294話 公共事業の進捗
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日は草原エリアに行ってみようと思う、ちょっと気になることがあるからな。
というわけでやって来ました草原エリア!
「なんでボクも呼ばれたのでしょうか?
完全に巻き添えな気がしますが……」
来る最中に偶然見かけた【検証班長】もついでに連れてきたが、巻き添えどころかお前がいないと今回の用事の意味が無いからな。
途中で見つからなかったら探しに行ってたくらいだぞ。
「そうですか、そこまでするとは意外ですね。
それで、ボクに用事ですか……
草原エリア……となるとあれですね!
生産プレイヤーへの雇用確保のための大型事業!」
その通りだ。
前に【検証班長】が打ち出してから始動した謎プロジェクト。
それが大ムカデプラモデル計画だ。
俺とボマードちゃんが山間部エリアに行く途中にある谷底で拾ってきた深淵種族のムカデの脱け殻を接合、復元して像として草原エリアのシンボルにするというものだ。
今回はそれの進捗を見に来たわけだ。
「そういうことでしたか。
それならばボクを呼ぼうとしたのも納得だよね」
【検証班長】が動かしているプロジェクトだからな。
「ですが、現場で主導しているのはボクじゃないんですよね……
【包丁戦士】さんもよく知ってる人だから直接話を聞いてみたらいいんじゃないかな?」
そうやって俺は【検証班長】に導かれて、とある人物の前に案内された。
その人物は二メートルほどの背丈の持ち主であり、その背丈に見合った……いや、それ以上のガチムチな筋肉を身につけた人物だ。
もう皆まで言わなくとも分かると思うが……【槌鍛治士】だ。
「がはは!!
来たか【包丁戦士】!
お前が持ってきてくれる脱け殻は中々面白いじゃないか!!!
パズルを組み立てているようで、楽しませてもらっているぞ!!!」
相変わらず暑苦しくて元気だなお前は。
まあ、楽しんでくれてるなら俺もわざわざ運んできてやっている価値はあるってものだ。
ほれ、久しぶりに脱け殻パーツの追加だ!
少し前にまた拾いに行ってきたやつを渡すのをすっかり忘れてたから、様子見がてら俺自ら持ってきてやったぞ。
普段は宝物庫に突っ込んだパーツを王宮の外に出しておくと、有志のプレイヤーたちがいつの間にか運んでおいてくれるようになったが、今日は気分転換に自分で持ってきたってわけだ。
「大体3割くらいは形が見えてきているな!!
別々の部分ができているだけだから、くっつけてみないと実際の進捗はわからないがな!
あくまでも目安と思っておいてくれ!」
案外進んでるのな。
俺がパーツを運びはじめてからそれなりに時間が経っているから進捗的には普通なはずだが、ミチの深淵種族という完成形が分かりにくいのに合わせて、作業開始時点で全パーツ揃ってなかったということもあるからもう少し遅れててもおかしくなかったはずだが。
「そこはワシの采配だな!!!
なにせワシとお前は一心同体!
その程度の困難では阻まれないぞ!!」
全く何の説明にもなっていないが意気込みだけはよく伝わってきた。
とりあえず気合いでどうにかしたってことだろう。
流石は俺と一心同体なだけあるな。
「それに、【検証班長】が集めてきた比較的暇な生産プレイヤーたちも空いた時間で手伝ってくれるから人手はそれなりにあるからな!!!
あっちを見てみればそれがわかるだろう!!」
【槌鍛治士】が指差す方向を見てみると、たしかにやけにプレイヤーがいるな。
いくらなんでもあそこまで暇なやつが集まるものなのか?
「がはは!!
ここで作業をしながら情報交換や、技術指南ができるからな!
そういうことを続けていたらいつの間にか、ここが生産組合の役割になってしまったのだ!!!
ここには新しくワシの鍛治場も作ったからな、設備としても不足はないな!!」
なんもともまあ器用なことで。
設備よし、人数よし、リーダーよしとなれば問題はないからな。
今はこの大ムカデプラモデル計画があるが、この計画が終わったときにどうなるか楽しみにしておこう。
あっ、それとアルベーとクシーリアの素材持ってきたからお前に渡しておくわ。
もう手に入らない素材だから有効活用してくれよ。
俺はそう言って【槌鍛治士】へとレイドバトルの報酬を渡していく。
俺の料理に使えそうなやつは一部保管してあるが、それ以外を持ってきたから何かしらには使えるだろう。
素材を腐らせておくくらいなら【槌鍛治士】に渡しておくのがいい。
定額預金をしている気分だ。
「がはは!!
任せろ、ワシがしっかり使ってやるからな!!」
俺はその後、草原エリアの作業風景や【槌鍛治士】をぼーっと眺めて過ごしていった……
やけに平和な1日でしたね。
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