな……
「先輩たち遅いッスよ!
俺っち1時間前からスタンバイしてたッスよ……」
場所取りは後輩の宿命だと思って諦めてくれ!
【バットシーフ】後輩の開始前から疲れている姿を見るとご飯が進みそうだ。
他人の不幸が旨い!
「フェイちゃん!
初めてのイベントだけど頑張ろう!」
あっ、こいつのこと忘れてた……
新メンバーの【フランベルジェナイト】だ。
色々と危ないやつに仕上がってしまったが、なんとか付き合ってくれ。
【は、はい頑張りましょう!】
「うんうん、フェイちゃんと一緒なら今日もいい1日になりそうだよ」
さっそくイマジナリーフレンドの【フェイ】と話し始めた【フランベルジェナイト】。
初対面のクランメンバーをほったらかしにして【フェイ】と喋る姿はもはやホラーと言えるだろう……
どうしてこうなったんだ……
「えっ、先輩なんッスかこの人……
虚空を向いて話はじめたッスけど……」
「いや~、気が触れてますね~
これは見ていて面白いですよ!」
「がはは!
ワシはどんなやつでも、【包丁戦士】が連れてきたやつなら大歓迎だ!」
三者三様の反応を見せるクランメンバーたち。
というか、ボマードちゃんも【フェイ】の姿が見えないのか……
てっきり【深淵顕現権限】を会得しているボマードちゃんなら見えるかもしれないと思っていたが当てが外れてしまったようだ。
「拙者、つるぺた好き好き侍。
義によって助太刀致すで候!」
そして、俺たちから少し離れたところに元【ハリネズミ】のメンバーも集まっていた。
あの謎の侍みたいなプレイヤーもこいつらの一員だ。
そういえばあいつらも一応【コラテラルダメージ】のメンバーのままだったな。
完全に数増し要員としてしか見てないから活躍は期待してないが、精々役立ってくれたら棚からぼた餅って感じだ。
まあ、最悪生け贄として【深淵顕現権限】の発動トリガーとなってもらおうか。
とりあえずお前ら!
いつ敵が襲ってくるか分からないから警戒しておけよ!
俺は浮かれぎみなメンバーに釘を刺しておく。
……念のために言っておくが、物理的な意味ではない。
だが、始まって早々なのにも関わらず俺の警戒発言は遅かったようだ。
「あっ、【包丁戦士】しゃんなのら!
【釣竿剣士】ちゃんじゃなかったのは残念なのらけど、優勝候補をここで潰すのも悪くないのらね~」
「ほう【コラテラルダメージ】ですか、大したものですね……」
「おやおや、【コラテラルダメージ】の皆さん!
こんなに早くに遭遇するなんて思ってなかったみたいだね?
でも、それは迂闊でしたね。
サバイバルゲームなら高所を狙うのは作戦としては定石ですよ」
林の中からぞろぞろと現れてきたのは猫耳頭巾の淫乱ピンク髪ペド忍者の【ペグ忍者】、【モップ清掃員】、【検証班長】……とその他大量のモブプレイヤーたちだ。
いや、もしかしたらあの中に2つ名持ちがいるかもしれないが、あれだけいると判断できないぞ!
「さあ、【包丁戦士】しゃん!
戦いに洒落込むとするのら~!」
【ペグ忍者】がチュートリアル武器であるペグを逆手に持って襲いかかってきた!
ちっ、イベント開始早々これとは運が無さすぎるぞぉぉぉ!!!!!
俺の絶叫を合図に戦いの火蓋は切って落とされたのだった……
さて、祭りの始まりですよ!
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