297話 渓谷での再会
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
先日はアルベーに意識を阻害吸収されていたポリンお嬢様を助けたが、その後話を聞くとボマードちゃんと同じような展開だった。
深淵細胞を受け入れて、【深淵顕現権限】を使ったら意識を持ってかれたらしい。
ボマードちゃんと違うのは一発で意識を持ってかれたってところか。
ボマードちゃんは何度か使っているうちに意識が侵食されていったみたいだが、ポリンお嬢様はしょっぱなから意識が無くなっていた。
これはあくまでも俺の推測でしかないが、ポリンお嬢様の深淵適正が低いんだろうな……
いや、もしかしたらボマードちゃんや俺が高くて、ポリンお嬢様が普通なのかもしれないが今の段階だと判断材料が無いからなんとも言えない。
まあ、俺は制御できてるから深く考えるのはやめておこう。
所詮他人事だ!
というわけでやって来ました渓谷エリア。
このエリアは【風船飛行士】がトッププレイヤーとして張っているエリアだから来るのを極力避けていたが、4聖獣もここにいる竜人ギルドマスターだけとなったからにはそうも言ってられない。
久々に来た渓谷エリアは前からかなり時間がたっているからか、復興が進んでおり村のようなものが出来上がっていた。
前は冒険者ギルドくらかまともな建物が無かっただけに、プレイヤーたちの汗水流して作られた努力の結晶が形となって現れたというのがよく伝わってくる。
……中には不恰好な建物も多くあるから、素人が見よう見まねで作ったのだろう。
ギルドからの依頼ならば無茶ぶりでも達成しないと攻略は進まないからな……
そんなことを思いながら村を徘徊していると見覚えのある人物たちと出会った。
「あっ、【包丁戦士】さんじゃないですかっ!
こんなところで会うなんて珍しいですねっ!」
「【包丁戦士】さんの渓谷エリアでの目撃情報って全くないカラネ~」
俺の前に現れたのは双子プレイヤーの【ブーメラン冒険者】と【短剣探険者】だ。
語尾の歯切れがいいのが【ブーメラン冒険者】。
こいつは山間部エリアでも活躍しているプレイヤーであり、山間部エリアの代表として闘技場イベントの代表戦にも出場してきた実力者だ。
そして、見た目は一見すると美少女なんだが……男だ!
いわゆる男の娘ってやつだな。
女の俺よりも女子力が無駄に高く、こいつが男ってことを知らない男たちに受けが良いらしい。
こいつが男だって知ったらそいつらの性癖がねじ曲がりそうだ。
そして、そんなやつを双子の弟に持ってしまったのが語尾に独特なイントネーションをつけて喋る【短剣探険者】だ。
異名はショートエクスプローラーとかいうよくわからないものがついているらしい。
前にこいつが自分で語ってた。
男である【ブーメラン冒険者】とほぼ同じ体型という悲しい定めにある、ある意味では俺の同志とも言える姉だ。
だが、軽装から覗くくびれが女であるという魅力を引き出しているから、まあ最低限のラインで留まっているという感じだ。
健康的なスレンダーボディってことだな。
ちなみにレイドバトル中に聞いたが、メシマズらしい。
「誰に説明してるのか気になるよっ!」
「私の紹介なんだか酷くないカナ?
誉められてるのくびれくらいダヨネ?」
二人ともあまり気にしなくていいぞ。
読者サービスってやつだから。
「【包丁戦士】さんってよく分からないこと言うヨネ~」
「わかるっ!」
いや分かられても困るぞ……
これはスルーしていいやつだからな……
「……それで、【包丁戦士】さんはこんなところでなにしてるのっ?
私たちに会いに来てくれたとかかなっ!」
「それはないと思うヨ。
どうせ特に意味もなく彷徨いてるだけだと思うネ」
悔しいが【短剣探険者】の言う通りだ。
ここに来た理由は特にない。
メインエリア最後のレイドバトルの場所になるなもしれないからと下見に来てみたはいいものの、外周はすぐに見終わってしまったからな。
今は暇潰しにブラブラと徘徊していただけなんだよな。
「それならちょうどいいよっ!
私たちとこの渓谷エリアを歩こうよっ!
案内してあげるからっ!」
「それイイネ!
さあさあついてきて、モタモタしてると先にイクヨ!」
なんか、なし崩しに強制連行されることになったが、現地プレイヤーに案内してもらえるっていうのは悪い話じゃない。
俺だけで見回ったとしても普通に効率が悪いし、いいスポットを見逃してる可能性もあるからな。
俺はそのまま【ブーメラン冒険者】と【短剣探険者】に手を引かれながら渓谷エリアの村を散策することとなったのだった。
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