292話 はじめての2人
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日はルル様に会いに行こうと思う。
だが、今回はいつものように1人で行くのではなく試しにボマードちゃんを同伴させてみることにした。
急にどうしたんだと思われるかもしれないが、このタンクトップロリ巨乳は八卦深淵板に酷似した盾を手に入れていたからな。
八卦深淵板があれば深淵奈落に突入できるって前にルル様が言っていたから、それに似た盾を持った状態ならあの無限ループ状態にならない可能性があるという推測に基づいての思考だ。
「とうとうあの闇が深そうな魔境へ飛び込む時が来たんですね。
いや~、嬉しさ半分、怖さ半分って感じですよ~!」
別に魔境ってほど魔境ってわけじゃない気がする。
俺も深淵奈落はそこまでじっくり調べたわけじゃないから断定はできないが、ボマードちゃんが想像している程恐ろしい場所ってわけじゃない。
……管理者であるルル様に嫌われなければだが。
「えぇっ……なんですかその脅し!?
いや~、やっぱり怖いですよ!!」
ははは、精々怖がっておくんだな!
俺はボマードちゃんをおちょくりながら歩みを進めていき、深淵奈落に突入する大穴がある部分までたどり着いた。
「ここから飛び降りるんですよね?」
そう言うボマードちゃんの手には八卦深淵板擬きが装着されている。
準備万端ってわけだな。
飛び降りてから999秒経った瞬間……くらいに【深淵顕現権限】を使えば突破できるらしいぞ。
もちろん、その盾があることが前提だが。
「それなら安心ですね!
いや~、行きますよ~!」
俺たちは迷わずに大穴へと飛び込んでいった。
落ちていく中、忘れないように秒数を数えていく……
……今だ!
「『スキル発動!【深淵顕現権限】Ж!』P!」
俺とボマードちゃんは事前に示し合わせていた通りにスキルを発動する。
ループする場所にこっそり印をつけていたので、スキルが発動した結果ループを突破することができたということを確認できた。
そして、骨の片翼を使い浮遊している俺と違って、飛行手段を持たないボマードちゃんは急速に落下していっている。
その豊かな胸を揺らしながら足掻いているので目に毒だが、ルル様が根城にしている横穴はもうすぐなので渋々助けてやることにした。
「ヨォ、俺様の半身!
ここまで連れてきてくれて感謝するゼェ!」
ぬるぬるの尻尾を生やしたボマードちゃんを落下から救い横穴に降り立つと、いつもと雰囲気の違う口調で語りかけてきた。
このボマードちゃんは……意識がジェーライトだな?
「その通りだナァ!
俺様のボスの根城に帰ってこれるとはラッキーだゼェ!」
ジェーライトはその反則的なロリ巨乳ボディをもて余しているのか、手で身体のいたるところを探るように触りながら横穴を進んでいく。
「ボスに会うからだゼェ!
宿主様の身体とはいえ、身だしなみくらい整えておかないとナァ!」
それにしては、手つきがなんだかなぁ……
とは言いつつも、俺も便乗してボマードちゃんの身体をまさぐりながら進んでいるとアナウンスが流れ始めた。
【Raid Battle!】
【深淵域の管理者】
【エルル】
【???】【上位権限】【ボーダー】
【ーーー深度不足のため未開示ーーー】
【深淵へ誘い】
【冒険者を堕とす】
【深き真価を見極め】
【境界に流転する】
【封印された夢想が解き放たれし時】
【ーーー深度不足のため未開示ーーー】
【ーーー深度不足のため未開示ーーー】
【レイドバトルを開始します】
アナウンスと同時に現れたのはこの深淵奈落の管理者であるルル様だ。
「……ほう、【包丁戦士】以外にこの深淵奈落へたどり着く者がおるとはのう。
ジェーライトよ、先日の戦いは我の配下として見事な働きであった」
「ボスに誉められるなんて頑張った甲斐があるゼェ!
イャ~、嬉しいナァ!」
ジェーライトはボマードちゃんの身体でデレデレしている。
こうしていると普通にボマードちゃんに見えなくもないな。
先日の戦い……?
次元戦争か!
ルル様はあの次元を見てたのか?
俺は疑問に思って聞いてみた。
「……お前は気づいておらんかったのか。
まあいい、ともかくジェーライトが意識を持つプレイヤーがここに来たのは僥倖である。
その身体にも【Ж細胞】が馴染むように調整してやろう。
【包丁戦士】に前にしたことがあるアレだ」
あー、あれか……
「なんだ俺様の半身!
何でそんな露骨に嫌そうな顔をしているんダァ?」
恥ずかしい思い出がフラッシュバックしてきたからな……
力を得るためとはいえあれは屈辱的な仕打ちだった……
「それは嫌だナァ……
宿主様に意識を返すカァ!」
「なんでこんなタイミングで身体を返すんですか!
いや~、私の代わりになってくれてもいいじゃないですか~!」
嫌な部分を宿主であるボマードちゃんに押し付けるために、ジェーライトは身体の主導権をボマードへ返したようだ。
というか、前はジェーライトに意志がある時はボマードちゃんの記憶にその間の出来事が記録されていなかったはずなんだが、いつの間に記憶の共有までできるようになっていたんだろうか……
共有したり、しなかったりする……
【Bottom Down-Online Now loading……】




